2010年09月20日
川俣晶の縁側過去形 本の虫感想編 total 3371 count

護衛空母入門―その誕生と運用メカニズム (光人社NF文庫), 大内 建二, 光人社

Written By: 川俣 晶連絡先

 たまげた。

 5年も前に、こんな本が出ていたのか!

 後書きの最後の3行を引用します。

第二次大戦で護衛空母が果たした役割は海軍の表看板である戦艦や巡洋艦の活躍の上を行くものであったと言っても言い過ぎではなかろう。第二次大戦中の護衛空母の存在意義にあらためて視点を当て、さらなる論議を重ねることもまた興味のもたれるところである。

 いや、日本でここまで言い切る人がいるとは思ってもいなかった。

 いやね。

 おいらは言い切るぞ。

 エセックス級よりカサブランカ級。

 たまに出てきて引っかき回すだけの戦艦なんてゴミ同然。(なに? 大和はトラック島でエアコン完備のホテルとして使える?)

 でも、自分の他にここまで言い切る人がいるとは思ってもいなかったぞ。主力艦の上って言い切ってるよ。

 だから、こういう本が出ていても、まるで気付かなかったとも言えます。なにせ、書籍に情報を求めようとはまるで思わなかったから。

なぜ今頃 §

 実は時々、3Cとか2TLとかいう言葉が特に第二次世界大戦がらみの本に出てくるのですが、意味が分からなかったのです。そこで、戦時標準船入門という本が出ていることをたまたま知って(出たのは2010/6/30で古くはない)、興味を持ちました。というわけで、Amazonからオーダーしようと思って開いて見ると。『護衛空母入門』などという刺激的な本がAmazonからお勧めされて目を白黒。両方とも文庫本でさほど高くなかったし、著者は同じだし。しょうがないので、両方ともオーダーしましたとさ。護衛空母入門は読み終わって、戦時標準船入門を途中まで読んでいるところです。

ワイルドキャット賛歌 §

 当然のことではありますが、マートレットとかFMとか、そんな言葉が飛び交います。ワイルドキャットに肯定的な評価を下しているのも当然。昔の日本の書籍では考えられない評価です。

護衛空母の知識 §

 護衛空母の知識もかなり深くなりました。特に、戦後の護衛空母。なんと、輸送船に改造されて元の状態に戻ってしまった船も多いとは面白い。まさに、金を掛けずに勝つ秘策。でも、戦後のことはずっと盲点になっていて考えたこともありませんでした。他に思いも寄らない詳しい話が多くてためになりました。

護衛空母論 §

 いやー、やはり護衛空母っていいものですね。