2010年03月02日
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ケロロ軍曹・三層システム論

Written By: トーノZERO連絡先

 ケロロ軍曹は子供向け映画として劇場では扱われているな、と思いました。

 そこで、はたと気付きました。

 ならば、ドラえもん映画同様に、「大人のケロロ映画ファン」がいても良いではありませんか。

 そして、やっと分かってきました。

 ケロロ軍曹という作品は実は3つのレイヤーを持っていて、どのレイヤーの客に対しても楽しめるようにしています。

 しかし、劇場版ではそれがもっと明確に分かれています。

  • 第1層 普通のお客様。ともかく筋の通った良い映画を作る
  • 第2層 オタク。ガンダムを出す
  • 第3層 必ずしもオタクではない濃い人。必ずしもオタクの定番レパートリーではない濃いものを出す (サンダーバードのネタとか)

 更に凄いことは、実は低位の層が上の層を犯していない点です。つまり、第1層の客はそれだけで満足し、第2層の客は第3層の存在に気付かずとも満足できます。しかし、これは容易なことではありません。濃さをアピールしたいという欲求が作品を汚染してしまい、隘路に入り込んでいる事例も多いからです。そういう意味で、ケロロ軍曹もテレビではしばしば脱線することがありますが、劇場版ではしっかりと基本が守られているようです。実はここは重要で、意外と「ガンダムネタは誰もが分かって当然。ガンダムネタで埋め尽くせば濃い人も満足してくれる」という安易な思いこみも珍しくなく、きちんとネタはネタとしてあるべき場所に収まっている点も見事な構成だと思います。

 (ということは、裏を返せば「オレはケロロを分かっている」という思い込みは常に危険ということです。どこにマニアックすぎるネタがさりげなく前に出ないように仕込んであるか分かりません)

 更に言えば、実は映画としてまともに筋が通っている点は重要なポイントで、特にケロロは見る価値があると言える根拠はそこにあります。オタク知識ゼロでも見る価値があります。というか、そのようなネタはある意味で些細な問題でありすぎます。

 映画としての出来が良いからいいわけですね。