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2008年06月05日
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オルランドと太平洋戦争

Written By: 遠野秋彦連絡先

※ この作品はフィクションであり、登場する全ての人名、地名、国家名等は全て架空のものです。

 太平洋戦争、つまり主に日本とアメリカによって戦われた戦争は、ある種の必然性によって引き起こされたと言える。

 それはなぜか。

 日本は、陸軍こそ北の大陸を目指していたものの、海軍は南の大洋への進出を意図していた。日本列島からの南下である。

 一方アメリカは、フロンティアの開拓が西海岸に到達した後もフロンティアを必要としており、必然的に太平洋を押し渡って更なる西への勢力拡大を行おうとしていた。アメリカの植民地であったフィリピンとは、まさにそのような意味で必要とされた西方の土地だったといえる。

 そして、南下を意図する日本と、西進を意図するアメリカは、必然的に太平洋で衝突を引き起こさざるを得なかったのである。

 特に、欧州勢力が大戦で疲弊した第1次大戦後においては、太平洋とはまさに日米が雌雄を決する決戦場となったのである。

 だが、日米はストレートに太平洋で戦争を始めることはできなかった。なぜかといえば、太平洋上にはオルランドという不安材料が存在したためである。公式には国際社会から完全に黙殺され、存在しないことにされたオルランドではあるが、もちろん軍人達はそれを信じた訳ではない。軍事的な意味でのオルランドは、まさに実在の存在として意識されていたのである。

 事実として、各国の軍艦はしばしば偶然、あるいは意図的にオルランドの領海に侵入し、場合によっては戦闘を引き起こしていた。オルランド海軍の艦艇が領海侵犯を理由に退去を求めたとき、オルランドを国家として承認していない他国の軍人の中には退去の必要を認めずとして居座り、オルランド海軍の武力行使を誘発することが珍しくなかったのである。そして、そのような状況は常にオルランド側の圧勝に終わった。

 たとえば、日本海軍は5500トン級軽巡洋艦を中心とした5隻の艦隊(艦名不詳)でオルランドの領海に入り込み、1000トンそこそこの小型駆逐艦1隻から警告を受けた事件がある。このとき、日本海軍側では戦力差は圧倒的であり戦えば容易に勝てると考えられていたようだ。そのような圧倒的な戦力差があればこそ、警告を無視して居座るという選択を取ったのである。

 だが、結果としてその判断は誤りだった。オルランドの駆逐艦は実際には駆逐艦ではなく超小型の装甲高速艦のような存在であった。日本海軍の駆逐艦の主砲であった12.7センチ砲はもとより、軽巡洋艦の主砲である15.5センチ砲ですら、オルランド艦の装甲は弾き返した。装甲の形状と材質が全く違っていたからである。また日本海軍自慢の魚雷は、魚雷に匹敵する圧倒的な高速性によってあっさりとかわされてしまった。最後に、数秒ごとに発射される速射砲が次々に日本艦の艦上の主要な兵装を撃破し、戦闘力を奪っていった。

 日本海軍側は1隻も沈むことなくオルランド領海を離脱した。これは、オルランド側が面倒を嫌って兵装のみ撃破して艦そのものは沈めないで返したためである。

 アメリカ側にも同じような事件はいくつも起きていた。

 その結果として、日米双方はオルランドを太平洋における両国の決戦の不確定要因と見なして恐れていた。オルランドが敵国の味方に付いたら……、あるいは敵国が先にオルランドを占領して数十年は先を行く高度な軍事技術を入手したら……という疑心暗鬼は留まることがなかった。

 だが、煮え切らない状況は1930年代に流れ始めたとある噂によって決定的に変化してしまう。その噂とは、オルランドが全長2キロメートルにも達し、核砲弾発射可能な80センチ砲搭載の超巨大戦艦2隻を建造したという内容であった。もちろん、日米いずれも核分裂爆弾の可能性を知らなかったわけではない。しかし、そのための理論を最も素早く提唱した物理学者達は迫害され、国を追われていた。それにより、核の研究は立ち後れていた。一方で、迫害された物理学者達をオルランドは積極的に迎え入れ、研究に対して惜しみない全面的な援助を行っていた。これによる技術格差は、未だに核兵器の実験すら実現できていない日米と、既に核兵器を使用する実戦兵器を完成させたオルランドという差になって現れていた。

