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2007年05月07日
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「素足のGinRei EPISODE:1」の銀鈴が村雨の女装であることはなぜ価値があるのか

Written By: トーノZERO連絡先

 「見事に出来が良すぎるスカルマン第2話と、もりたけし作品としての「素足のGinRei EPISODE:1」の再評価」で以下のように書きました。

 衝撃のアルベルトのシャワーシーンを見せることも、銀鈴の正体が実は村雨健二であったことも、全ては本当の意味で価値のあることだったのです。

 それは、銀鈴が活躍する作品を作ることよりも、ずっと価値のあることだったのです。

 具体的にどのような価値があるのかを書かなかったので、補足します。

お断り §

 何せ、10年以上前に見たきりの作品のことをうろ覚えで書いています。

 内容は信じないでください。

 ちなみに、このあたりに少し内容紹介があります。

第1の価値・本当の銀鈴とは? §

 男が大きく思い入れしたヒロイン像と、実際の女性の心理や行動には大きな食い違いがあります。

 そして、「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」という作品は、人の心理をきちんと描くことで集団ドラマを成立させている作品です。僅かな銀鈴の登場シーンから肥大化したファンの情念と、作中の本来の銀鈴の行動は両立しません。

 つまり、銀鈴の魅力を最大限に引き出したファンムービーという企画そのものが本来なら成立しないのです。強行して作れば、ジャイアントロボのファンを失望させる作品になるか、銀鈴のファンを失望させる作品になるか、あるいは双方のファンを失望させる作品にならざるを得ません。

 しかし、ここで村雨の女装としての銀鈴を登場させることによって、不可能が可能になります。村雨の演じる銀鈴は、ある種、男がヒロインはこうあるべきだと考えた銀鈴像そのものです。

 その結果として、本当の銀鈴ではあり得ない男心を刺激する銀鈴が描かれることができたわけです。

 そのことは、同時にもう1つの強烈な主張を裏に伴います。

 それは「おまえらが思っているような銀鈴はいないんだよ」「いるとしても、男の女装でしかないんだよ」「そのことに気付よな」という痛烈な皮肉です。

 最後に村雨の女装が明かされるのは皮肉そのものです。

第2の価値・僕らが欲しかったのはヒロインではなくヒロインになることだった §

 しかし、これは価値の全てではありません。

 少し視点をずらすと、全く別の価値が浮上します。

 それは、「僕らがヒロインを大好きなのは、ヒロインが欲しいからではなく、僕自身がヒロインになってしまいたかったからだ」という価値観の全肯定です。

 まさに、そういう価値観を明確に意識しながら見た銀鈴ファンにとっては、価値観を全肯定される作品でしょう。

 このような価値観がおたく/オタク文化の源流にあることは間違いなく、そしてオタク文化の成熟に伴って大きなウェイトを占めるようになったのも事実でしょう。

 もう少し詳しく説明します。

 おたく/オタク文化の成立直前の状況で、その後おたく/オタクと呼ばれることになる者達の多く(男性)は少女マンガを読んでいました。その結果として、少女マンガの表現や方法論の多くが、おたく/オタク文化に持ち込まれています。つまり、初期のおたく/オタク文化の一部の側面は、まぎれもなく少女マンガの表現や方法論を用いた男性向けポルノとして構成されていたのです。

 さて、少女マンガは少女のヒロインに感情移入して読むのが基本パターンです。(そうではないものもけっこうあるが)

 従って、少女マンガ文化由来の男性向けポルノ(いわゆる美少女コミック)には、どうして「ヒロインの少女の側に感情移入して読む」という側面が出てきます。

 それまでの劇画調ポルノコミックとの決定的な差はここにあるような気がします。つまり、それまでのポルノコミックは女性側の心理をあまり描かず、あくまで男性視点で進行するのに対して、美少女コミックは男性側よりも女性側の心理を描き、女性視点で進行することが多いと感じられるわけです。

 この差異は、実は視覚によって刺激するポルノという観点からは有益です。なぜなら、女性視点で進行するということは、女性を描く頻度が高まり、読者の視覚をより刺激できるからです。

 そして、このような文化を源泉に持つおたく/オタク文化の一部には、明らかに「僕=ヒロイン」という読み方が常識として存在し、そこから派生した「僕がヒロインになってしまいたい」という憧憬が存在すると思います。

 このような憧憬は、社会からオタク文化が認知され、多数の新人の流入によって一度は薄められた感があります。

 しかし、オタク文化に浸り続ける者が多く存在し、ちょっとぐらいの刺激では満たされない者達が増えてくると、必然的にジェンダー倒錯的な文化の比率が高まってきます。その一部は紛れもなく、男性側による少年愛です。そして、別の一部は「僕=ヒロイン」という性転換願望として表出します。更に屈折が大きくなると、必然的に「女装によってヒロインになる僕」という構造が現出します。

 「女装によってヒロインになる僕」という構造は、たとえば最近では「プリンセス・プリンセス」や、「処女はお姉さまに恋してる」などの人気作品に見られることから、けして小さくはない一定の支持を得ていると考えられます。

 そして、村雨というれっきとした男の女装によって「本人以上に魅力的に」演じられるヒロイン銀鈴という構造は、まさにこの「女装によってヒロインになる僕」という欲求にジャストミートします。

 そういう意味では、作られるのが10年早すぎた作品なのかもしれません。

 とはいえ、「ホモじゃない!」と突っぱねているオタク相手に、「おまえの本性は女装によってヒロインになりたい僕だろう」と突き付けているとすれば、それはそれでまた皮肉な作品と言えるかもしれません。

補足 §

 ただし、女装願望=男性同性愛ではない点には注意が必要です。女装は服装倒錯/ジェンダー倒錯であって、性倒錯とは別のものです。女性の格好をしていても、愛し合いたい相手は女性である……という状況は典型的に見られるものです。

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