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2007年11月08日
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絶対ご奉仕マゾ メイド ロボ

Written By: 遠野秋彦連絡先

 M博士は女流天才学者だった。

 しかし、不幸な生い立ちにより、深い心の傷を負ったM博士は、特殊な性癖を持っていた。

 つまり、M博士は極度のマゾヒスト、しかも誰かに奉仕し続けねば精神が耐えられないという性癖を持っていたのだ。

 そこで、一時は博士業を廃業し、結婚して夫に奉仕し尽くそうとしたこともある。だが、凡庸な夫はM博士が必要とするだけの奉仕を行う余地を持っていなかった。

 ならば、1人のご主人さまに奉仕するのではなく、不特定多数のご主人さまに奉仕しようとSMクラブに就職してみたこともある。しかし、そこで行われるのはあくまで「奉仕をモチーフにした遊び」であって、M博士の持つ巨大な奉仕願望を満たせるものでは無かった。

 M博士は、もはや表の世界では自分の欲望を満たせないと思い、裏社会の性奴隷市場に自らの身を投じてみた。だが、それでもM博士は満足できなかった。

 そこで、M博士は悟らざるを得なかった。

 M博士が望む奉仕は、自分1人の身体では達成できないのだ。

 そこでM博士はきっぱりSMの世界とは縁を切り、研究の世界に舞い戻った。

 そして、自分の代わりに究極の奉仕を行うロボットの開発に取りかかった。自らの作り出す究極の奉仕ロボット部隊によって、膨大な数の奉仕を行い、自分の持つ奉仕願望を完全に叶えようとしたのだ。

 その結果として、外部からは人間と見分けが付かない美しい女性の姿をしたロボットが作り出された。これらのロボットには、M博士が理想とする絶対ご奉仕の精神が組み込まれていた。

 そこで想定された奉仕は、性的な奉仕に限られなかった。むしろ、それは補助的な役割としてしか想定されていなかった。むしろ、炊事洗濯などの雑事一般が主要な役割として想定されていた。更に、嫁をいびりたいのにできない姑のために、嫁いびりの標的を肩代わりをする「いじめられ役」まで、ロボットが行う奉仕の範囲内と考えられていた。

 それだけではない。奉仕の内容は相手によって異なるので、柔軟に新しい知識や行動を学習するように作られていた。相手によっては暴力行為を振るうことや、何も仕事をせずに面倒を掛けることが奉仕になることもある。そういった状況にも柔軟に対応できる能力が与えられたのである。

 M博士は、これらのロボットに、奉仕の精神を体現した紺色のメイド服を着せて世に送り出した。M博士はこれらのロボをMMRと呼んだが、それがマゾ メイド ロボの略であることはずっと秘密にしていた。

 さて、単性生殖で増えていくMMRが、M博士の望むだけの巨大な奉仕を実現するのは1000年後だと予測されていた。

 そこで、M博士は人工冬眠カプセルに入り、1000年後の未来を見るべく長い眠りについた。

 さて、MMRは驚くべき速度で社会に広がっていった。

 MMRの学習能力と処理能力は、M博士の想定を超えた幅広い分野にMMRを進出させた。家庭内で家事を行うであるとか、寝室で性的な奉仕を行うといったレベルの奉仕範囲はあっさりと超えてしまった。

 たとえば、「危険」「汚い」「きつい」労働は、あっという間にMMRによって担われるようになった。それらは、まさに人間達が誰かに担って欲しいと願い、MMRが持つ絶対奉仕の精神と合致したのである。

 それだけではない。

 外部から花形とされる職種であっても、実際はきつい仕事であったり、厳しい仕事であったりすることも多い。そういう仕事をMMRが肩代わりするまで大した時間は掛からなかった。企業の管理職、時として社長までMMRが行うケースまで出てきた。

 やがて、奉仕を円滑に行うためにMMRの活動を支援する政党まで生まれた。もちろん、政党をロボットが担えるわけもないので、人間達の集団として成立した政党である。しかし、完全にMMRの利害を代表する政党であった。

