2008年02月12日
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8巻・67時間目扉絵 ファーストフードのポテトで描く美の世界

Written By: 川俣 晶連絡先

 8巻・67時間目扉絵も別の趣向、構造が凝らされていた面白い。

 この絵では、以下の3つのアイテムが全て画面中央上方を指向しています。

  • 刹那が口くわえた細長いフライドポテト
  • 木乃香の口の前にあるストロー
  • 明日菜が口の前に構えた細長いフライドポテト

 更に、3人の不自然にのび太腕も同じように画面中央上方を指向しています。

  • 刹那の左腕
  • 木乃香の右腕
  • 明日菜の右腕

 これは、顔の表情と相まって、中央上方から「元気」「希望」「未来」のような好ましい何かが3人に流れ込んでいるとも受け取れます。

 しかし、単に1つの中心から流れ出したものが拡散して終わりではありません。

 3人の足の部分を見ると、3人の足がW字型に絡み合っているのが見えます。中央上方から直線的に流れてきたラインは、下半身の部分で3人の間で絡まり合います。これは、3人が受け取った「好ましい何か」を互いに分け合う「友愛」「信頼」「絆」の関係にあるとも受け取れます。

 ただし、刹那と明日香は直接絡まり合っておらず、実際には木乃香がそれぞれ2人と深く絡まり合っている構造であるのが、作品的な1つの表現なのでしょう。

感想 §

 この扉絵が特に良いのは、「通俗的な食べ物であるファーストフード」と「ミニスカートでやや足を開き気味の木乃香」という「あまり品が良いとは言えない」アイテムを道具として使いつつ、全体として上品で美しい絵に仕立てている点でしょう。

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