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2009年02月05日
川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記total 4314 count

標高データと古道と水路跡から考察する玉川上水から北沢川への取水経路・これは万治元年(1658)北沢用水最初の取入口!?

Written By: 川俣 晶連絡先

 どうやら、北沢川(北沢用水)に対する取水経路の一部が下高井戸の地理的範囲内にも存在した可能性が濃厚に思えてきたので、ともかく取り組んでみることにしました。

 以下の地図上のマークの位置とラインは極めて大ざっぱです。標高データと物証の関連性を示す意図以上のものはありません。その点にご注意ください。

現時点で分かっている情報 §

地図1

 背景の色の濃淡は標高データを示します。赤が30m、青が40m、緑が50mです。(神田川の赤はラインで引いたのではなく標高図示色の赤です)

 白線上の黄丸は、線路の下に水路が存在している(した)ことが物証や歴史的史料などからほぼ確実に確認できた箇所です。

 赤線上の黄丸は、『文化財シリーズ26 甲州道中「高井戸宿」』(杉並区教育委員会)の下高井戸宿復元鳥瞰図(江戸後期)に記された用水抜石橋の位置です。

 白線と赤線の間にある黄四角は、暗渠/水路跡と思われる物証を確認した位置です。

 北沢川は実際には2本の水路がセットになって続いている区間が多いのですが、主題ではないので曖昧な太い線で図示しています。左下の池は、松沢病院内にある池で、北沢川の本来の水源(の1つ)と想定したものです。

 鎌倉街道のラインは、荻窪圭さんの世田谷古道地図を参考に引いたものです。

線が引けるよ! §

 というわけで、標高データの低い部分とヒント/証拠が存在するポイントを線で結んでみました。

地図2

 この通り、あっさりと綺麗な線が引けてしまいます。

 このラインを想定すると、北沢用水に対する取水点は単に1つの点が2回移転しただけでなく、後から増設されたという可能性も出てきます。この件は疑問の提示のみで、ここでは検証できる段階にはありません。

最も西の線の問題 §

 最も西の線には、実は対応する用水抜石橋がありません。

 強引にそこを経由させると以下のようになります。

地図3

 しかし、これは鎌倉街道をまたいでしまうという不都合を生じます。また、極端に無駄な経路を流れているという感じもあり、実際には以下のような経路を想定する方が素直に思えます。

地図4

 しかし、ここで問題を「万治元年(1658)北沢用水最初の取入口」と位置づけると違った光景が見えてきます。つまり、用水抜石橋の位置の根拠とした江戸後期の図が対象とした時代には、この経路はもう使われていなかった可能性が考えられるわけです。

 もし、用水抜石橋が見あたらない問題を除外して考えると、最初の図のラインが合理的であり、そこに1つの水路体系が見えてきます。つまり、万治元年(1658)時点での北沢川の主要な水源は玉川上水+池と想定できるわけですが、この2つのいずれもが鎌倉街道以東にあり、鎌倉街道と交差する水路を持たないで済むわけです。このことは、図を作成中に鎌倉街道が池の北西を通っている状況を見たときに気付きました。

 2009/06/18追記。最も西の線の問題については、「上北沢の気になる空き地等」と「松原分場脇水路(仮称)についての諸問題」もご参照下さい。より具体的な話をまとめています。

まとめ §

 ここで提起された疑問点は主に以下の2点です。

  • 北沢川(北沢用水)が玉川上水に対する複数の取水点を持っていた可能性はあり得るか? (従来の解釈ではおそらく「無い」とされていたと思う)
  • 「万治元年(1658)北沢用水最初の取入口」の位置が、鎌倉街道との位置関係で決定された、ということがあり得るか?

発展的な課題 §

  • 京王線と交差した水路の跡は物証として残っているケースがある (北沢川と交差する部分は、実は高架下に2箇所の明瞭な物証が残っているのを昨日発見した)。他にも交差部分の物証を見いだせる可能性は無いか?
  • 荒玉水道と玉川上水の交点付近に存在する謎の細長い土地」で述べた存在理由が全く分からない土地は、実は上記の地図の最も東側の水路の上流部分(玉川上水への接続点)という可能性は無いか? (この可能性が是だとすると、この水路は荒玉水道建設時に暗渠や排水路を含む水路としての命脈を絶たれ、役割を終えた可能性がある。つまり、下水道網に組み込まれるチャンスすら無く、他の水路跡よりも早く寿命が尽きた可能性がある)

感想 §

 標高データと古道と水路跡の三位一体攻撃で、自分には手が届かない高みにあると思っていた北沢川の話題に手が届いてしまいました (届いたと言っても、意義のあることを示せるかは別問題だが)。特に、荒玉水道建設によって決定的に破壊されてしまった旧水路の想定ラインを描けるようになったことは、(それが正しいか否かは別として)、お隣世田谷の他人の話題ではなく、全く完全に私の話題です。なにしろ、ここは小中学校時代の通学路脇ですよ。あれまあ。

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