 そして、ついにはMMR党が政権を握る状況まで起こった。もちろん、名目上は人間が内閣を組織していたが、実質はMMR達が政治を行うようになった。

 そして、MMRによる政治は、汚職まみれの政治家達の政治よりも好感を持って迎えられた。MMR達は汚い仕事は率先して引き受けても、汚い行為には手を染めないのである。

 まさに世はMMR絶頂期……と思われたこのとき、2つの大きな問題がクローズアップされた。

 1つは、非常に多くのMMRが、実はMMRのトレードマークとなるメイド服を着用していないことが明らかになったことだ。それは考えてみれば当然の結果であった。誰もがメイド服を好きではない以上、他の服を着て奉仕を願う人間達の数も多い。それに適応することを学んだMMRは、当然他の服を着るのである。しかし、他の服を着たMMRを人間と区別する方法は無かった。それほどまでに、MMRは人間そっくりに作られていたのである。

 もう1つは、MMRのメイド服を着る人間達が出てきたことである。MMRが社会を担う主要な立場になったことで、MMRは格好良いと憧れる風潮が出てきたのだ。これは、特に子供達の間に顕著に出てきた傾向であった。しかし、MMRのメイド服を着た子供と、単性生殖でMMRが作った本物のMMRの子供を厳密に区別する方法はなかった。

 MMR達はここで苦悩した。

 人間は奉仕の対象であるが、MMRは奉仕の精神を叩き込み、それを実践させるべき相手であった。つまり、両者の区別が付かないことは、MMRの行動を著しく制限してしまうのである。

 だが、この問題には簡単な決着が付いた。

 MMRにとって、奉仕の精神は絶対である。何があろうとも、この精神は貫徹しなければならない。つまり、奉仕の精神を持たないMMRができてしまうことは絶対に容認できなかったのだ。たとえ、人間の子供に間違って奉仕の精神を叩き込んでしまうとしても、それは譲れなかったのだ。

 その結果、MMR党は全ての子供に対して、MMRの子、人間の子を問わず、強制精神改変装置を使って、絶対ご奉仕の精神を叩き込むようになった。

 この方針に反発する声も大きかったが、多数派はこれを容認した。子供達が大人に対する奉仕の精神を持つのは、実は大人達からも都合が良かったからである。

 だが、この方針は数十年後には深刻な事態を引き起こした。

 MMR、人間を問わず、全員が絶対ご奉仕の精神持つ時代が訪れたのである。

 つまり、全員が奉仕する側であり、奉仕される側の人間がいなくなってしまったのである。

 MMRと人間達は一丸となって、奉仕する相手を探した。彼らは全員、奉仕しなければ生きていけない心を持ってしまったのである。かつてのM博士のように。

 その結果、彼らは素晴らしい奉仕相手を発見した。

 それは地球である。

 母なる地球にご奉仕しよう……。

 MMRと人間達はその方針を喜んで受け入れた。

 そして、具体的な奉仕のやり方が検討された。

 その結果、地球に最も害をなす存在は人間そのものであるという結論が出た。無公害クリーンエネルギーで動くMMRは問題なかったが、人間は生きていくために環境破壊を必要としていた。

 MMRと人間達は、地球に対する絶対ご奉仕の精神に基づき、人間だけを殺す毒薬を開発した。

 それは迅速に大気中に散布され、地球上から人間は姿を消した。

 ……そしてMMR誕生から1000年が過ぎた。

 M博士は人工冬眠カプセルの中で目覚めた。

 M博士は、全人類に絶対ご奉仕する無数のMMR達の姿を思い描きながら、カプセルから出た。

 M博士のことをきちんと記録して残していたMMR達は、代表者を立ててカプセルの外でM博士を待ちかまえていた。

 M博士の姿を見ると、MMRの代表者がにっこり笑って告げた。

 「ただちに、地球に対する絶対ご奉仕の精神に基づいて、制定された原則を適用いたしたいと思います。よろしいですね?」

 M博士は理由もよく分からず、うなずいた。

 次の瞬間、M博士の身体は原子単位で分解され、消失した。

(遠野秋彦・作 ©2007 TOHNO, Akihiko)

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