東京はドーナッツであると言われることがあります。中心が容易に立ち入れない皇居だからです。航空写真で見れば周辺のビルと違っていて緑が豊かな場所です。これを「空虚な中心」と呼ぶ場合があります。
実は、上北沢でも「空虚な中心」を発見しました。
甲州街道から分かれる放射5号線は、上に首都高速4号があり、左右が一般道の登りと下りです。しかし、よく観察すると中間にあるのはただの中央分離帯ではありません。玉川上水跡が水道用地として続いていて、柵で区切られています。入れませんが、そこは緑が豊富です。
つまり、この道路は水道用地を「聖域」としてアンタッチャブルに保持しつつ、上に高速道路、左右に一般道を従えて続いています。一部は道路と化しているので、そのまま水路に戻ることは無さそうですが、それでも残った部分は水道用地のままです。
しかし、残っていても立ち入れず、緑の天下となっています。
つまり断面を見る限りここはまさに「空虚な中心」であり、まるで皇居のような構造が反復されています。いわば「小皇居」であり、放射5号線は東京の構造を小さく反復しているともいえます。
感想 §
という文章を一度書いておきたかったのです。灰色ばかりの比較的新しい、(当初は本当に真新しかった)道路の中央に、緑の聖域を見いだした時に、何かしら書いておく必然性を感じたのです。