1つの仮説を書きます。(けして中身を信じてはいかんぞ)
「頑張れアルフォン少尉! ゲーム編」を書いているとき、今頃になってはたと気付きました。
押井守監督のAVALONには以下の要素があります。
- ヨーロッパに行って撮る
- 近代兵器で撃ち合う
- ウィザードリィ要素
- ゲーム要素
- 仮想現実要素
さて、AVALONという作品の背景にある要素は以下の2つだと言われているようです。
以上が前提です。
実はもう1つ背景にあるという仮説 §
しかし、この2つの前提から「近代兵器で撃ち合う」という要素は出てきません。どう考えても剣と魔法の世界にしかなりません。
ところが、もう1つを添えると全てが整合して辻褄が合います。
つまり、アバロンヒルの特に西部戦線を扱ったゲームを想定すると以下の説明が付きます。
- 戦闘のためではないし、ノルマンディーでもないが撮影隊がヨーロッパに上陸すること
- 戦車や銃器などが出てくること
- タイトルがAVALONである根拠 (Avalon Hillから言葉をもらった)
そうすると、実はアーサー王伝説は物語の構成に必須の要素ではないが、アバロンヒル的な要素の方は必須であることが分かります。つまり、以下のように解釈すると辻褄が合います。
- ウィザードリィとアバロンヒルのゲームを前提に企画を考えた
- 大人の事情でアバロンヒルという要素は明示できなくなった
- それを欠落させるとタイトルを説明できなくなるので、二重の意味づけ(ダブルミーニング)としてアーサー王伝説が後付で採用された
- しかし、戦闘要素は宙に浮いたまま残った
- 意味不明の押井だし、みんな突っ込まなかった
- ポーランド人も言葉の壁もあって、東洋の神秘と思い、みんな納得してしまった
- 世界の押井だし、みんな突っ込めなかった
そうすると連想されるのは §
「西武新宿戦線異状なし」というシャーマンマニア感涙の作品の存在を考えれば、戦車が出てきて西部戦線を前提にした作品が浮上するのはある意味で当然。
いや本当に新装版のカバーを指さして「あ、シャーマンだ! どう見てもシャーマンだ!」と思って即座に買いましたよ。いや、車体だけで見てシャーマンだと分かる方も相当いかれていると思いますが。(自分のことだ。ははは)
感想 §
パンツァーブリッツ(アバロンヒルの東部戦線ゲーム)ではなく、パンツァーリーダー(アバロンヒルの西部戦線ゲーム)を箱なしだけど持っていた私はもっと早く気付くべきだったのかも。
ならば、この映画のクライマックスが廃工場だったのはロケ地や映像の都合でしかなく、本来は「アヴァロン」という名の「丘(ヒル)」を巡る戦いが構想されていた、という可能性も想定できます。丘を奪って勝利の凱歌をあげて、真のステージに進める……と思えば、むしろその方がしっくり来るかも?
丘に陣取る狙撃兵と一団に、歩兵とT-72(本物)とハインド(本物)が迫り来る映像を思い浮かべるとけっこう燃えるような気もするけど、実際は撮影できないだろうという気もしますね。荒れ地に戦車を走らせると後で整備が面倒そうだし。で、味方のヤーボに支援を頼んでも随伴のシルカ(本物)に撃墜されてしまうわけですね。(もうぜんぜん西部戦線じゃないけどポーランドだからいいのだ)
とすると、「アサルトガールズ」とのつながりもしっくり来ます。丘の上に陣取る狙撃手が主役だと思えば「アサルトガールズ」っぽい映像が思い浮かびます。(もちろんガールズではなく、でかい銃を構えたむさ苦しい男だ)