2010年03月23日
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アニメンタリー 決断と後継としてのヤマト

Written By: トーノZERO連絡先

 1~2ヶ月前の少し古い原稿ですが、時系列に逆らって公開してみましょう。

 中身はまだ混乱が見られますが、まあそういうものです。

はじまり~ §

 ヤマトを歴史の連鎖の中に存在する一連の流れの末裔とすると、実はヤマトに至る歴史の直前に、「アニメンタリー 決断」を位置づけるのもあながち間違いではないと思えてきました。

アニメンタリー 決断とは何か §

 主に太平洋戦争を扱ったドキュメンタリー的な1971年のアニメ作品です。基本的に架空戦記ではないので、序盤の景気の良い時期の話はともかく、いくら日本を応援しても日本が負けます。裏番組は初代の仮面ライダーであり、小学校の生徒のほとんどはライダーを見ており、決断を見ているのはかなりひねくれた少数派であったのかもしれません。(おいらのことだね)。

ヤマトと似ている点 §

  • 夜19:30というやや(子供には)アダルトチックな放送時間
  • 強力すぎる裏番組の存在
  • 予定通りに放送できていない(かもしれない) (決断も最後が川上の話になるのは予定通りではないという説がある)
  • 右翼的であるという批判が強かった
  • 勧善懲悪にならない (日本は負けるしガミラスは非戦闘員まで滅びる)

 ともかくあれですよ。

 子供心に、第2話の本放送を見たとき、戦艦大和のシーンで「まるで決断みたい」と思ったのは確かです。

 そういう意味で、「アニメンタリー決断」の続編として、沈んだ大和の恨みを晴らして復活する話として作られたのがヤマトであるという視点も、あながち間違いではないような気がします。少なくとも、「アニメンタリー決断」の、どこをどうひねっても日本が負ける話にしかならない暗さに比べて、ヤマトはまだしも地球が救われる話です。1971年の決断から1974年のヤマトは、それほど長い期間でもないし。1つの連続した流れとして認識しても良いような気がしますが。

すると後継者難の理由は §

 ガンダムやマクロスがヤマトの後継者たりえていないのは、そういう日米戦の生々しい記憶と一線を画して、むしろヨーロッパの西部戦線的な「明るいアメリカ軍的な味方」と「ドイツ軍的な敵」に流れていく点かもしれません。

 すると、ギレンが「ヒトラーの尻尾」と呼ばれて矮小な人間として死んでいくのに対して、デスラーが「ヒトラーより大きなものだ」と言われて生き延びていく対比も良く分かります。

 ちなみに、ザクIIF2型などのあからさまにドイツ軍戦車風のサブタイプも付け方もやはりそういう感じですね。(まるで4号だね)

 とすれば、やはりヤマトは末裔であり、ガンダムは新しい文化の開祖なのかも。とはいえ、ガンダムもタミヤMMのような文化の息吹から生まれたとも言え、素直にオリジナルとも言えません。しかし、タミヤMMの「走らない観賞用の戦車模型」の文化も比較的新しいので、全般的にやはり新しいと言えるのかも。

 ドイツ軍兵士という模型が出てきて、それを買って兵士ですらない山口百恵に改造するような文化の上にガンダムがあるわけです。あるいは戦車ですらない88mm砲のキットが意識を塗り替えてしまうわけですね。

いやちょっと待て §

 問題はそういうレベルにとどまらないのかも知れないぞ。

 実はタミヤMMショックは、アニメ界の呪縛として作用していた可能性もあり得そう。というのは、実はミリタリーモデラーというケースがしばしば主要な関係者見られるからです。たとえば、永野護はタミヤMMから強い影響を受けたモデラーでもあるようです。

 とすれば、やはりこの呪縛を打破するところから始めないとダメであり、脱ドイツ、日本回帰の風潮はその一環と考えることもできます。だから、コスモパルサーに乾坤一擲と書いてあるヤマト復活編も、タミヤMMのむしろ発信側にいた藤田幸久さん(なにしろ、あのタミヤのモ子ちゃんの作者だ)がSWEETのパッケージに零戦のイラストを描くのも、宮崎駿が零戦前史ともいうべき話を描くのも、硬直した状況の打開者としての振る舞いだが、それがあまり理解されておらず、あまり支持されていないと見るべきなのかも。

もっと待て! §

 と考えると、実はタミヤMMショックと平行して起こったのがいわば静岡4社WL(ウォーターライン)ショックでしょう。今でこそ、ウォーターラインモデルのは珍しくないものの、昔はこのシリーズがほとんどだったわけです。単純に善悪に分けられない4社連合がヒーローではなくシステムとしての「艦隊」を描き出すという手法は、本来なら凄いものだったはずです。しかし、趣向が渋すぎてタミヤMMほどのインパクトは無かったものの、実はヤマトにも影響を与えていて、複数勢力の登場や、ヒーロー的な個艦ではなく艦隊で戦う描写の原点になっていると言えるのかも。

年表 §

  • 1968年 タミヤドイツ戦車兵セット
  • 1971年 アニメンタリー決断
  • 1971年 静岡4社ウォーターラインシリーズ開始
  • 1972年 タミヤ88ミリ砲
  • 1974年 宇宙戦艦ヤマト
  • 1979年 機動戦士ガンダム

 やはりこの時期に集中しているのかも。

 ちなみにWLの大和(実はこれもタミヤだ)と宇宙戦艦ヤマトの形を見比べて全く違うことに愕然したファンも多かったはず。ヤマトの頃、模型店にウォーターラインシリーズの大和は並んでいたのだ。(艦底と噴射口を造れば宇宙戦艦ヤマトになるような安易な話ではなかったのだ)

余談 §

 実は、タミヤ自身の硬直感を打破する試みが1/35ではない1/48のMMMにあったり、SWEETの独立であったりするのかも。

 そういえば、よく考えれば条約型巡洋艦がずらりと並んだウォーラーラインシリーズの初期ラインナップがあればこそ、「巡洋艦8、護衛艦多数」といった台詞に興奮したわけですよ。しかも、いきなりそれですから。凄い敵戦艦が出てきてバーンと撃ったら終わりではないわけですから。

更に余談を書けば §

 シャーマン戦車が好き、という感覚を示すときに「なんでドイツ戦車好きはこれほど安易で子供っぽいのに、シャーマンを馬鹿にするのだろう」と思うわけですが、そういう話とも直結することに気付きました。つまり、そういう文化がガンダム文化に直結して、実はヤマト文化を馬鹿にして「なぜこいつらは、これほどろくに知りもしないヤマトを子供っぽく馬鹿にするのだろう?」となるわけですね。

もっと余談を書けば §

 決断とヤマトに触れておこうと思っただけなのに、話がシャーマンにまで飛んでいくとは。

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