きむらたかし@三田用水さんより昭和23年前後と推定される「北澤警察署管内全図」という地図を見せていただきました。水路はかなりアバウトに描かれているので、参考程度に見て、派出所や駐在所等はあてになるだろうとチェックしてみると……。何と、松沢小学校の向かい側、現在「松屋」があるあたりに「七軒町」という派出所があることを発見してビックリ。「七軒町」といえば、玉電(世田谷線)廃駅の1つであり、位置的には下高井戸の次の駅にあたります。つまり、この派出所の位置は、「七軒町」駅よりも「下高井戸」駅に近いのです。しかも、想定していた位置から、かなり遠い位置にあります。7軒の家があったから「七軒町」などという解釈からすれば、かなり狭い範囲を示す土地かと思っていましたが、そうではないことになります。
というわけで、いずれ調べねばなるまいと思っていましたが、きむらたかし@三田用水さんより更に「世田谷の地名」(世田谷区教育委員会昭和59年3月10日)に掲載された地図を見せていただきました。(第257図 松原村西部図)
ここに示された七軒町の範囲をGoogleマイマップに図示してみました。青い範囲がそれです。黄色のピンが七軒町駅。赤いピンが七軒町派出所の位置です。
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分かったこと §
- 七軒町とは現在我々が「下高井戸」と認識する下高井戸駅周辺商店街の大部分を含む地域であり、実質的に「下高井戸」そのものである
- 東は菅原神社に至る道、北は甲州街道、東は松沢小学校、南はまさに七軒町駅跡地まで包含し、かなり広い
- 七軒町駅は七軒町の地理的範囲の南端ぎりぎりにあたり、全く中心的な位置ではない
- 京王線、世田谷線(玉電)の下高井戸駅はすっぽり完全に七軒町の地理的範囲内に存在するが、これらの駅が七軒町と呼ばれたことはない
- 廃駅趣味に関する文章や発言で言及される「七軒町」はたいていの場合この駅と周辺を七軒町と捉えているか、あるいはそのように読めるような構成となっている
まさに「やられた!」という感じです。
たとえば、玉電の思い出に関するDVDに収録されたインタビューの中に七軒町に対する言及がありましたが、完全に下高井戸とは別の地域というニュアンスで語られていたように聞こえました。しかし、これも聞く側の思い込みによる誤解だったかもしれません。
分からないこと §
- 七軒町派出所は相変わらず七軒町の地理的範囲外にある
しかし、この部分は境界線が不自然です。上記地図で緑で示した範囲が七軒町ではないとすると、北側は杉並区なので、ここだけ細長く別の地域が延長されていることになります。
七軒町は「赤堤4丁目付近の旧町名」という解釈から赤堤4丁目の境界線を調べると、緑の範囲も赤堤4丁目に含まれることが分かりました。
というわけで、可能性としては以下の3つが考えられます。
とはいえ、七軒町派出所が七軒町の東端ぎりぎり近くに位置するのも間違いないでしょう。七軒町駅と七軒町派出所の距離の差に驚かされたのは、どちらも七軒町の地理的範囲のエッジ近くに位置したからなのでしょう。
感想 §
私にとって、狭い地域の郷土史に踏み込んでいく最初の契機は、おそらく七軒町駅です。どこか遠くに行かずとも「廃駅」探索ができると知ったことは、大きな収穫でした。しかし、まさかその「七軒町」がこれほどのインパクトを持って「下高井戸」に絡んでくるとは思ってもいませんでした。まさか「隣」ではなく「そのもの」だったとは。
