怪物王女、おおきく振りかぶって。
この2つの作品は凄いです。
しかも、2つを連続して見せられるインパクトは絶大です。
怪物王女 第4話「交渉王女」 §
姫から命令された訳でもないのに、姫に代わって決闘を行うリザ。
これは、あえて自分から支配される立場に飛び込むようなものです。
おそらく、リザは殺す気になれば姫を殺せるはずです。
特に満月であれば、尚更です。
それにも関わらず、あえて自分よりも弱い相手に支配される立場を選び取る心理。
そして、紛れもなくそれを理解していた姫。
殺せる相手に服従する心理も、自分を殺せる相手を自分の配下に持つ心理も、いずれもある種の屈折の産物と言えるでしょう。
しかし、両者はその屈折を承認した上で笑いあって一緒に過ごすことができるわけです。
そういう、自分の一部を自ら差し出し、共有するような修羅の道を進めることは、ゾクッと来るような凄味のある魅力ですね。
おおきく振りかぶって 第4話『プレイ』 §
今回、最も興味深いのは、中学時代に三橋君の影で控え投手だった叶君が、どうしても勝ちたいという心情を吐露するところですね。
かつての状況は、三橋君に極めて屈折した心理を残していて、それを解消するためのこの試合という側面がありますが、叶君にも同じような屈折が存在するわけですね。
しかし、2人は同じではありません。
なぜなら、三橋君はチームメイトから状況を理解され、支援されているのに対して、叶君の屈折は全く理解されていないからです。
これは本当にゾクッと来る良い描写ですね。
心の叫びが聞こえてくるようです。
主人公達の監督の語りの見事さも素晴らしい。
実に見事な作品です。