 このままでは、太平洋の覇者はオルランドになってしまう、という危惧を日米双方は具体的に抱いた。

 その結果として、オルランドの軍備がこれ以上増強される前に決着を付ける必要が生じ、日米双方の海軍が激突する太平洋戦争が引き起こされることになったのである。

 序盤の戦闘において、日本海軍は圧倒的な強さを発揮し、アメリカ海軍を追い詰めた。ここで日本海軍が使用したのは、実績のある戦艦による砲撃戦ではなく、全く新しい空母による航空攻撃という戦法である。そのような大胆な戦法を採用したのは、それがオルランドの巨大戦艦対策として有効と考えられたからである。いかに巨大な戦艦が、いかに強力な核砲弾を発射しようとも、射程距離は航空機の航続距離には及ばない。核砲弾の射程圏外から、航空機を発進させれば艦隊に危険はない。そして、まさか自艦の間近で核砲弾を炸裂させることはできないだろうから、航空機の高速性で懐に飛び込んでしまえば、もはや核砲弾は無力化したも同然である。そして、航空魚雷10発前後でこの巨大戦艦は撃沈可能という試算が出ていた。対米開戦後に日本海軍が米英艦隊に仕掛けた航空攻撃とは、対オルランド戦の予行演習でもあったのだ。

 それは予想以上の成功を収め、ここで日本海軍はオルランドと戦える絶対的な自信を得た。そして、対オルランド侵攻作戦を開始した。この作戦は本来の意図を秘匿するためにミッドウェー島を攻略すると情報を流していたが、実際の目標はオルランドそのものであった。

 日本海軍の暗号を解読したアメリカ海軍は正しく日本海軍の意図を見抜き、アメリカ海軍もミッドウェー島防衛という名目でオルランド侵攻を準備した。もちろん戦力で劣るアメリカ海軍は正面から戦おうとはしていなかった。日本海軍との戦闘で疲弊したオルランドを攻略しようという意図で、日本艦隊よりもやや遅れてオルランドに進撃する手はずになっていた。

 そして誰も予想しなかった出来事が起きた。

 オルランドが所有する3隻の双胴空母から発進した攻撃機隊(超音速のジェット機だったとされる)は、やすやすと日本艦隊の防空網を突破し、瞬く間に日本海軍の強さの象徴である4隻の正規空母、赤城、加賀、飛龍、蒼龍は撃沈した。

 オルランドが航空機による攻撃を仕掛けてくる可能性について、日本海軍も考えていなかったわけではない。しかし、オルランドの軍用機の数少ない目撃証言の中に「加速したら主翼が後ろによじれた」というものがあったため、機体構造は脆弱で恐るるに足らないと判断されていたのである。そのときに目撃されたのは可変後退翼機であり、加速に応じて主翼を後退させたに過ぎなかったのだが、音速を超える航空機すらまだ可能性の問題として論じられるレベルの日本側にそれを理解するすべは無かった。そして、超音速で艦隊の防空網を突破してくるオルランドの攻撃機隊を阻止する手段を、日本側は持ち合わせてはいなかった。

 日本艦隊はオルランドの領海にわずかに侵入した直後に、圧倒的な負けを認めて引き返すしかなかった。オルランド領海から出ていこうとする日本艦隊への追撃はなかった。

 アメリカ艦隊は、そのような経緯の把握が遅れた。その結果、日本艦隊を盾にしつつオルランド領海に侵入していると思いつつ、実は盾になっていたはずの日本艦隊は既にいないという状況が発生していた。

 結果として、アメリカ艦隊の中でも先行する形になっていた第17任務部隊はオルランド艦載機による空襲を受け、空母ヨークタウンは撃沈された。その頃になって、ようやく状況を把握したアメリカ艦隊も撤退を開始したため、それ以上の損害は被らずに退去に成功した。

 その後、日米両軍がソロモン諸島を中心とした戦いに注力していくのは、むしろオルランドを刺激しない場所で戦う方が得策という判断に基づくものだった。アメリカが用いた飛び石作戦で、一部の島々は飛ばして進撃するという方針も、やはりオルランドを刺激しそうな場所は避けて通るという判断の言い換えに過ぎなかった。

 しかし、日米艦隊を撃退したオルランドも全てが丸く収まったわけではない。けして裕福ではないオルランドが莫大な費用をかけて建造した超巨大戦艦が全く役に立たなかったからである。それどころか、貨物輸送も効率的に可能という名目で安価に建造された積載量だけは多い双胴空母の方が遙かに役立ったのである。戦艦建造が間違いだったことは明らかであった。にも関わらず、それを認めることはできなかった。既に2隻の超巨大戦艦はオルランドの守護の象徴、国民の誇りとなっていたからである。オルランドは、実質的に国家防衛の役に立たない2隻の戦艦を、しばらくの間、莫大な維持費を掛けて存続させていかねばならないことになる。

(遠野秋彦・作 ©2008 TOHNO, Akihiko)

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