B000803DG0
Amazon.co.jp


B00074C5YI
Amazon.co.jp


B000JJR9E2
Amazon.co.jp

2007年05月24日
トーノZEROアニメ雑記total 3732 count

スカルマンに見られる、もりたけし監督流の小気味良い「毒」とは何か!?

Written By: トーノZERO連絡先

 やっとスカルマンという作品が持つ本質が見えてきた感じがあります。

 第四夜「散歩する幽霊」まで見た印象+αによる解釈です。

本来期待されたスカルマンとは? §

 スカルマンとは、非常に有名な特撮ヒーローである仮面ライダーの前段階となった作品と位置づけられます。

WikiPediaより引用

この『スカルマン』は、掲載の翌年1971年から雑誌『週刊ぼくらマガジン』で掲載がスタートした『仮面ライダー』の原型となった作品としても有名である。また、『スカルマン』掲載後しばらくして、テレビ局から“仮面をつけたヒーローもの”をやりたいという話が持ち上がったときに、石ノ森はこの『スカルマン』のことを思い出し、これをテレビ化することを提案したがテレビ局サイドから「骸骨は困る」と言われNGとなったが、どうしてもスカルマンのようなキャラクターを登場させたかった石ノ森はスカルマンの顔(骸骨)が昆虫に似ていることに気付き、結果、バッタをモチーフとした仮面ライダーというキャラクターが登場した。

 従って、特撮とアニメの違いを横に置くとすれば、アニメ・スカルマンという企画が目指したものは、仮面ライダーの原型の映像化であり、本来石ノ森が意図したヒーローの現実化であるはずです。

実際の放映されているスカルマンとは? §

 しかし、どうも実際に放映されているスカルマンは、このような期待を完全に裏切っているように見えます。

 悪の組織によって超人的な能力を得た主人公が敵を倒す……というドラマはたった1つの食い違いによって、ドラマの内容を180度反転させてしまっています。つまり、主人公はただの人間であり、悪の組織によって超人的な能力を得た骸骨男を追う者として位置づけられているのです。その結果として、ドラマは正義と悪の戦いではなく、謎を追うジャーナリストが謎を解き明かしていく内容に決定的に変わってしまっています。

 これは、特撮ヒーロー仮面ライダーの原点とは到底言えません。

だが、特撮の原点ではあるのだ §

 非常に多くの人が誤解しているような気がしますが、日本の特撮とは常に怪獣や変身ヒーローと共にあったわけではありません。更に言えば、初期の怪獣映画は、現在考えられている怪獣映画とは決定的に内容が違います。

 具体的に何が違うのかと言えば、主役は常に人間だという点です。

 人間が大災厄の一種である怪獣と立ち向かうのが、初期の怪獣映画の基本的なパターンです。人間には倒せない悪の怪獣を、正義の怪獣が倒してくれる……というのは、その後に出現したパターンであって、原点は違うということです。

 たとえば、ガメラの第1作は、ガメラという災厄をロケットにおびき寄せ、火星に送り込むことによって災厄を解決します。主役はあくまでガメラという災厄に立ち向かう人間です。

 そして、ここが重要なポイントですが、このようなパターンの映画が怪獣が存在しなくても成立するということです。非日常的な災厄さえあれば、映画は成立するのです。

 それは可能性の話ではありません。

 事実として、そのような映画は実際にいくらでもあります。

 たとえば昔見た映画に「電送人間」(1960年、東宝作品)というものがありますが、これは自分の身体を電気に変えて遠隔地に送ることができる装置を使った一種の架空犯罪映画です。(他に、「美女と液体人間」や「ガス人間第一号」といった映画も作られている)

 個人的には、「電送人間」は面白かったと思います。

 しかし、この主の面白さは急速に忘れ去られていった感があります。

 特撮の主役が人間から怪獣や変身ヒーローに交代してしまったからでしょう。

 特殊能力を持った人間が引き起こす奇怪な現象を知恵と行動力で解き明かし、犯人を追い詰めていく……というのは「子供には難解過ぎる大人のドラマ」なのかもしれません。特撮の対象年齢が下がって行くに従い、消えていくのは当然の成り行きだったのでしょう。

