というわけで、実はこの話題はヤマトの話に飛び火してしまったのである。ははは。
ちなみにいい加減に書き飛ばすので、中身を信じてはいけません。むしろ頭から無批判に信用する行為は愚かであります。
では、ネギま!29巻の以下の記述から再スタートしましょう。
苦悩あるところに物語があり
物語あるところに意志がある
・・そして意志がある物には魂が宿る
つまり、物語をいくら模倣しても魂に至るかどうかは分からず、その前段階の苦悩こそが魂の存在の根拠となるわけです。
ここでは、ヤマト魂について考えたいと思います。熱血小説宇宙戦艦ヤマトで高らかにうたいあげられたヤマト魂です。
もう1つの前提 §
さて、ここでもう1つの話が出てきます。
ID: 20100216110433
Subject: なぜエで始まるあのアニメではダメなのか (ヤマトファンのたわごと)
Keyword: 【▲→トーノZERO→アニメ感想→宇宙戦艦ヤマト】
URL: http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20100216110433
名前:
メールアドレス:
本文:
こんにちは
確かにご指摘の通りだと思います。「エで始まるあのアニメ」はほぼ100％がパロディでできていますし、後世に残せた物は、皆無(中身が無いのだから当然)でしょう。ただ作り手は「エで始まるあのアニメ」が所詮「あだ花」であったことが当時からある程度わかっていたのではないかとも思います。「ヤマト」は『古典』として後世に残るでしょうけど、「エで始まるあのアニメ」は今後も『キワモノ』『イロモノ』扱いとなることでしょう(もうなってるとおもいますが)。
名乗らないし、連絡先も書かない不躾なマナーの悪いメッセージであるという点はさておき。しかし、私は庵野監督という人物を嫌っているわけではありませんよ。むしろ、望むとおりの立体造形物を手に入れるために、自分でヤマトの模型を発注してしまう根性はヤマトファンとして立派。たまたま買っていたモデグラを見てびっくりですよ。
という話はさておき。
問題は、この作品が確信犯か否かです。
それはたぶん確信犯だ §
WikiPediaの庵野秀明より
これらについては本人がアニメオタク・特撮マニアであることと、「今の時代、本当のオリジナルなんてないんだ。」という考えに基づくものだと言われている。オリジナルの問題については本人が様々なところで語っており、一例として、『新世紀エヴァンゲリオン』のコミック1巻の所信表明文や『スキゾ・エヴァンゲリオン』において、「僕のようなアニメや漫画をばかり見てきた世代は、パッと浮かんだことにだいたいいつも元ネタがあり、時に嫌になる」というような旨の発言が挙げられる。
というわけで、おそらく本質的にオリジナルの中身がないことは確信犯でしょう。
ちなみに、私自身もずっと昔に「ウルトラセブンのような素晴らしい作品が既にあって、今更我々の世代に何ができるのだ」と悩んだこともあるので、庵野監督の思うことも良く分かります。
しかしちょっと待て §
「今の時代、本当のオリジナルなんてないんだ」ということは、前の時代には「オリジナルはあった」ということになります。
しかし、「ヤマト」を長い伝統の末裔に位置づけてしまうと、ヤマトすらオリジナルではないことになります。つまり、ヤマトは100%オリジナルではないですが、そこにヤマト魂はあります。
とすれば、「今の時代、本当のオリジナルなんてないんだ」という言葉は、「今時の若者は……」と同じで、実は「いつの時代にも聞こえるぼやき」に過ぎないのではないかと。
実際にはランダムに引いたカードに書いた特徴(記号)の組み合わせで作ったキャラにも魂が宿るわけです。
従って、ウルトラセブンも完成された終着点ではなく先があります。レイオニクスバトルの途中でちゃぶ台を前に大人しく座って待っているメトロン星人であるとか、意味ありげに単独で突き刺さったままのアイスラッガーなどの世界があり得るわけですね。
では何が問題なのか §
前に書いた文章を再掲します。
もっと言えば、以下の2つは歴然として違うということです。
- 漫画が大好きな大漫画ファンだから漫画家になりたい
- 自らの苦悩が作品として表出してくる。それを商品にするために技術を身につける
つまり、ファンがいくら進化してもそれだけでは魂の水準に達しないかも知れません。そして問題は、苦悩の有無にあるわけで、その結果産み出された物語が、結果的に何かに似ていてもそれは問題では無いわけです。むしろ似ていることによって、社会が解決すべき「1つながりの大秘宝」が見えてくるわけです。
ところが §
実は、アニメーターという職業は話が変わります。基本的に他人がデザインしたキャラを上手く模倣して描く能力が要求されます。
というわけであまりに意図せずに核心を突いてしまったことに自分で驚いていますが、(狙って突いたのではないぞ。これは既に書いてあった文章なのだ)、庵野監督は元々アニメーターとして業界に入った「ファン」であり、それは例外的に「ファンが持つ模倣力でプロになる例外的な経路であった」と考えられます。
従って、実際に意味があるのは「本当のオリジナルなんてない」(だいたい、本当に重要なことはギリシャ時代まで遡れるに、19～20世紀生まれの人間が偉そうに語れることなどほとんど無い)という普遍的な状況が覆う世界に生まれ出て何を根拠として生きるかです。従って、ラテン語で呪文を唱えるネギま!はそれに対して有自覚的であり、古典を引用しつつ解説される世界観を構築しますが、ネギオリジナルの新術開発などの展開もあります。
つまり、表面的に似ていることではなく、「オレの苦悩」から産み出されたものが「オレの物語である」とすれば、表面的にいくら似ていても個別の表現上のアイデアの問題であって、本質的には「オレの苦悩」から生まれたものこそが「オレのオリジナル」であると言えます。そして、その延長線上に「オレの言葉」の代替物としての「意思」があり、それを経由して「魂」が生まれるわけですね。
しかし、「オレの苦悩は誰がなんと言おうとオレのもの」という前提から出発できないなら、魂まで行けないかもしれません。
従って、ヤマト魂とはヤマトという存在の背景にある「苦悩」こそが根拠になると言えるわけです。苦悩があるから最初の映画に2つのイスカンダルがあり、さらばと2では結末が違い、復活編に2つのエンディングがあって、作り手側の「帝王」にも選びきれないわけです。2大巨匠も裁判で争うわけだし、苦悩全開です。しかし、それこそがヤマトに魂がこもる根拠と言えるのかも知れないし、その魂に触れてしまえば魂抜きの作品などスカスカの空虚な模倣物にしか見えません。
