というわけで、OAD第三話『ネギ・パーティー準備万端!!』を見たわけですが。
実は、全く期待していませんでした。
たとえば、第二話の感想で以下のように書いた問題は、萌えアニメが持つ必然的な帰結であり、これは解消できないだろうと思ったからです。
- 本来あるはずの心理描写がごっそり欠落している (本来はそこが見所)
- 作品にメリハリが少ない (キャラの違いや状況による違いを、演出的にあまり描き分けられていない)
ところが……。
うん。この2つの問題が解消されてしまっていますよ。
きちんと作品として作られています。
心理描写というのは…… §
たとえば、最後の方でエヴァンジェリンがネギに語りかけるシーンで、当初詰問口調だったのが途中から柔らかい好感口調に変わるシーンがあります。
ダメな演出だとこれは以下のように処理されます。
- 顔はアップで描く
- 口調が変わるところで表情を変える
- あとは声優さんの演技次第だが、演出意図が上手く伝わっていないとあまり口調は変わらないかもしれない
しかし、このOADでは以下のように演出されています。
- ロングで遠景として描かれる
- 口調が変わるところで表情を変える
- きちんと演出意図を踏まえて声優の演技がキャラの心情の吐露となっている
- 口調が変わる瞬間に、風になびくエヴァの髪の向きが、右から左に180度変わる
ここで注目すべきは最後の「髪のなびく向き」です。これによって心情の切り替えが絵的に印象づけられています。これがあるべき心理描写というものです。心理描写というのは、単に表情を描くとか、声優が演技をすれば良いというものではなく、絵と音の全てを使って描くものです。そして、これを行うためには、最初の「ロングで遠景」というポイントが重要な意味を持ちます。ロングだから髪の向きが印象的に見えるのです。
他の箇所でも、心理描写はいろいろな演出手法を使って、上手く印象的に描かれていると思います。
結論 §
ここまで描いてくれれば文句はないですよ!
というか、最後まで画面から目が離せませんでしたよ!