2009年02月22日
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25巻・日本語とラテン語ではなく口語と文語の二重表現

Written By: 川俣 晶連絡先

 25巻でハッとさせられたのは、のどかが発動する魔法の表現が、よくある「日本語+異言語(ラテン語等)」という二重表現ではなく、

我、汝の真名を問う

 という文語の表現に

アナタノオナマエ ナンデスカ

 という口語のルビが振ってある点です。

 つまり、どちらも日本語です。

 ここで、文語は違和感のある異言語の一種として認識されますが、意味の分かる表現でもあります。このさじ加減がムードを盛り上げます。

 しかし、話はこれで終わりません。

 というのは、口語表現の「アナタノオナマエ ナンデスカ」をカタカナで表記することによって、実はこれが文語世界から見た異言語世界として表現され、この口語の言葉こそが本来ありえない「呪文」として機能するからです。

 つまり、ここには裏返しの二重構造があります。相互補完的に、互いの非日常感を盛り上げる機能性を持っています。

 ラテン語、梵語から祝詞まで書いてきたネギま!が更に日本語だけでこれだけ盛り上げる表現に到達したのは、やはり凄いことだと思います。

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