2009年10月17日
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京王線立体交差問題・上北沢駅と激突する補助215号線・あり得ない下高井戸駅前アクセス道路構想

Written By: 川俣 晶連絡先

上北沢駅と補助215号線 §

 何気なく都市計画情報インターネット提供サービスを見ていて、あることに気づきました。

 なんと、補助215号線は上北沢駅のど真ん中を南北に貫く計画ではありませんか!

 この計画は京王線が高架になる前提で考えれば何ら奇異なことはありません。駅の中央の真下を道路が貫通しているのは、八幡山駅と全く同じ構造です。便利だし、不都合はありません。

 しかし、もし京王線を地下化するとすれば、話がややこしくなります。八幡山が高架駅である以上、桜上水までが地下駅になるとすれば、上北沢駅は地上に近い高さに建設するしかありません。とすれば、道路は駅の上か下を通さねばなりません。ですが、北の間近に甲州街道がある状況で、上にせよ下にせよ、立体交差させるだけの傾斜路を付ける余地があるか分かりません。

 更に言えば立体交差にする場合は交差する道路本線の他に地面の高さで続く道路も併設する必要があります。上北沢の商店街の範囲内にそれだけの道路を建設できるのか……、本当に作るとどれほどのコストを要するのか、なかなか悩ましい問題です。

 ここまで来るとまさに皿まで毒を食らって、八幡山の駅そのものもエイトライナーとの接続を意識した地下駅に作り直す方が良いぐらいかも。そうやって無限にコストが膨らんでいくわけですが、都市計画的な整合性を無視して地下化するということは、そういうことではないかな……と思います。思うだけで本当かどうかは分かりません。

下高井戸・衝撃の駅前アクセス道路 §

 これに関連して検索中に、世田谷区が平成18年2月に発行した京王電鉄京王線(笹塚駅~仙川駅間)における沿線街づくりについてという文書を発見しました。

 この文書で衝撃的であるのは、世田谷区が京王線のこの区間の各駅周辺に具体的な計画を持っていることです。下高井戸は杉並区の地名なのに、下高井戸駅周辺の計画は世田谷区のものです。

 その中で特にインパクトが大きかったのは、13(PDF上は15)ページの「下高井戸駅周辺地区」の地図に書かれた「駅前アクセス道路」です。これは、補助128号線から線路に沿って下高井戸駅の北側入口付近まで続いています。

 「注)駅前広場・アクセス道路の位置や規模は今後の検討課題であり、図中の表示は、位置や大きさを表すものではありません」という断り書きがあるので、ラインがそのまま道路を造りたい場所とは言えませんが。仮にこのラインの通りに道路を造るとすると、かなり悩ましいことが分かります。

 まず、ビルを4つ立て直さねばなりません。比較的小さなビル4つの敷地を経由しなければ、駅の階段/エスカレーターがある場所まで線路沿いに到達できません。そして建物に到達しても、そこには入口がありません。入口を作っても、その先は京王観光の店舗です。その店舗を潰して階段/エスカレーターまでの通路を新設しなければなりません。

 これらの手間とインパクトの大きさを考えると、到底現実的に作れる道路とは思えません。

 もし作れるとしたら、おそらく京王線立体化によって下高井戸駅そのものが全面的に改築される時でしょう。線路やホームの上/下の敷地が使えれば既存のビルを潰さないで道路も造ることができます。また、アクセス道路から駅にアクセスする経路も織り込んで施設を設計できます。

 つまり、この文書は踏切を立体化するために線路と道路の双方を高架/地下にする両案併記の体裁を取っていますが、実際には鉄道を高架/地下にする前提で構想されている要素があるのではないか、と考えられます。

 ちなみにもう1点。世田谷区の文書にアクセス道路が明記されたことから、やはり補助128号線活用に意欲的なのは(たぶん東急でも京王でもなく)世田谷区らしい、と言う状況が確認できます。

下高井戸周辺史雑記