(画像公開ポリシー)
この赤ん坊のようなマフィアが言うのです。
『やるだけやって力尽きた者を笑う奴はいないぞ
それが男の戦いだ』
これは凄い。
言いたいことを言い切っています。
しかも、相手の少年はそれを聞いています。
脱帽しました。
家庭教師ヒットマン REBORN!です。
原作の存在は知っていましたが、ジャンプ本誌でちらっと見ることはあっても、良く分からない作品でした。そもそも、赤ん坊のようなキャラクターが出てくる意味が分かりません。
しかし、アニメになって見てみるとこれはびっくり。
筋の通った大人の人生訓を、まさに発展途上の少年に語りかけるような作品です。
それは、大人ならば子供に語りたい言葉であり、同時に、子供ならば絶対に聞きたくない言葉でもあります。
それゆえに、そのような言葉をストレートに語るという行為は、全くの徒労に終わることが多いと言えます。子供達が、その言葉の意味を理解するのは、たいていの場合、自分が大人になった後です。
ところが、この作品は子供から見ても小さく非力な赤ん坊のようなマフィアに語らせることで、そのハードルを超えています。
つまり、この特異なキャラクター造形は、言葉を届かせるために計算された優れた創作であったことになります。
同時に、マフィアの10代目になるために教育するといった設定も同様です。異常な状況を経由することで、当たり前の大人の言葉が非日常のムードをまとうのです。
まさに脱帽。
これほど優れた作品が、平然と存在する奇跡に喜びを感じます。
しかし本当の奇跡とは…… §
実は銀魂も凄いです。そのうちに気が向いたら作品論を書くかもしれませんが、これも飛び抜けて凄い作品です。
更にいえば、ワンピース、NARUTO、アイシールド21も凄いし、こち亀も同様。
まだアニメになっていないネウロも凄い。
それらが全てジャンプというたった1つの少年誌に連載されているというのは、どういうことでしょう?
更に、枠を漫画界全体に拡大してみると、他にも凄い作品がいくつもあります。
何かこう、我々はとんでもない奇跡の時代に生きているのでしょうか?
もっとも、ほとんどの読者は何が凄いのか全くピンと来ていない……という状況はありそうです。むしろ、昔から漫画を読み続けている漫画マニアは、今の状況を取りこぼしつつあるような印象も受けます。
実は、漫画というものの質そのものが決定的に変わりつつあるのかもしれません。