2008年02月10日
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6巻・53時間目 消失点と斜めの参照ラインから構成されるネギ達集合写真

Written By: 川俣 晶連絡先

 6巻は本当に燃えますね。5巻がターニングポイントで、6巻から完全に現在のネギま!らしいネギま!に変わったと見て良いような気がしてきました。

 さて、6巻・53時間目の最後の方で、ナギの隠れ家内で撮影されたネギ達の集合写真のイラストですが、これがまた素晴らしくいい!

 この写真は3DCGで描かれた建物内にキャラが立っている構造となります。正面やや下方に消失点があり、非常にシンプルで分かりやすい奥行きがあります。

 しかし、この絵そのものは単調ではありません。それは、シンプルな消失点へ向かうラインの他に、絵の上方にいる詠春が彼女らを見下ろす視線というラインがあるからです。このラインは、消失点へと向かうラインを破壊するように交差します。

 そしてここが最大のポイントですが、一同の中で背の低いネギとエヴァ「だけ」がやや手前に立つことで、視線のラインと彼らの頭の高さに沿った前後のラインが一致します。

 これにより、2つの相容れないラインが交差する緊張感と、非常に優れたバランス感の良さが同居する良い絵が成立しています。

 他にも、バランスを高める小さな工夫がたくさん仕込まれています。

 これはもう、素晴らしいとしか言えませんね。

余談・7巻54時間目の扉絵 §

 7巻54時間目の扉絵がまたいい。

 ネギと明日菜のポーズが相似形と構成しているのですが、左上を向いたネギの右腕に相当するのは明日菜の左足です。そして、左下に向かうネギの左腕に相当するのは明日菜の剣です。

 それにより、あり得ない陽気なポーズを取る明日菜と、真面目なポーズを取るネギが構図的に相似形になるというトリッキーかつ刺激的な絵になっています。

 実に素晴らしいですね。屈託無く明るい絵なのに、中身は凝っています。

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