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2008年05月18日
川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記total 7310 count

玉川上水、永泉寺橋跡地・下高井戸橋

Written By: 川俣 晶連絡先

 冗談抜きで時間に余裕がなくなってしまったので、今日は近場に行ってきました。玉川上水に掛かっていた永泉寺橋という橋があったと推定される場所です。一度、きちんとまとめておく価値があったので、良い機会だったも言えます。内容が内容だけに、「歴史資料館巡り」ではなく「下高井戸周辺史雑記」の方にいきなり書きます。

使用した航空写真について §

 ここでは、国土地理院の以下の航空写真を使用しています。

  • 整理番号: UM871 KT
  • 撮影年月日: 1948年3月29日
  • コース番号: C A
  • 写真番号: 43番

龍泉寺前の道路の謎 §

 龍泉寺前と玉川上水第三公園の間にある道路には奇妙な箇所があります。

龍泉寺前と玉川上水第三公園の間

 見ての通り、道路が急に狭くなっています。しかし、ここで道路のニーズが変化するわけではありません。ここで大多数の車は横道に入るから、ここからは太い道は不要……と考えてみても、そもそも横道はありません。あまりに不自然です。

 ということは、「今はもう必然性はないが、昔は必然性があった」可能性が考えられます。

 この箇所は、前から気になっていました。

玉川上水、永泉寺橋と下高井戸橋 §

 この位置は、玉川上水の下高井戸橋(欄干は現存)のすぐ西側にあたります。

 実は、下高井戸橋のすぐ西側に永泉寺橋という橋が存在していました。1948年米軍撮影の航空写真ではっきりと確認できます。

永泉寺橋と下高井戸橋

 橋そのものが見にくいので、橋に掛かった色を外した画像も以下に付けておきます。

永泉寺橋と下高井戸橋 (マークなし)

なぜ橋が2つもあるのか? §

 すぐ近くに橋が2つもあるのは、とても不自然です。

 こうなったのは、道路の付け替えが行われたからです。

 当初、永福通りは現在よりも東で玉川上水に突き当たり、玉川上水に沿って西に進んでから永泉寺橋で玉川上水を渡っていました。この経路は、昭和初期以前の古い地図で確認できます。(以下、水色の旧永福通りのラインはおおまかなイメージを描いているだけで、精度は全く無いことに注意してください)

旧永福通り

 このあと、昭和初期に永福通りをより効率よく通れるように付け直し、その結果として新しく「下高井戸橋」が作られたわけです。しかし、永泉寺橋が無くなったわけはなく、依然として残っていました。

 これが橋が2つある理由です。

もともと無かった道路? §

 航空写真では玉川上水北岸に沿ってずっと道路があるように見えます。

 しかし、古い地図を見ると旧永福通りに該当しない部分には道が無かったようにも見えます。とすれば、下の地図で「90度ターン?」と記した箇所は、橋に続くT字路ではなく、90度ターンして橋に入る「角」だったことになります。

謎のコーナー?

 とすれば、上記の「龍泉寺前の道路の謎」の不自然な箇所は、かつてこの「角」だった場所という可能性があり得ます。

現在の永泉寺橋と下高井戸橋 §

 「龍泉寺前の道路の謎」が永泉寺橋に曲がる跡というアイデアが正しいと仮定して、永泉寺橋跡地と推定される場所を撮影してきました。

 まず、龍泉寺を背中にして甲州街道方面を撮影した写真。この柵の中の部分に玉川上水が右から左に向かって流れていました。そして、それを渡る橋があったわけです。

推定永泉寺橋跡地・北から南へ

 次は、甲州街道を背中にして龍泉寺方面を撮影した写真。

推定永泉寺橋跡地・南から北へ

 柵の中に見えているのは時代によってRCサーキット等様々なものに解釈される玉川上水第三公園のローラースケート場です。

 以下は現在の下高井戸橋を、永福町方面から甲州街道側に向かって見た光景です。橋の欄干が残されていて、「下高井戸橋」「昭和二年一月成」という文字を読み取ることができます。

下高井戸橋

永泉寺坂と旅館 §

 過去に「永泉寺の名を冠した別の公園『永泉寺坂児童遊園』は不思議な構造の興味深い公園!?」で「永泉寺坂」という名称についての問題を認識しましたが、実は「坂の愛好家」がこの坂を取り上げていることに最近気づきました。この方面に思い至らなかったのはうかつでした。

坂道散歩 杉並区の坂-2より

永泉寺坂  下高井戸2-21の龍泉寺と、永福1-5の永昌寺の間を北に下る永福通り。坂下は神田川の永福橋。

昔、永泉寺がここにあり、後に永昌寺と合併した。そこで永昌寺と龍泉寺の間の坂をこの名で呼ぶ。

 さて、この坂は下高井戸橋のすぐ北側にあります。そして、その坂の途中には旅館があります。

永泉寺坂の旅館

 これは「よろづや旅館」といい、いわゆる「連れ込み旅館」となります。今時のラボホテルと違うレトロな感じから、昔からこの地にあった旅館かと思いきや、そうではありません。この旅館、少なくとも私が幼稚園に通っていた頃(つまり昭和40年代)には下高井戸駅の南側にあったのです。それはもう、旅館の看板を見ながら幼稚園に通っていたので間違いありません。(←とんでもない幼稚園児ですね)

 この旅館が建っている土地には、永福通りの道路の付け替えで空いた旧道路が含まれている可能性があるのではないか、と考えています。(そのような、余剰の土地があるから移転先にすることができた可能性があるのではないか?)

 ちなみに、永福通りの「神田川、甲州街道間」は道路の付け替えや、神田川の付け替えによって道路や橋の状況が激変しているので、永泉寺坂も全面的に「昔通り」ではない可能性があり得ます。

名称の問題 §

 「玉川上水路関係分水調査報告 昭和37年4月 東京都水道局」の地図には「永泉橋」と記述されていて、「永泉寺橋」ではありません。これは、神田川に掛かる「栄泉橋」と名前を混同した可能性もあり得ますが、定かではありません。

 「玉川上水 橋と碑と 蓑田倜(たかし) クリオ 一九九三年十一月一五日発行」では、永泉寺橋が下高井戸橋に改められたと記述されていて、同じ橋の名前が変更されたかのようにも読めます。

感想 §

 不確定の問題も含めて、まとめて書くことができたので、ちょっとだけ気持ちがすっきり!

 ちなみに、神田川の永福橋北東の、かつて養魚場のあったあたりの写真も撮りましたが、煩雑になりすぎるし話題として直接関係ないので割愛!

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下高井戸周辺史雑記


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