うわ。これは面白い。
勢いで最後まで読まされてしまいました。
なぜ面白いのかというと、理由はたぶんカイジと同じです。
カイジが、ギャンブルを通して極限状況の心のドラマを描いているのと同じように、このハチワンダイバーも将棋というギャンブルを通して心を描いているのでしょう。
より具体的に言えば、心の痛みですね。
プロ棋士断念した主人公と、デリバリーメイドと賭け将棋師をしている美女のどちらも、大きな心の痛みを抱えた存在です。
そして、主人公は美女に将棋で全く勝てません。つまり、敗者として格下の立場になるのです。
しかし、デリバリーメイドとして呼ばれたとき、二人の立場は御主人様とメイドとなり、主人公は絶対的な支配権を手に入れます。
この極端な上下関係の入れ替わり、安定しない人間関係が心の痛みの表出そのものですね。素直に普通に付き合うことができないのです。
それにも関わらず、二人の間には何かの相互理解と信頼関係が生まれます。
互いに、相手に対して心の痛みを癒しうる何かを見出したのでしょうか。
それにしても…… §
この主人公の四角い目は異様ですね。
それで主人公ができるのだから、凄い作品です。
ちなみに、9×9=81マスの将棋盤に潜るのが将棋指しであり、それがハチワンダイバーというわけですね。分かってしまえば、奥深いタイトルです。ハチは日本語でワンは英語で不揃いですが、あえてチャンポンにしたことで語りやすい格好良いタイトルになっていると思います。言語センスも優れています。