2008年12月10日
トーノZEROアニメ感想宇宙戦艦ヤマトtotal 5789 count

「補給戦」というガミラスの合理性から必然的に導き出されるドメル駄目将軍説!?

Written By: トーノZERO連絡先

 最近、宇宙戦艦ヤマト第1作TVシリーズのガミラスの行動について、実は極めて合理的であったという解釈を思いつきました。

 その解釈は、必然的にドメルが駄目将軍であるという結論を導き出します。

 以下、アイデアの根幹のみ簡単に書きます。

ガミラスと前線 §

 ガミラスは大マゼラン星雲にあります。戦線は大小マゼラン星雲と、遠く離れた銀河系の地球にあります。

 ここで地球だけが桁違いに遠い点が実はポイントになります。

 「遠い」という事実は、実は「補給」という問題に直結します。

 戦うには武器弾薬食料から衣服や娯楽まで、あらゆる物資が必要です。そして、遠い場所までそれを運ぶ労力とコストは馬鹿になりません。輸送システムも整備しなければなりません。

 距離が遠くなれば遠くなるほど、戦いに占める「補給」の割合は多くなります。

 従って、ガミラスの対地球作戦とは、実質的に「補給の戦い」であったと考えられます。

「補給」問題と解決 §

 ガミラスは地球に対して科学力でも軍事力でも優越していたにも関わらず、正面から決戦を挑みません。遠く離れた冥王星に基地を設けて、遊星爆弾でじわじわと追い詰めるだけです。

 これは「補給」という問題を考えると合理的な選択であることが分かります。おそらく、冥王星近くのアステロイドベルト(ヤマトが隠れた場所)の小惑星を原材料に作られた遊星爆弾は、ガミラスからミサイルを運ぶのに比べて大幅なコストダウンが可能であったはずです。何しろ、現地調達であれば輸送の負荷が掛かりません。

 そして、それを使ってじわじわと地球を締め上げる行為も、補給負荷の掛からない選択肢です。

超巨大ミサイルと反射衛星砲 §

 冥王星基地に、超巨大ミサイルや反射衛星砲といった強力な最新装備がある理由も分かります。凡庸な装備を大量に送ると補給負荷が上がるので、強力な最新装備を少しだけ送る方が良いからです。

高速空母はどこに消えたのか §

 ワープテストを行うヤマトを攻撃した高速空母は撃沈されていないにも関わらず、再登場しません。これは、以下のように解釈すると筋が通ります。

  • ブラックタイガー隊と空戦で搭載機部隊の多くを失った (最後に空母自ら攻撃を必要としたことの理由付けにもなる)
  • 搭載機部隊の再編成を行う必要が生じた
  • 機体やパイロットを受け取って訓練を施せるのはおそらくガミラス本星
  • そのため、高速空母は遠路はるばる時間を掛けてガミラス本星まで戻った
  • その間に冥王星基地は陥落していた

 これもまた、補給路の長さという状況から再登場できない理由が見えてきます。

デスラー機雷とガス生命体 §

 冥王星基地を突破したヤマトの前に立ちはだかるのはデスラー機雷とガス生命体です。かなり消極的な戦法にも見えますが、大艦隊を差し向けるよりもはるかに少ない補給量で実行可能な戦法だったのでしょう。

 ガミラス側が大軍をヤマトに向けて動かせるようになるのは、ヤマトが中間補給基地であるバラン星に近づいてからです。

バラノドンの功 §

 実はゲールが執心したバラノドンも現地調達の兵器です。バラン星ですら、思い通りに資材を送るには遠すぎるのでしょう。だから、現地調達のバラノドンで戦おうとしたゲールはガミラスの対地球戦略の理解者であると考えられます。

ドメルの無理解 §

 とすれば、ゲールのバラノドン利用を理解できなかったドメルは、必然的にガミラスの対地球戦略を理解していないことになります。

 このことは、バラン星基地の扱いに関する食い違いとして露呈します。ゲールとデスラーは、バラン星基地が失われることが「補給戦を破綻させる耐え難い問題」であることを理解していますが、ドメルは理解できていません。

 おそらく、ドメルとは戦闘の天才であり、補給が問題にならない大小マゼラン星雲でのみ成果を出してきた将軍なのでしょう。

ドメルの復活 §

 しかし、ドメルは罪を許されて復活します。

 ヤマトとの決戦場が大マゼラン星雲に近い宙域になれば、もはや補給コストは問題になりません。長距離ではないからです。このような状況で戦うのであれば、求められるのは「補給戦」の理解者(シュルツやゲール)ではなく、「戦闘の天才」つまりドメルなのでしょう。

 つまり、ドメルは駄目将軍であるが、欠点が問題にならない状況にガミラスが陥ったために復活が叶ったと考えられます。

なぜドメルの大艦隊は七色星団にいないのか §

 これも補給の問題として解釈できます。たとえガミラス本星の近くであろうと、大艦隊を動かすには補給が必要です。ヤマトとの決戦のために瞬間物質移送機のような新装備を建造してしまったドメルには(あるいはガミラスには)、もはや大艦隊を動かす予算が残っていなかったとも解釈できます。

なぜ三段空母と戦闘空母は最初からヤマト攻撃に使われていないのか §

 三段空母と戦闘空母は強力な兵器であるにも関わらず、冥王星には配備されておらず、バラン星に赴任したドメル艦隊にも含まれていません。3隻の三段空母と戦闘空母の計4隻はそれぞれルビー戦線やサファイア戦線やオメガ戦線からかき集められたものです。

 これは、これらの空母が「補給」の問題から遠隔地での運用に適さないと考えれば筋が通ります。これに対して、高速空母は遠隔地での運用ができる空母であったと考えることができます。

感想 §

 ドメルのモデルとなったと言われることも多いロンメルも補給軽視と言われることがあります。そういう意味で、モデルをなぞったキャラクター造形と言えるのかもしれません。

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