2009年10月24日
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東京農工大学 科学博物館

Written By: 川俣 晶連絡先

 今日は東京農工大学 科学博物館に行ってきました。まだ行ったことがない場所を順次埋めていこう、という趣旨によります。そう……、農工大は我が母校であり、この博物館がある東小金井のキャンパスには3年も通ったにも関わらず行ったことがなかったのです。

 その理由は簡単で、この施設はかつて「東京農工大学工学部付属繊維博物館」という名前であり、テーマは「繊維」。どこからどう見ても、興味の持てるテーマではありません。というよりも、何が面白いのかすら全く想像できなかったものです。

東京農工大学 科学博物館

いやこれは面白いのだ §

 実際に行ってみると、今なら「凄く面白い」ということが分かります。分からないのに、かなりの時間を掛けて見てきました。それだけの魅力があります。

 さて、何が面白いのか。

 それは、「繊維」というジャンルは伝統的に「女の産業」であり、「男に隷属する女」という固定的な歴史観をぶち壊す効能を持つからです。農業地帯の郷土史を紐解けば、必ずと言って良いほど養蚕等の産業を女が担った歴史が出てきます。そして、それらは女に現金収入をもたらします。実際に江戸時代等に、農家の中で女の方が現金を持っているという状況はあり得たのです。

 また、明治時代の富国強兵の戦略の中で作られた製紙工場でも、一般的には「女工が酷使された」と理解されますが、実際には家にいても酷使されることには変わらない上に給金も休日もない、という指摘もあります。少なくとも、働いて給料をもらって休日に好きなものを買うことができる女性のライフスタイルの原点はこのあたりにありそう。

 そういう「歴史的常識の欺瞞」をこの博物館が語っているわけではありませんが、それを生々しく感じさせる遺物が多く展示されていて、エキサイティングです。

 更に、トヨタや日産の紡績等の機械の実物も並んでいて、まさにこれが日本の工業の原典である、ということも実感できます。

 いや本当にこれは面白い。

 3階の展示室が閉じていて見られなかったのは残念ですが、1階と2階だけでも十分すぎるほどドキドキできました。

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