2010年02月21日
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29巻・続々・苦悩あるところに魂が宿るのならば

Written By: 川俣 晶連絡先

 では、もうちょっとだけ先に進んでみようか。

苦悩あるところに物語があり

物語あるところに意志がある

・・そして意志がある物には魂が宿る

 これは物語論としての秀逸です。

 というのは、描かれたデフォルメされた絵でしかないキャラがなぜ「魂を持って実在する人間」のように愛されるのか、という理由の説明になっているからです。

 つまり、「たかが描かれた絵」に魂を宿すことはできるわです。

 そのためには「意志」が必要です。

 その「意志」は、「物語」を根拠にして生成されます。

 そして、「物語」が生成される根拠は「苦悩」にあるわけです。

 従って、キャラに生を与えるにはまず「苦悩」が必要というわけです。

ちなみに §

 最初にエヴァが言ったとき、苦悩や物語については言及していません。意志と魂だけです。つまり、エヴァが言ったとしてネギが言っていることになっていますが、もしかして実質的にネギオリジナルなのでしょうか?

更に余談を書けば §

 虚構のキャラに人間のように感情をそそぐ行為は、昔からよくあります。別にオタクが最初というわけでもないし、それに関する良いことも悪いことも分かり切っています。何ら目新しくありません。従って、本当なら「人形に魂はあるか」といった手垢のような話もさほどの意味はないわけです。問題はその先です。

 従って、エヴァはとっくに終わっていて「手垢の付いた話」として告げて、ネギはその先に考えが及ぶのかも。

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