2006年10月04日
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これほどまっとうな「ネギま!」のアニメが見られるとは全く予想外の喜びであるか!?

Written By: トーノZERO連絡先

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魔法を行使するシーンをいかに描くかは作品の力量を推し量る1つの指標となる。単に「メラ」と2文字を発音する程度で魔法が発動してしまうのは、魔法の名前と呪文の混同に過ぎない悪い例。長い詠唱を伴うドラゴンクエスト・シリーズのCDドラマなどは良い例。そして、ネギま!?は紛れもなく典型的な良い事例と紹介しうる丁寧な描写を行っている。

 トーノZERO, THE BELKANアニメ感想家(笑)のアニメ感想を参ります。

 今日のネギま!?の感想。

サブタイトル §

1話 序章1

あらすじ §

 魔法使いになる試験をパスした10歳の少年、ネギ・スプリングフィールドは、修行の場として日本で教師をすることを命じられます。

 ネギは日本に渡りますが、寝ぼけた神楽坂明日菜に魔法を使うところを見られてしまいます。

 ネギは、中学2年の女子生徒ばかりのクラスである2年A組の担任になります。明日菜は、そのクラスのクラスメートでした。

 一方、学園では吸血鬼が出没するという噂が流れていました。

 ネギは寮で同室となった近衛木乃香が吸血鬼に襲われたところに遭遇します。吸血鬼は、ネギの父を知っていて、ネギを待っていたと言います。

感想 §

 アニメを楽しく見るなら、漫画を読むのは厳禁です。読んでしまうと、それを原作としたアニメを楽しく見られなくなってしまうからです。

 しかし最近になって私が漫画をよく読む理由は、既にアニメを見守っていたいと思った終了点を過ぎたたためです。

 そして、最近読む漫画の中でも、トップクラスの優れた作品だと思うのが魔法先生ネギま!です。特に、最近の学園祭以降の展開は何回読み返してもうならされます。(ただし、私と同じところを見ていない読者は、同じ作品を見ても異なる印象になる可能性があります。念のため)

 ……という立場から見てみると、前回アニメ化されたネギま!は、到底納得のいく水準とは言えませんでした。途中までは努力の跡も見られたのですが、終わらせ方がいかにも「優れたエロゲーの本質を全く理解しないで劣化コピーした典型的美少女アニメ」といった感じだったわけです。

 そもそもの問題は、ネギま!を美少女アニメのコンテキストに当てはめて作品作りをしてしまったことでしょう。つまり、オタクの子供っぽいリピドーを正当化する作品として作られてしまったということです。それは、タイプの異なる複数の美少女が、さしたる理由もなく男性主人公を好きになってしまう……という典型的なパターンに表出します。

 しかし、ネギま!という作品は、実際にはその正反対のベクトルを持った作品だと感じます。確かに多数の女の子が出てくるのは事実ですが、彼女らは一人一人固有の独立した人生と人格を与えられています。彼女らは皆ネギのことが好きではありますが、恋愛に近い感情でネギに絡むのは少数派です。その他の女の子達は、必ずしもネギを愛しているわけではなく、他の男の子や場合によっては魔法で変身した大人になったネギなどを愛します。

 つまり、多数の女の子が登場して華やかであるにも関わらず、男性視聴者は作品に入って行っても、さして優遇されないのです。しかも、手頃な年齢の男性キャラクターが存在しません。10歳の子供に感情移入はなかなかできないでしょう。

 しかしネギま!は、練り込まれたストーリー、刺激的な展開、よく工夫された描写を積み重ねることで、幅広い層にアピールする力を持っています。実は、ネギま!が主要なターゲットとしているのは、コアなオタクではなく、オタク領域の境界に曖昧な形で漂う「一般人でありつつ、オタク的なものにも興味がある」という層でしょう。その方が、より多くの客層を掴めるという意味でも、まったく正しい選択です。

 そのように考えるなら、深夜帯に放送するという前のアニメ・ネギま!の選択が不適切であることが分かると思います。それでは客層が限られてしまい、本来アピールすべきファン層を開拓できません。

 そして、このネギま!?が、夕方という時間帯に放送開始したことは、全く正当に正しい路線を走り始めたことを意味します。

更に感想 §

 たぶん、ネギま!?のライバルは、他のいかなる美少女アニメでもなく、ケロロ軍曹ではないかと思います。

 というのは、以下のような特徴が似ているからです。

  • 子供も容易に見られる夕方の時間帯に放送し
  • 親しみやすい可愛いキャラクターを取りそろえ
  • ストレートで分かりやすいストーリーを展開し
  • それにも関わらず、ディープなネタが目立たない形でゴロゴロと仕込まれている

 どこにディープなネタがあったのかというと、たとえばネギが挨拶する黒板がカットごとに異なる内容に書き換えられているのですが、その内容がいちいち過剰なまでにディープ過ぎます。全て分かった訳ではありませんが、一部を説明します。

 たとえば、「うぉっ まぶしっ」は一部でカルト的な人気を持つアニメ「MUSASHI GUN道」の台詞。「だっぼん」はそのライバルとも言えるアニメ「内閣権力犯罪強制取締官財前丈太郎」の主人公の決め台詞。

 「ちゅから」は押井守の立喰師伝説に出てくる「中辛のサブ」の唯一の台詞。

 「友好的なワードナー」とは、コンピュータRPGの元祖の1つ、ウィザードリィ1のネタです。モンスターには友好的なモンスターがいて、それとエンカウントしても戦わずに別れることができます。戦わないと善に、戦って倒しているとキャラクターが悪に変わっていきます。そして、ワードナーはラスボスの名前ですが、当然ラスボスである以上は「友好的なワードナー」はあり得ません。

 「東京都庁にジャムパン仕掛けた!」は何のネタか分かりませんが読むだけで面白いですね。

 そして、重要なことは、これらの黒板のネタは、ストーリーの本筋を楽しむのに何ら邪魔にならないことです。ケロロ軍曹で、軍曹が連呼するガンプラの名前が理解できなくても何ら問題なく楽しめるのと同じことです。

 邪魔にならないさりげなさ……という意味では、教室の全景シーンも優れています。クラスメート全員が、それぞれ自分のやることをやっている描写がきちんとなされています。特にザジはカットが変わると別の芸をやっているというのが凝っていますね。

ちょっと見てみようかな §

 いや本当に。ちょっと見てみようかな……という気になりました。

 ちなみに、上記のネタとしてウィザードリィ・ネタが仕込んであるのは特徴的ですね。今時のファンタジーor魔法系の作品というのは、主にドラクエやFINAL FANTASYなどのゲームから知識を得て構築されたものに過ぎませんが、ウィザードリィというのはそれらの更に元祖にあたるわけです。つまり、一般的なオタクの水準ではなく、もっと深いディープな部分を踏まえた上で作品を作っていくぞ……ということなのでしょう。それは、けして権威を振りかざすことではありません。原点を踏まえるということは、より大きな応用の自由度を手に入れることなのです。ドラクエを見てファンタジーを語っている人には思いもよらない何かが仕掛けられる可能性を留保していると言えば良いでしょうか。

 興味深いですね。

今回の一言 §

 バカレンジャーがきちんと作ってあるのがよいですね。

 しかも、馬鹿なことだと印象づけるために、最後までやらずにプチッと切っているところがナイスです。ネタを面白がるということが何か分かっていないスタッフなら、最後まで見せてしまうところでしょう。

補足・明日菜の目 §

 明日菜の目が、両目とも同じ色に描いてあるのは好感が持てました。

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