2007年08月24日
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19巻・エヴァンジェリンの眼鏡は「名誉顧問」の印ではなく、本音を隠す仮面だった

Written By: 川俣 晶連絡先

 うひゃ~。

 まだ発見がありますね。

 さすがネギま!は奥が深いです。(ただしコミックスに限る)

眼鏡のエヴァ §

 ネギま部の名誉顧問になったエヴァンジェリンは、眼鏡を掛けて出てきます。

 眼鏡には、矢印で「この辺りが名誉顧問」と書いてあります。

 うっかり最初はそれを信じていました。

 しかし違います。

 なぜかといえば、次に名誉顧問の肩書きを振りかざすときは、眼鏡ではなく腕章でそれを示すからです。

 では、どうしてエヴァはここで眼鏡を掛けたのでしょうか?

白い服/黒い服 §

 クウネルから明日菜の素性を聞いたエヴァは、それ以後、極めて素直に明日菜に好意的に振る舞います。このとき、エヴァは白い可愛い服を着ています。

 ところが、明日菜の部長就任に反対する時点で、黒い悪者っぽい服に着替え、眼鏡を掛けて出てきます。

 ここでのエヴァの態度はフェイクです。つまり演技です。

 本当は好意を持っているのに、明日菜を愚弄して見せます。

 より正確に言えば、好意があり、かつ、好意の理由を説明できないがゆえに、エヴァは愚弄という手段で好意を示したと言えます。

白い服/眼鏡無しへの復帰 §

 このあと、雪山で明日菜のチャレンジを見守るエヴァは、既に黒い服/眼鏡ありの状態から白い服/眼鏡無しの状態に復帰しています。

 ここでエヴァが語ることはエヴァ自身の明日菜に好意的な本音です。

つまり服の色と眼鏡とは…… §

 これらから明らかな通り、この19巻において、エヴァの黒い服と眼鏡は「明日菜に対する演技」の象徴として機能しています。眼鏡は本音を隠す仮面でしょう。

 逆に、白い服と眼鏡無しは、自らの明日菜に対する好意を隠さないエヴァの象徴でしょう。

中ボス宣言の真意 §

 明日菜を、自らの配下「悪の中ボス」として育成するというエヴァの宣言は、そのコマだけ白い服を脱いで黒い服で語っています。

 眼鏡はありませんが、黒い服が「演技」の象徴であるなら、この宣言も「演技」と見るべきものでしょう。つまり、エヴァは明日菜を「悪の中ボス」にしたいと思ってはおらず、むしろ好意的にネギを助けられるだけの力を付けてやろうと思っているのだろう……ということが推測されます。

表紙のエヴァ §

 表紙のエヴァも、黒い服+眼鏡ありですが、この不機嫌な表情のエヴァもフェイクなのでしょう。たぶん。

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