2009年7月現在放送中のアニメ、ヤッターマン(リメイク版)の2009/06/28放送、第48話「ヤッターメカ大図鑑だコロン!」を何気なくへろへろと眺めていたとき、あまりの凄さに驚きました。何せ、玉川上水や神田川といった単語がポンポンと出てきたのです。
WikiPediaのヤッターマン (2008年のテレビアニメ)より
ヤッターアンコウ
(中略)
海に出るときのルートは、「ヤッターマン基地」→「ヒミツの水路」→「玉川上水」→「井の頭公園の池」→「神田川の地下調整池」→「新宿の地下鉄(東京メトロ丸ノ内線・副都心線)の下の水路」→「御茶ノ水駅の横(神田川)」→「お台場」となっている。
地元の人でないと分からないローカルなネタとヤッターマン本人に突っ込まれるほど詳細です。しかも地図的に見てよく考えられています。リメイク版のヤッターマン基地は国分寺にあると設定されています。ここから太平洋に出る場合、(ヤッターアンコウが航行できる水量があるかは別として)、この経路を辿ることにはある種の合理性があります。特に良いのが、当初玉川上水を航行していたものが、井の頭の池を経由して神田川に移動する点です。玉川上水をそのまま下ると浅間橋で行き止まりになってしまいます。そこから神田川へ地下水路で水を流していますが、いくらアニメとしてデフォルメするとしてもそこを経由すると設定するのは無理があります。その点で、間近を通る井の頭の池を経由して神田川に出るのはかなりよく考えた経路です。
もう1つ、神田川の調整池から新宿の地下鉄の下に抜ける経路も地図的によく考えられています。というのは、神田川をそのまま下るとけっこう北に遠回りすることになってしまうからです。そうではなく、架空の秘密水路を経由して四谷付近の外堀に抜けるとすれば、(地下水路を簡単に掘れる架空のテクノロジーさえあれば)、緊急出動するヤッターメカの出動経路としては悪くないと思います。
更に言えば、リメイク版は第1作と違ってフジテレビではなく日本テレビであるため、局の都合を考えればお台場よりも汐留に出るべきですが、明らかにこの経路ではお台場方面に抜けるのが地図的に自然です。
とすれば…… §
ここまで考えると、実はヤッタージンベエの格納庫の位置も、地図的なリアリティがあるのではないかと思えてきます。
WikiPediaのヤッターマン (2008年のテレビアニメ)より
ヤッタージンベエ
(中略)
第1作目の「ヤッターキング」、「ヤッターゾウ」と同様、超大型飛行母艦の役割を果たし、内部に他のヤッターメカを搭載する事が可能である。これほどの巨体を置ける場所は基地には無かったらしく、このため基地から10キロ程離れた湖付近に格納庫を設置し、普段はそこで待機している。出動時にはヤッターマン基地がせり上がって発射口が開く。
ヤッターマンの基地が国分寺だとすれば、そこから10kmぐらい離れた湖と言えば……。
それはもう、多摩湖と狭山湖がほぼ10kmの位置にピッタリ存在します。
ヤッターマンが出動の際、長いトンネルを落下しながら移動するのも、ヤッターマンが乗り込んだヤッタージンベエが長いトンネルを通って国分寺のヤッターマン基地から発進するのも、全て地図的なリアリティのある合理的な描写だと言えます。
(もちろん、地図的なリアリティ=リアルではないが……)
本当にマニアックなアニメとは §
第1作と同じように、どこかの架空の国として無国籍な作りにしても構わないでしょう。あるいは東京と設定するにしても、何となくそれっぽいTOKYOでも良かったはずです。しかし、それでは済まさずに丁寧に設定を1つ1つ積み上げて映像として描写するのは、言葉で説明される以上の厚みを作品に与えていると思います。そういう作品の方が、こだわって見る面白さがありますね。
いやそれにしても、うちのすぐ裏手の神田川を航行してヤッターアンコウが出動する設定だったとは。夢が広がります。
もっとも、実際に神田川を見ると「この水量でヤッターアンコウは無理だな」と思ってしまいますが。高度処理水が流れ込んで流量が増える落合から先ならともかく。
でも良いのです。アニメは夢を見るためのものだから。現実を見たければ現地に行けば良いのですから。
余談 §
ヤッタージンベエ出動シーンでヤッターマン1号2号の上に座っているオモッチャマの態度がやけにふてぶてしくて、ボケボケボヤッキーのオモッチャマっぽくて好き。