今日は、世田谷美術館分館 向井潤吉アトリエ館に行って、「平成20年第2期展 書籍の仕事-向井潤吉の場合」を見てきました。
驚異の近さ §
世田谷線松陰神社前駅から徒歩で行けます。つまり、うちから乗り換え無しで行けます。しかも、上町駅、世田谷駅のあたりまでは「庭」感覚で行けるので、世田谷駅の次の松陰神社前駅はほんの庭先感覚です。
これは驚異の近さと言っても過言ではありません。
戦争画、児童画 §
向井潤吉は兵役を経験した後、従軍して記事や絵を描いているようです。また、その関連からか、戦争関係の書籍や記事のイラストも手がけているようです。たとえば、辻政信著「ノモンハン」(展示には1945年と書いてあったか)の表紙を描いているのは、かなり鮮烈が印象です。(いやまあ、辻政信やノモンハン事件を知らない人は自分で調べてもらうとして)
児童画の方は、私が見ていた児童書よりも1世代古い感じで、武部本一郎が描いた児童書向けイラストと違って直接知っている絵は見つかりませんでした。しかし、何かの機会院見たことがある可能性はあり得るものだ、とも思いました。
そういう意味で、けして遠い存在ではないと感じます。
批判精神のある民家の絵 §
日本の古い民家を多く描いた画家ではありますが、西洋の町並みも描いているし、日本の民家も光沢のある油彩で描かれています。これは、単なる日本至上主義、懐古趣味、現実からの逃避、過去の美化ではあり得ません。ボロボロの建物はきちんとボロボロの状態で描かれています。そういうスパイスが効いているから、地味な色の建物の絵であっても、強烈に訴えてくるものがあるのだろうと思います。建物周囲の木や草とのコントラストも含めて。
というわけで、非常に楽しめました。