2010年04月27日
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感想・映画「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」

Written By: トーノZERO連絡先

「というわけで、見てきましたよ」

「それで感想は?」

「出来は良かったぞ」

「新作カットは、ということ?」

「そうじゃない。TVで見たのは遠い昔だから比較はできないが、全般的にテレビの密度ではないと思う」

「むむ? つまり旧作カットも密度が上がっているということ?」

「たぶん、そうだと思う」

「それって、どういうこと?」

「おじさんの子供の頃は再編集ものの映画のアニメっていうのがあってねえ。アタックナンバーワンとか、テレビのアニメをそのまま数本まとめて映画館でやってたものだよ」

「ヤマト以前の話だね」

「ヤマトは全面的な再編集をやって映画館に掛けた点が大きい。しかし、個々のカットは変更されないから、イスカンダルで森雪が怪我をする経緯がカットされているのに怪我をして出てくるといった不整合も起こる」

「うん。そもそも初回上映にはイスカンダルの話は全部無かったけどね。新作カットに置き換えられていて」

「本格的に出来の悪い部分を新作カットで置き換えていくのは、ガ○ダムあたりからの話だろう。しかし、超人気アニメだから予算もあって出来たことかもしれない」

「それで?」

「そういう前提で考えてくれ」

「うん」

「だから、テレビアニメの映像をスクリーンで見せられることを半ば意識していた」

「でも見にいったよね」

「世界1バカな観客だ、このやろー。という気分だったけどね」

「じゃあ、馬鹿を見た?」

「とんでもない。実は予想外なことに、しおしおな映像が続いて、たまに違和感たっぷりの新作カットが挟まると思ったらそうではなかった。全般的に、絵の水準が底上げされていて、映画として遜色なかった」

「ええ!? そんなバカな!」

「つまりだね。昔の感覚でいうと、撮影まで終わったカットはそのままなんだよ。全面的に差し替えるか、そのままなんだ」

「今は違うの?」

「カット単位で手を入れられる時代になってきたわけだ。実は、開始前に少し時間があまって近くの本屋でちらっと銀魂の本を見たら、背景を描き直したり、いろいろやっていると書いてあった。再利用したものはセル画ぐらいだとか。でも、色が変わったり陰が付いているらしい」

「なんか、えらく手間が掛かってるようですけど」

「そういう印象だったよ」

「それってどういうこと?」

「つまりさ、僕らはカットの中身を加工できる新訳ゼータ以降の時代に住んでいるわけだ。かつてのセル画は産業廃棄物で捨てられる存在だったし、色を塗ったらもう1回別の色に差し替えることは難しい」

「ということは?」

「今はすべてデジタルだから、セル画もすべて簡単に保存できるんだ。かさばらないから捨てる必要もない。しかも、後から撮影をやり直すのも、セル画に影を描き足すのも簡単なんだ。だから、テレビのフィルムを切ってつないだ映画と称するまがいものではなく、映画そのものを見てしまったという気がする」

「それって凄いじゃない」

「凄いよ。もしかしたら、単なる新作よりも凄い話かもしれない」

「それも皮肉なネタなのかもね」

「骨格がよく出来ていると、なまじファンを意識しすぎた変な新作企画を立てるよりも、旧作をベースに作った方が良いのかもしれない」

「そうだね。意味もなく人気キャラが活躍するよりも、その方がいいかもね」

「あと構成的なまとめ方も上手いと思った」

「というと?」

「テレビの時は岡田が紅桜で人を斬る話だったはずなんだが、この映画は高杉が紅桜で世界を壊そうとする話になってる。だから、岡田が倒れた後の話が長くてもバランスが取れている」

「他には?」

「一見の客はどうでも良いと言いながら、実はちゃんと設定説明と登場人物紹介をやっているのも上手いね。計算された大人の芸だ」

「ネタは?」

「たっぷりあったけど、本編とかぶらないように上手く配置してあった。これはネタバレになるので何も言わない」

「最後に、いちばん良かったのはどこ?」

「銀さんと桂が並んで刀を構えている絵が凄く格好良かったよ」

「劇場でもらったオマケはなに?」

「フィルムの断片のしおり。世界1馬鹿な侍だ、このやろー、のカットだったから当たりなんだろうね」

「それで結論としては?」

「映画って言うのはいいものであり、ちゃんと映画とはどうあるべきかという意識が一致した状態で見られたと思うのが、意外であり、同時にやはり映画文化というものなんだと思う」

「最後に一言」

「新キャラの某兄弟に笑えた。まさか、この期に及んで新キャラかよ。ってか、兄弟の存在は映画の最初から暗示されていましたけど」

「客席は?」

「ガラガラだったぞ。ファンはみんな見にいってやれよ。おまえらみんな銀魂付いてるのか?」

「女の子だったらどうするの?」

「金じゃないからいいのだ」

「銀だったら誰も持ってませんよ」

「いやー。映画って言うのはいいものですね。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」

「ごまかして終わろうとするな!」

「いやでも、映画を見たって満足感を持ってスクリーンを出られたのは事実だからさ。良かったと思うよ。土方しか目に入っていないミーハーとかだと印象は違うと思うけどさ。オレは良かったよ」

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