テニスの王子様というアニメがあります。後番組がアイシールド21です。
テニスの王子様は、テニスというぐらいなので、基本的に個人技です。きら星のような凄いプレイヤーが居並ぶテニス部に主人公が入って特別な血筋を持って腕も良い主人公が王子様ぶりを発揮します。
一方でアイシールド21の方は、たった1つの「足が速い」という取り柄でアメフト部にスカウトされて、「1芸だけのメンバー達」共に勝っていきます。
つまりこの2つの作品には以下の相違があります。
- テニスの王子様→特別なヒーローの活躍を見るものである
- アイシールド21→1芸だけの平凡なメンバーが協力する
実はこの対比は重要です。つまり、この2つは決定的な違いをもたらすからです。
- テニスの王子様→視聴者は外部から他人として見るものである
- アイシールド21→視聴者は登場人物の1人であるかのように感情移入できる
実は、この対比はそのままガ○ダムチームとヤマトになると気付きました。
ガ○ダムチームとは、主にガ○ダムZZに出てくるガ○ダムmk2、Zガ○ダム、ガ○ダムZZ、百○からなるチームで基本的に全てガ○ダムかガ○ダムの亜種です。
基本的に全員が戦士であり、特別な存在であり、個別に戦えます。つまりテニス型です。チームは組んでいても、基本的には優秀な個の集まりで、戦うときは基本的に1体です。
一方でヤマトはというと、ヤマトの個艦戦闘が基本であるために、個人技のテニス型に見えそうですが、実際にヤマトが持つキャラクター性は限定的です。実は、1芸だけの平凡な乗組員達が協力してやっとヤマトが動くと思えば、実際はアメフト型です。つまり、凄いヒーローが1人乗っても動きません。しかし、役割を持った様々なタイプの乗組員が協力すれば動きます。
そういう意味で、ヤマトはアメフト型です。
そうなるとメカとしてのヤマトとガ○ダムは同じ位置づけではないことになります。
ヤマトとは、乗組員が協力したことを示す指標であり、コン・バトラーVのロペットのような存在と見るべきでしょう。
「オレはヒーローだ」という心があってもガンダムは動く※が、それを殺して協力し合う心がなければヤマトは動かないというわけです。しかし、「理想に燃える志」があればこそ、心が1つになれるのであって、単に心を殺すだけでもヤマトは動きません。
そのあたりの微妙な難しさが、ヤマトが避けられてしまう要因なのかなあ。
でも、良い大人になるというのは、そういことでしょう?
なに? 西崎さんが金を集めてくればヤマトは動く? 金銭欲でもヤマトは動く? 金を儲けたいいろいろな会社がヤマトを動かす? ※2
あえてそういう野暮なことは言わない言わない。それが大人でしょ?
※ 動いたからといって、それで生き残れるかは別の問題だけどね。君は生き延びることができるか?
※2 あるいは金銭欲でもどんな欲でも3つの心が1つになれば史上空前の必殺技が発動するのがGO!レスラー軍団というものです
オマケ §
「ところで最後の注釈はなんやねん。GO!レスラー軍団って」
「だって好きだったから」
「いい話と思われて、ネタが分かる人はずっこけるぞ」
「そのためのネタですから。たった21話で終わった幻のアニメだし」
「しかし、いいのか?」
「割とマジに言えば、たとえ金銭欲だろうと何だろうと、目的意識をきちんと摺り合わせて協力すれば物事は動くものだと思うよ」
「それでいいの?」
「重要なことは、最初の切っ掛けはどうであれ、意識のすり合わせが上手く行っていれば物事は動くことだ」
「正しいとか正しくないとかいうことは別問題?」
「そうだ。それはどうでもいい話だ。そもそも古代の判断が本当に正しいのかなど誰にも分からんぞ。誰かを救う大義を信じて地球を飛び出してみても、反乱が正しくはないという評価もつきまとうわけだし。ディンギルでもヤマトから犠牲者を出すぐらいの状況で助けられたのは少年1人だけ。はたして古代は正しい判断を下したと言えるのか?」
「あるいは、待ちかまえる土方のアンドロメダにヤマトをまっすぐ突っ込ませる判断が正しかったかどうかだね」
「結果的に両者とも発砲せず、真田が本当にホッとしてそれで良かったんだと言っているけどそれは後から言えることだよね」
「結果だけから言えば、土方の黙認が得られたわけで、良かったとは言えるが。それもあとからだから言える話だ」
「土方の本心など、古代には分かる筈もないからね」
「あるいは土方がそう思わなくても、機械が勝手に敵と見なして撃ってしまう可能性もあったのでは?」
「そうだ。だから、あれは見せ場だよ。ヤマト2前半の最大の見せ場だと思うぞ」
「凄い敵なら他に出てくるけど?」
「ヤマトってのは、撃つと安っぽくなるんだよ。撃たないエピソードこそが見応えがあると思うぞ」
「ってことは」
「第1シリーズ第2話もひたすら撃たれまくっても時がくるのを待って最後まで撃たないから最後の1発に意味があるわけだ」
「しかも撃った後で過去の話になって、過去の大和は撃つけどヤマトはもう撃たないでエピソードが終わっちゃう」
「第3話も同様。1回しか撃たない。他は行進してエンジン動かすだけ。そして、第4話になって、空戦はやってもやはりヤマトは撃たないでワープテスト」
「その後で波動砲の試射はやるけど、タイタンに行くとまた撃たないエピソードになる。古代が兄さんの銃を撃ってもヤマトは撃たないわけね」
「冥王星行ってもヤマトが派手に撃つのは序盤だけ。あとは潜入部隊の爆破待ち」
「そのあとのアステロイドベルトでもまた撃たないわけだ。まあ一応副砲で反重力感応機だっけ?を打ち出すけど、敵に撃ってるわけじゃない。戦ってるわけじゃない。後はリングを操作するだけ」
「古代が、こんなことでいいのかと思うのも無理はないが、それでいいのだ」
「ヤマトは戦うために蘇ったのではないからね」
