「イノセン・テイセスは本当に「女の子に飛ぶことの素晴らしさを教えながら一緒に飛ぶ」オタク好みの戦う美少女ゲームになるか?」に書いた話題の続きというか、余談になります。
ACE COMBAT 3が嫌われる理由とは? §
割と高い割合で、ACE COMBAT 3は嫌われています。
嫌うのは、硬派なミリタリーなゲームを望むプレイヤーが主であるようにも見えます。私なりに嫌われる理由を意訳すると、以下のようになります。
- アニメっぽい絵柄の女の子が何人も出てきて、硬派なゲームをやりたいのに気持ち悪くてうざい
つまり、「アニメ美少女ウハウハ萌えゲーム」はイヤだよ。
その対極として好まれるのが、「黄色の13」が渋くて格好いいACE COMBAT 04ということになります。
しかし、このような解釈は事実でしょうか?
そもそも本当に「アニメ美少女ウハウハ萌えゲーム」か? §
AC3のアニメ美少女といえば、おそらくはフィー、シンシア、玲名の3名でしょう。
確かに彼女らは明確に「アニメ美少女」として描かれます。
最初のミッションに出撃する前にフィーや玲名からのTV電話を見ると、美少女達とじゃれ合いながら飛ぶ「ハーレム」的なムードも漂います。
しかし、実際にミッションを進めていくと、可愛いアニメ美少女に囲まれてウハウハする展開など無いし、それどころか女の子達は精神的な屈折をプレイヤーに叩き付けてきます。それも、恋愛の変種としての屈折のぶつけ合いなどではありません。最終的に、淡い恋愛感情のようなものが生じることはあるにせよ、それは最後のミッションが終わった後でしかありません。
つまり、このゲームでは、恋愛感情抜きで他人が持つ心の屈折と向かい合い続けることが求められるわけです。それを逃れる手段はありません。たとえばフィーの「ディジョン、元凶め!」といった女の子らしい可愛さとは無縁の台詞を聞かされながら飛ぶしかないわけです。
それは不快な体験かもしれない §
つまり、ACE COMBAT 3はアニメ美少女のウハウハなハーレムを予感させながら始まるにも関わらず、実際にはそのような展開は無く、予感された甘美さの対極にあるような不快感が叩き付けられてくるわけです。
であるならば、ACE COMBAT 3を嫌う心情の発生源は、「アニメ美少女ウハウハ萌えゲームだから」ではなく、「アニメ美少女なのにウハウハ萌えゲームになっていないから」という点にある、という可能性も考えられます。
そして、このような裏切られた不快感は、上手く言語化できない可能性があります。その場合、強いて言語にしようと思うなら、直接的に不快感を発生させた「アニメ美少女が悪い」という意見として表出してしまう可能性があり得ます。それは、より詳細化していくと、「アニメ美少女は萌えだから悪い」=「萌えのないACE COMBAT 04に不快感はない」、といった形で意見が横滑りしてしまう可能性もあり得ます。
ならば「ウハウハ萌えゲーム」にすれば良かったのか? §
ならば、ゲームの最初に予感させたような「アニメ美少女ウハウハ萌えゲーム」に仕上げれば良かったのでしょうか? そうすれば、ACE COMBAT 3は大人気ゲームになったのでしょうか?
それはおそらくノーだと思います。
なぜかといえば、この「不快感」こそは物語の奥行きを広げ、より多くの人により大きな感銘を与える原動力になったとも考えられるからです。
だから、ACE COMBAT 3はこのストーリーの方が良いのです。アンチAC3派に叩かれるぐらいのアクの強さを持つからこそ、これは良いものなのです。
まとめ §
なんてね。
ここに書いたことを真面目に信じてはいかんぞ!
