Ｂザクさんからメッセージを頂きました。(ってか、同一人物なのに毎回名前を変えてません?)
Ｍ１４の幽霊船ですが、この間Ｍ６のグレイプニルとの戦いの際、光学迷彩を破壊した後ターミナス島の脇に出てくるコンテナ船(星マークつき)も撃沈したのに幽霊船モードになっていました。Ｍ１４のものとあわせて考えてみると動かない艦船は沈没するムービーが省略されてるようです。ただＭ３の湾内に停泊している巡洋艦、フリゲートや時々出てくるレサスの潜水艦は幽霊船状態にはなってないのですが・・・ナムコの手抜き？
「MISSION 14B Offline・攻撃が当たらず突然消える謎の幽霊船!?」の続きです。
実際にMISSION 06A The Midnight SunをFALKEN+TLSで飛んでみました。
確かに、撃破された★CONT SHIPが沈まず、突然消滅する光景を目撃できました。このミッションは、★CONT SHIPが出現する瞬間からグレイプニルが高度を上げ始め、一定時間内にTGTを仕留める必要が生じます。その関係上、★CONT SHIPを撃破した後それをじっくり見ることは通常あり得ず、誰も気付かないで放置されたのかもしれません。つまり、発売前のテストプレイでも見逃されやすい場所にあったと言えます。
「手抜き」という解釈の問題 §
1つ気になるのは、実は幽霊船問題ではなく、「ナムコの手抜き？」という解釈です。
これは、他の場所でもしばしば見られる話でもあります。
たとえばACE COMBAT 5あたりに見られる「おかしな動作」を、全て「意図された動作」と見なし、そのような「おかしな動作」をプレイヤーに押しつける「悪意」に対する反発のような意見を見ることがあります。
これらの解釈は、ゲーム中に発生する全ての挙動は、全て開発側の意図によるもの……、つまりゲームの全てを開発者は完全にコントロール可能であるという暗黙の前提の上に成り立っているものだと思います。
しかし、これは全くの誤りです。
なぜかといえば、
コンピュータのプログラムというものは、人間が完全に全てを支配できないもの
だからです。
最終的に0と1だけのデジタル情報で記述され、その0と1を全て思い通りに指定できるにも関わらず、プログラムを完全に支配できないというのは奇異に思えるかもしれません。しかしこれは歴然とした事実です。
しかし、なぜ支配できないのでしょうか?
まず、コンピュータは情報論理に支配されていて、人間の支配下にはないことがあります。情報の論理が許さないことは、いかに人間が命じても実行できません。
そして、人間はいかに努力しても間違いをゼロにすることはできません。そのため、いわゆるバグをゼロにすることはできません。特に、プログラムに対する要求は刻一刻と変化していくため、正しいプログラムの姿すら流動的であることに注意が必要です。このような状況下で、プログラムの全てを完全に正しく書き下ろすことはまず不可能です。
その結果として、作成されたプログラムには、多くの「誰も意図していない挙動」が入り込みます。そのような挙動は、テストプレイによって検出し、プログラムの修正によって除去される必要があります。
しかし、それも万全ではありません。まず、テストプレイで発見されず、見逃される問題が必ずあります。テストプレイを行う人間も完全ではないのです。
次に、発見された問題を修正するには時間とコストが掛かります。しかし、開発期間も予算も有限です。全ての問題を修正できないかもしれません。そこで、重要度の高い問題から順に修正を行う必要が生じます。重要度の高い問題とは、主にゲームの進行が止まってしまうような問題を示します。
逆に、本来水面下に沈むはずの船が沈まず、突然消滅するような問題は「重要度が低い」と言えます。なぜなら、そのような「幽霊船」があっても、ゲームの進行にはほとんど影響がないからです。
そして、そのような問題が残るのは「手抜き」ではないのです。与えられた期間と予算を精一杯使って、重要度の高い問題を全て除去してゲームをリリースできたのなら、それは手を抜かないで誇るべき仕事をこなしたことになるのです。「手抜き」とは対処すべき問題への対処を行った行為に対して使うべき言葉で、このケースでは必ずしも当てはまらないでしょう。
それが大人の世界の評価であり、プロの世界の評価というものです。
