これまで自宅ではコレガ無線LANルータ CG-WLBARGEを使用していました。これは自宅無線LANルータ史上たいへんに画期的なデバイスでした。というのは、Dynabook SS RX1の内蔵無線LAN NICと併用したとき、初めて安定して安心できる無線LAN環境を得られたからです。その理由はおそらく、Draft11n対応で複数のアンテナを冗長的に使う点にあったのだろうと思います。ちなみにCG-WLBARGEとセットになっていたPCカードのNICもDraft11n対応でしたが、安定性は十分ではありませんでした。アンテナの位置の問題などもあるのだろうと思います。Dynabook SS RX1内蔵無線LAN NICなら安定しました。
問題は多かった §
しかし、いかに画期的とはいえCG-WLBARGEに問題が多かったことも事実です。
- 暗号化すると通信速度のスローダウンが著しい
- 暗号化とDraft11nを共存するには暗号化オフまたはAESを設定しなければならない。つまり、11g等と共存できる仕様だがAES非対応機器との接続が実質的にできない (特にXbox360やNintendo DSがつながらない)
- 時々、いきなり勝手に再起動する。その際、PPPoE接続を閉じないので、プロバイダ側がタイムアウトするまでPPPoEの再接続ができず、外部との通信が不能になる
- ファームウェア等のアップデートがほとんど提供されていない
- Dynabook SS RX1に入れたWindows 7 RTMで、どうしても11nで接続できず、11gになっていた
とりあえず、最後の1つが致命的です。速度が遅くなるだけでなく、安定性も落ちます。実際、VPN経由のリモートデスクトップの接続がいつの間にか切れている……という事態は日常茶飯事。
一応、原因の調査に乗り出したものの、あまり確実なことは分かりません。Windows 7のBetaやRCも使ってはいるものの、無線LAN環境で試したことはないので、それらとの比較もできません。Windows 7 RTMやドライバの問題かと思って調べてみると、11n接続できないという話は出てきません。
おそらくCG-WLBARGEの11nが古いDraft対応なのが良くないのだろう……とあたりを付け、無線LANルータ親機の更新に踏み切ることにしました。
BUFFALO WHR-HP-G300Nを買う §
というわけで、昨日、新宿のヨドバシまで行ってBUFFALO WHR-HP-G300Nを買ってきました。
最近、貧乏なので上位機種は無理。1つランクの落ちるモデルです。ちなみに、このモデルを選んだ理由は以下の通りです。
- マニアではないので、ブランドにはこだわらない
- ヨドバシ級の大量販売店の店頭でもっともたくさん積んであるブランドなら致命的な欠陥はないだろう (あればサポート対応でメーカーの経営が既に傾いているはず)
- 正式11n対応のシールが箱に貼ってあった
- LANポートが4つある (1つの安いモデルもあったが、それでは現行ルータを素直に置き換えられない)
- ハイパワー (送信出力が大きければ、その分だけ安定度が上がる可能性があり得るが、片方だけパワーが上がるだけだと気休めか?)
- ライバル店対抗の都合で、手書きで安い値段を書き込んだ札を付けていた
決め手は最後の項目でしょうか。
実際に使った感想 §
- セットアップは愕然とするほど楽。AOSS対応ルータが入った瞬間に世界が変わった感じか
- 付属ベースを壁に取り付けて壁掛けにしようと思ったが、付属ベースで本体を引っかける部分が上手く安定して合わない。何とかはめても、ゆるくて浅いので、硬いケーブルのテンションに負けそう。ここで浪費した時間がおそらく最大
- 壁掛け型で設置するとランプ類が壁に平行する向きに出てしまい、正面からほとんど見えない
- Nintendo DS Liteはやたら時間が掛かったがAOSSで認識して何も設定せずに接続した (今朝、きちんとドラクエ9のWi-Fiショッピングで買い物できたので確実)
- Xbox360は暗号化キーを手動で調べて設定したら接続した
- 古い無線LAN機器が1つあったが、それだけではどうしても接続できなかった (そもそも親機の存在を認識できなかった)
- Dynabook SS RX1とは130Mの11n接続したが、転送速度は極めて速く安定している
最後の1つは予想もしなかったメリットです。接続速度の理論値は変わっていませんが、CG-WLBARGEでは暗号化するとスローダウンした通信が、暗号ありでも爆速のままです。結果として、同等の機器を交換したのではなく、より高速の機器と交換したことになり、コストを掛けた効能を実感できました。
300M通信の罠 §
さて。WHR-HP-G300Nの箱にはでかでかと300と書いてあります。というわけで、ここまで上手く行くと、欲が出てきます。上級者用のツールをインストールして設定すると、WHR-HP-G300Nは300対応になります。ダメで元々……と、わざわざもう1回セットアップCDを入れてやってみました。
しかし、通信速度は変わりません。
調べた結果、うかつにも盲点を突かれたことが分かりました。
- Dynabook SS RX1内蔵無線LANはIntel 4965AGN
- Intel 4965AGNは11n対応である
- Intel 4965AGNは最大300Mの通信に対応するかもしれない (ものによるようだ)
- しかし、300Mの通信速度は5GHz帯(11aの帯域)で使用した場合に限られるようだ
- WHR-HP-G300Nは5GHz帯(11aの帯域)をサポートしない (そこが上位機種に負ける点。安くなる根拠)
というわけで、Dynabook SS RX1内蔵無線LANで本当に300まで行けるかは分かりませんが、仮に行けるとしてもこのルータでは行けないようです。
しかし、安かったし、実際にスピードアップしたという予想以上のメリットが出たのでまあいいか。
残った課題 §
古い無線LAN機器が1つだけ接続できないのは痛いところです。これ1つのために、やたら古い無線LANブリッジ1つの電源を落とせません。これまではDSとXbox 360にも接続する役目があって、大義名分もあったのですが。ここはもう、安物のUSB無線LANアダプタでも買ってきて置換するかなあ。でも、このPCは本体も古くて確かUSB1.1対応なんだよなあ。問題なく稼働しているので、当面は置き換えたくないのですが。
2011/12/26追記 §
貴重なご指摘を頂きました。名前は伏せて掲載させて頂きます。
無線LANの出力は最大１０ミリワット（１００分の１ワット）と電波法で決められていますので、認定された全てのメーカーは、それ以下の出力になっています。（ちなみに通常の携帯電話は最大で１０００ミリワット＝１ワット前後です）良くハイパワーと記載されていますが、HP等の記載があるもの方が当然売れるからだと思います
無線LANのハイパワー機器と記載されたものは確かに伝達能力が数段優れています。
送信出力は決められていますので、あとやれる事は受信感度を上げることです。
親機と子機の感度を上げれば高出力にしたのと同等の性能が得られます。
従って、当然その性能を発揮させるには子機も高感度でなければなりません。
メーカーモ高伝送とか高感度と記載するよりハイパワーというキャッチフレーズは聞こえがいいのでしょうが、厳密には間違った表記です。
確かにその後使っていて、パワーが上がっているという印象は全くありませんね。
おそらく、その通りなのでしょう。
