りすと亭V5の開発状況について、時々書くことにします。
りすと亭V5とは? §
りすと亭V4の後継バージョンとなります。
これまで、様々な案が検討されていますが、現時点で開発されているものは、規模としてはかなり縮小されたものです。
具体的には、ユーザーより早急な全文検索機能の実装が求められたため、これを満たすことが前提です。
しかしながら、単に全文検索機能を実装すれば良いというものではありません。一般の検索エンジンと異なり、コミュニティに対する検索では個人を特定した検索が不可欠と思われますが、個人情報保護の観点から電子メールアドレスを個人を特定するキーとして使うことは不適切な状況にあります。
従って、電子メールアドレス以外に個人を特定するIDを導入することにしました。
IDはシステムによって発行されるアルファベット3文字数字5文字のランダムな値であり、IDから具体的な個人を推測したり、それを用いて電子メールを送ることはできないものです。
このようなIDをいくつも所持して管理するのは現実的ではないため、複数のメーリングリスト/リスト板をまたがって複数のIDを共用できる統合ID管理の機能も必要とされます。
更に、統合ID管理の導入は、メンバー登録時のメールアドレス確認メールの返送先が1つで運用できることを意味します。メッセージの書き込みはWebブラウザ経由のみと限れば、通常のメーリングリスト/リスト板のPOPレス運用が可能になります。
POPレス運用には2つの効能があります。1つは、電子メールアドレスを減らすことにより、spamの送り先を減らし、メールサーバと管理者の負担を軽減すること。
もう1つは、電子メールは行末に改行が入ることによって単語が分割され、全文検索が上手く行かないケースが生じることへの対策になることです。
単に迷惑メールを減らすという話ではなく、より質の高い検索を実現するためにPOPレス運用の機能が用意されます。
もちろん、従来通りの運用も可能です。V4で可能だった運用形態はおおむね全てV5でも可能です。新しい運用形態は、管理者の選択によって可能になるものです。
つまり…… §
つまり、りすと亭V5は以下のような機能を提供するものとして開発中です。
- 全文検索
- 統合ID管理
- POPレス運用
- メッセージ型の拡張
以下、個々の機能について簡単に説明します。
全文検索 §
同梱するSQL Server 2005 Express Edition with Advanced Servicesのフルテキスト検索機能を用いて実現する予定です。
ExpressではないフルバージョンのSQL-Server 2005を持っている場合は、それを利用して容量制限のないメッセージデータベースを持つこともできます。
現在の開発状況は、必要とされる各種機能を試すスパイクの作成のみ完了。実際のコーディングには未着手です。
統合ID管理 §
1つのサーバ上の1つのポートに対して、1つの統合ID管理コンテキストを設定できます。
(注:コンテキストは、従来のメーリングリスト/リスト板に対応す新しい用語。ただし、最終的に確定はしていないので変化する可能性あり)
この統合ID管理は、HTTPによってアクセスでき、異なるりすと亭サーバに対してもサービスできます。つまり、複数のサーバのIDを1つの統合ID管理で一元的に管理できます。
ちなみに統合ID管理との通信メッセージはすべて暗号化されてやり取りされます。
現在の開発状況は、50%程度完成です。
POPレス運用 §
POPレス運用のメリットは上で説明した通りですが、副産物としてメッセージ書き込みの即時反映が実現されます。従来は一度POPサーバを通って一元的にメッセージの書き込みを処理していましたが、POPサーバの無い運用が可能になったため、POPサーバを経由しないメッセージの書き込み経路を付けました。これに伴い、配送処理のステップが1つ増え、メッセージの待ちキューも1つ増えています。
現在の開発状況は、70%程度完成です。
メッセージ型の拡張 §
改行を入れないメッセージはRFC2822と互換性が無くなるので、別のメッセージ型を導入します。
現在の開発状況は、未着手です。
スケジュール §
一応、10月が終わる前には最低限の機能を実装したアルファバージョンを公開したいと思いますが、はたしてどうなりますか……。