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スカイ・クロライノセン・テイセス 1
紀伊國屋書店

2008年08月03日
トーノZEROゲームプレイ日記スカイ・クロラ イノセン・テイセスtotal 4234 count

毎度繰り返されるワンパターン迷言? 今時時代錯誤なプロペラ機のゲームは売れるはずがないのか!?

Written By: トーノZERO連絡先

 映画スカイ・クロラを見てきたので、良い機会なのでこの話題を書きます。

 かなり前の話になりますが、「Wii「スカイ・クロラ イノセン・テイセス」先行体験会で体験したぞ! 夢のプロペラ機版のACE COMBATはここにあった!?」に対して、間接的に言及された感想を思われる文章があることに気付きました。内容は以下の通りです。

まー、趣味で書いた小説をゲーム化したもんだから、そんなもんでは?

プロペラ機だけが好きな人がちゃんと買ってくれるといいね。

この文章を検討してみよう §

 では文章を解体して、何が書いてあるのかを抽出、整理してみましょう。

  • 「小説をゲーム化」である
  • 原作は「趣味で書いた小説」である
  • 「そんなもん」という水準の内容である
  • 購入層は「プロペラ機だけが好きな人」(ジェット機「も」好きな人が買うことはあり得ない)

 「ちゃんと買ってくれるといいね」という部分は更にいくつかのニュアンスを示します。

  • 売れない可能性は大きい
  • それでも少しは売れれば良いと思っている
  • しかし、あくまで他人事である
  • 発言者は、原作者やゲーム製作者よりも、幅広い視野を持った上位の立場から発言している

 以上をまとめると以下のような趣旨が浮かび上がります。

  • プロペラ機を題材にした小説やゲームは商業的に成功するために作るものではなく、趣味を満足させるために作るものである
  • プロペラ機以外も愛好する者は、たとえプロペラ機「も」好きであっても、プロペラ機というジャンルの小説やゲームに手を出すことはない。他のジャンルの方が面白いからである。つまり、プロペラ機というジャンルは最も面白くなく、マイナーである
  • 従って、イノセン・テイセスが大量に売れることはない
  • それではあまりに可愛そうだから、少なくとも購入対象層(プロペラ機だけが好きな人)にだけは売れて欲しいと言葉では書いておくが、しょせんは他人事である。つまり、そのようなゲームが面白いわけが無く、自分がそれに取り組む可能性は全くない
  • 発言者は、原作者やゲーム製作者よりも広範囲の知識や見識を持ち、的確な状況判断と未来予測が可能であると確信している

 はたして、このような主張は妥当でしょうか?

突っ込みどころは多い §

 1つ1つ検討していくと、どれも突っ込みどころばかりと言えます。

 主立ったところを以下にまとめます。

  • イノセン・テイセスは小説ではなく映画を元にしたゲーム企画であり、映画版スタッフの関与が大きい。原作小説のあり方の影響度は映画と比較してそれほど大きくはない。それ以前に、押井守監督の映画の存在についての認識がすっぽり欠落している (押井ファンに喧嘩を売っているに等しい)
  • 小説「スカイ・クロラ」は趣味性の高い作品であるのは事実だが、商業出版物として書かれ、出版され、商品として流通して消費されている。それを「趣味の小説」と称してあたかも「商品に値しない」かのように主張するのは実状に反する (森ファン、商品として小説スカイ・クロラを買った全ての人たちに喧嘩を売っているに等しい)
  • 映画「紅の豚」を始め、プロペラ機を題材にした作品、プロペラ機「も」題材にした作品は、ジェット機全盛期になった以後にも数多く製作されていて、商業的に成功した作品がいくつもある (それにも関わらず、プロペラ機を題材にしているというだけで「劣った存在」と決めつけるのは、そのような作品を支持した者達全員に喧嘩を売っているに等しい)

 というわけで、結論としてはずいぶんといろいろな相手に喧嘩を売りまくっている主張だな、と思います。しかし、おそらく本人にその自覚はないでしょう。つまり、「原作者やゲーム製作者よりも広範囲の知識や見識を持ち」ではなく、むしろ平均以下の知識や見識しか無いために、「的確な状況判断と未来予測」が全く出来ていないと見るべきでしょう。

 しかし、その話はこの文章の主題ではありません。

 主題は別にあります。

繰り返されるパターン §

 この文章のバックグラウンドには、以下のような認識があるように感じられます。(感じるだけです。本当かどうかは知りません)

  • ジェット機やミサイルで戦うゲームが既にいくつもあるのに、今更劣ったプロペラ機や機銃で戦うゲームが面白いわけがない

 これは、昔からよくあるパターンの繰り返しだな、というのが個人的な感想です。

 以下それを見てみましょう。

小さすぎるガンダム §

 昔、どこかで読んだ話ですが、機動戦士ガンダムの企画でガンダムの身長が18メートルであるのが小さすぎるとスポンサーが不安に感じたという話があります。今時、ガンダムが「小さい」と思う人はいないでしょう。ガンダムは巨大な人型兵器であり、人間とガンダムが並んだ映像ではその巨大さを実感できます。

 それにも関わらず、なぜ不安が出たのかといえば、当時の巨大ロボットの身長が巨大化していたからです。たとえば、有名どころのコンバトラーVが身長57メートル。ガンダムの前番組となるダイターン3が120メートルです。このような設定上の数字だけ見ていくと、身長18メートルはあまりに小さく非力で魅力を欠くように見えるかもしれません。

 しかし、実際に人間の身長の10倍もあるロボットが小さいわけがありません。単純に数字だけが一人歩きした話と言えます。

ロケット打ち上げはドラマにならないオネアミスの翼 §

 「オネアミスの翼」の映画企画がアニメファンに知れ渡ったとき、以下のような意見を聞いたことがあります。

  • 既に宇宙で活躍するドラマがいくつも作られているのに、今更宇宙に行くだけの映画を作って何の意味があるのか

 しかし、実際に映画が公開されるとこういった意見はピタッと聞こえなくなりました。(少なくとも、個人的には)

 本来、ロケット打ち上げとはそれ自体がドラマになる魅力的なイベントです。それを題材にして、ドラマチックな映画ができるのはある意味で当たり前。

 しかし、宇宙が当たり前だと思い込んでしまうと、そのような「当たり前」が見えなくなってしまうわけですね。

盛り上がらないサクラ大戦 §

 今では人気美少女スチームパンクのシリーズといえるサクラ大戦ですが、第1作の発売までは「おや?」と思うほど盛り上がりを欠いていた印象があります。本当かどうかは知りませんが。

 やはり、「現代や未来の作品がいくらでもあるのに、今更大正時代を舞台にしてどうするのか」といった「理解できない」人が多かったのではないかと思います。思うだけで事実かは分かりませんが。

感想 §

 というわけで。

 古い題材が新しい作品に出てくるごとに、「何を今更」「面白いわけがない」「魅力があるわけがない」「よほどひねくれた好事家以外、相手にするわけがない」といった感想が出てくるのは、いつになっても消えることがないパターンなのだな……と思いました。

 しかし、その手の感想は現物が出てきてそれをみんなが見ることで消えていくのも事実。まあ、イノセン・テイセスも同じような経路を辿って、みんなに受容されていくのでしょう。

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