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2009年01月12日
川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記total 5508 count

下高井戸 吉田園の位置をほぼ確定・それはプールのある有名な施設だった!!

Written By: 川俣 晶連絡先

 「きむらたかし@三田用水」さんより『あいぼりー特別号 京王線・井の頭線 むかし物語 総集編』2003年 京王電鉄株式会社広報部に「玉川上水の桜が描かれた、大正時代の京王電車案内図」という図版に「吉田園」が描かれているという情報を頂きました。

 そうなると、この種の路線図を掲載した本を確か持っていたはずだな……と思って少し探すと「新宿歴史博物館特別展図録 特急電車と沿線風景~小田急・京王・西武のあゆみと地域の変遷~」が出てきました。しかし、掲載された路線図はいずれも縮小されており、文字までは読めません。

 更なる探索を続けました。

 京王電鉄50年史を開くも空振り。

 京王帝都電鉄三十年史を見ると、発見。15ページに「大正5年当時の京王線路線図」という図版に吉田園の名前が。しかし、なんと笹塚駅の真上に描いてあります。大宮八幡は更にその上。玉川上水は上高井戸の上あたりに少しだけ。これを見て「下高井戸に吉田園があった」とは読み取れません。がっくし。

 鉄道ピクトリアルの京王特集号を開いてみますが、なかなか収穫に出会えず。「鉄道ピクトリアル 1993年7月臨時増刊号<特集>京王帝都電鉄」の168ページにある「京王帝都電鉄 戦前の沿線案内図」の「京王電車 沿線名所図絵(昭和3年1月当時のもの)」に吉田園が池?のある施設として明確に描かれているものの、道路の描き方が完全にでたらめで、位置関係の推定に役に立つか分かりません。ただし、明らかに玉川上水の北側に描かれています。橋の向こうです。

 更に、「鉄道ピクトリアル 2003年7月号増刊 Vol.53 No.7 通巻No.734 <特集>京王電鉄」 で遭遇。120ページ「京王電車沿線案内」とだけ書かれた図版に吉田園と書かれています。しかし、かなりデフォルメされた地図で、代田橋~下高井戸の北方というおおまかな位置に見えます。ただし、玉川上水の北側であることは明確に示されています。更に、156ページの「戦前の京王電車沿線案内 1935(昭和10)~1936(昭和11)年頃」の京王車庫前(現桜上水駅)の真北に「吉田園プール」の文字が。これも明らかに玉川上水の北側に描かれていますが、「プール」という文字は初めて見ました。

 ……。

 は?

 プール?

プール!?

 底抜けにびっくり。

 仮にプールだとすれば、地図や航空写真で格段に探しやすくなります。更に言えば、大正ならともかく、「1935(昭和10)~1936(昭和11)年頃」に存在していたとすれば、昭和22~23年頃にも残存している可能性が高く、航空写真での探索はあり得ます。

 しかし、これは上手く行きませんでした。

 更にありったけの資料を掘り出して見ていくと……。

 ついに、吉田園の文字の入った地図に到達しました。

 「特別展 杉並の地図をよむ 展示図録」の「東京府豊玉郡高井戸町全図 昭和5年」です。

東京府豊玉郡高井戸町全図 昭和5年

 更に、プールのようにも見える線が描かれた地図も発見。「特別展 杉並の地図をよむ 展示図録」の「1/10000「上高井戸」昭22, 「経堂」昭22」です。

1/10000「上高井戸」昭22, 「経堂」昭22

 ちなみに、明30と昭33にはありませんが、昭14にもプールらしい線があります。

極めて大ざっぱな現在地図での位置 §

 青が上記プールっぽい場所に対応。緑が吉田園として示されたあたりの位置です。


大きな地図で見る

プールの所在地 §

 プールの所在地は、玉川上水下高井戸分水下流部に接続する神田川支流(神田川から離れて合流する)に接しています。この支流には、他に向陽中学校のプール、東電グラウンドのプール、ろう学校のプール(現存しない)も接しています。つまり、プールは水路跡に接して建設されることが多いという法則から考えて、ここにプールが存在した可能性は高いと考えます。

考察 §

 意識的に探すと次から次へと名前が見つかります。ですから、有名であったことは間違いないでしょう。しかし、描かれた位置はまちまちであり、場所を把握しにくいという点でも大変な存在です。

 航空写真があまり当てにならないのは、おそらく戦時中にプールとしての営業をやめてしまったからではないか、と推定しますが定かではありません。

 しかし、プールが設置されるべき立地の条件から逆算して、ここにプールがあったという想定は妥当であり、ここが最終的な想定位置と考えます。

感想 §

 この結論は愕然としました。

 理由は以下の通りです。

  • 特にこだわっている玉川上水下高井戸分水の下流部である上に、散歩の定番コースで本当に何回も歩いた場所がそれだった
  • それほど身近な場所なのにプールのある有名な行楽地だった
  • 自宅を探すと山ほど「吉田園」の名前が出てきた
  • つい最近行ったプールの立地に関する研究が、全く予想しなかったことに役立った

 いやー。本当にどれほど身近なことでも、分かった気になってはいけなかったのですね。

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