 しかし、消えてしまったとしても、かつては存在していたことは間違いないし、そういった作品の面白さを懐かしむ人達がいるのも事実なのでしょう。

スカルマンが本当に実現したものは? §

 そのように考えると、アニメのスカルマンが描いている「特撮ヒーローの原点回帰」が、まさに上記のような意味での特撮の原点を目指す行為であることが分かります。レトロな世界観や、ジャーナリストを主人公とするところなど、まさに上記のような原点を彷彿させます。そして、そこで行われているドラマは紛れもなく「特殊能力を持った人間が引き起こす奇怪な現象を知恵と行動力で解き明かし、犯人を追い詰めていく……」というドラマです。

 だからこそ、この作品は面白いのです。

 いつの間にか消えてしまったパターンであるからこそ、ずっと飢えてきたわけで、飢えきったところに与えられたパンであるからこそ、とてもとても面白いのです。(少なくとも、私にとっては)

望まれたものを与えない「毒」 §

 つまり、アニメのスカルマンは、本来期待された価値を与えると見せかけつつ実際には与えず、その代わりにもっと良いものを描いているわけです。

 そう思ったときにはたと気付きました。そのパターンは、『見事に出来が良すぎるスカルマン第2話と、もりたけし作品としての「素足のGinRei EPISODE:1」の再評価』『「素足のGinRei EPISODE:1」の銀鈴が村雨の女装であることはなぜ価値があるのか』で示した「素足のGinRei EPISODE:1」と酷似しています。この作品は、ヒロインの美少女「銀鈴」が活躍するファンサービスを提供すると見せかけつつ、実際には男の女装の偽物を活躍させてしまいます。

 同じ構造が出てきたということは、おそらくこれこそが「もりたけし監督流」なのでしょう。

 そう……。

 つまり、アニメのスカルマンは、もりたけし監督流の小気味良い「毒」を盛られた作品であり、だからこそ面白いのだと言えるのではないでしょうか?

 ただし、「毒」にあたって倒れてしまわなければ……、ですが。

Facebook

このサイト内の関連コンテンツ リスト

2007年
04月
30日
密かに気になる名前、もりたけし監督の『江戸っ子ボーイ がってん太助』に通じるテイストを感じた『スカルマン』
3days 0 count
total 9401 count
2007年
05月
06日
見事に出来が良すぎるスカルマン第2話と、もりたけし作品としての「素足のGinRei EPISODE:1」の再評価
3days 0 count
total 3159 count
2007年
07月
22日
凄いぞ、スカルマン! 最後の最後で主人公が正義の仮面ヒーローになるという予感を打ち砕く「毒」のある結末!!
3days 0 count
total 13594 count
2013年
11月
25日
トーノZERO映画感想
感想・映画「ガス人間 第一号」
3days 0 count
total 2248 count
2013年
11月
25日
川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記
五日市街道沿いで事件が起こる映画発見
3days 0 count
total 1965 count


B000803DG0
Amazon.co.jp


B00074C5YI
Amazon.co.jp


B000JJR9E2
Amazon.co.jp

このコンテンツを書いたトーノZEROへメッセージを送る

[メッセージ送信フォームを利用する]

メッセージ送信フォームを利用することで、トーノZEROに対してメッセージを送ることができます。

この機能は、100%確実にトーノZEROへメッセージを伝達するものではなく、また、確実にトーノZEROよりの返事を得られるものではないことにご注意ください。

このコンテンツへトラックバックするためのURL

http://mag.autumn.org/tb.aspx/20070524015752
サイトの表紙【アニメ雑記】の表紙【アニメ雑記】のコンテンツ全リスト 【アニメ雑記】の入手全リスト 【アニメ雑記】のRSS1.0形式の情報このサイトの全キーワードリスト 印刷用ページ

管理者: トーノZERO連絡先

Powered by MagSite2 Version 0.36 (Alpha-Test) Copyright (c) 2004-2021 Pie Dey.Co.,Ltd.