実はゆるやかな私的「あだち充」再評価の流れがあります。
1つに、数年前に買った冒険少年が予想を大きく裏切るほど良かったこと。
もう1つは、アニメで放送開始されたクロスゲームが、これまで大きく裏切るほど良かったこと。
クロスゲームというのは、本質的におそらく過去の「野球もの」のジャンルが描かなかった「野球をすることそのものの困難さ」を描いている点で興味深い存在です。つまり、本人さえその気になれば野球ができるのは常に「当たり前」だったのです。おそらく最大の障害は「野球部の廃部」であり、それは「部活動」存続の問題であって、野球そのものを行う困難さとは異質のものです。名門!第三野球部のような作品も(アニメを少し見ただけではありますが)、結局はこのような世界観から逸脱するものではないでしょう。
そういう意味で、まず野球をすることそのものが乗り越えるべき障害であるようなクロスゲームは、かなり新鮮でエキサイティングに思えます。
……ということを考えつつ、こういうコミックを本屋で見かけて買ってしまいました。