「2010/11/28のSma-STATION!の録画をやっと見た」
「それで?」
「内容は、ちょっとヤマトの宣伝入って、あとはハリウッドのSF映画を20位までランキングするというもので、ゲストが木村拓哉さんである……のだが」
「だが?」
「木村拓哉さん、20位までの映画を全部見てるそうだ。しかも順位にも不満があるようだが、順位は付けなかった」
「それってどういうこと?」
「だからさ。この1年、おいらが映画館に通って数十本の映画を見たように、見るという行為の数を重ねている人なんだよ」
「それで?」
「でもさ。限界も分かっているから、言い過ぎたりはしない」
「表情はどうだった?」
「少しぶっきらぼうで面白く無さそうなムードもあったけど、それは気分とは関係ない地だろうね」
「どういうことだろう?」
「うん。テレビタレントだと思うと、テレビで営業スマイルは必須に思えるよね」
「ああ。反感を持たれたらテレビ生命が切れてしまう」
「でもさ。木村拓哉とは日本を代表する映画スターであると思うのだが、じゃあ映画スターはどこで輝くべきだと思う?」
「映画だな。テレビはある意味でどうでもいい」
「だからさ。フィルムの中で輝いていれば映画スターとして必要にして十分なんだよ」
「ええっ?」
「他の場所では、四六時中営業スマイルを絶やさない、なんてことはしなくていい」
「それは面白い解釈だね」
「でも正論だろ?」
「まあね」
「だからさ。撮影現場でいい演技をして輝くためには、いろいろなものを摂取する必要があって、だから映画をたくさん見ていることはある意味で当然なんだ。そういうアグレッシブさはスターに必要な資質だろう。でも、映画のカメラ以外に無駄に微笑む必要は無い」
「その話は何を意味するのだろうか」
「もう1歩踏み込む奥行きがたぶんある」
「それは重要なことかい?」
「ああそうだ。見てくればかりで中身のない人間がこの世の中には多すぎる。あるいは過去がまるで無かったような無時間的な人間が多すぎる。そいう中で、たとえば猿の惑星のような比較的古い映画まできちんと見ている人材は実は貴重ではなかろうか」
「それはつまりどういうこと?」
「SPACE BATTLESHIP ヤマト。もうちょっと期待して見に行っていいのかも知れない」
「これから見に行くんだね?」
「ヤー! というここまでの文章は見に行く前に書いたものだ」
「もう見た後だね」
「そうだ」
「で、結局どうだった?」
「ヤマト艦内の人間の話、特に古代の話が多い映画だから、古代つまり木村拓哉の顔こそが作品の顔というわけだ」
「そうか」
「でもさ。思ったんだけど、木村貴監督と木村拓哉とおいらの3人で古いSF映画談義とかやったらすげえ盛り上がれるかも知れない。まあ夢想上のシチュエーション設定だけどさ」
「どういう意味?」
「たぶん、子供時代に同じような映画を見て同じような夢を抱いているような気がする。おいらは映画業界の仕事には就かなかったけどね」
「えーっ?」
「たとえば、ずっと昔にレンダリングした画像だけどさ。モデルのテストレンダリングレベルだけど。こんな絵とヤマトの絵は共通の原点がありそうなのさ」
「ひぇ~。ちなみに、この画像はいつ頃のもの?」
「タイムスタンプを見ると西暦2000年だな」
「ふる~」
「最近はPoserしか使わないので、こういうモデリングやらないしね」
「やらない理由はそれだけ?」
「やっても古い宇宙特撮のトレースにしかならないと気付いてやめた。そのあとは、むしろカメラとライトで魅せる方向に興味を意識的にシフトしていった。みんなと同じモデルなのにカメラ1つで違う絵が出来たら面白いじゃなーい?」
「でも、ヤマトは同じ路線でいいの?」
「プロは同じ路線でもその先まで行くことを志す使命があるんだよ」
「そうか」
オマケ §
「前回こう書いた」
- まず、前段階として、舞台挨拶は抽選が外れたのでフリーになった。なので、どの劇場で見ようと、何回目の上映を見ようと、床に唾を吐こうと、猫を盗賊呼ばわりしようと自由になった
「それで?」
「『床に……』以降は基本的に読者にとって意味不明で良いことを前提にして書いている」
「うん」
「でも、これは適当に思いつきで書いたフレーズではなく、A・バートラム・チャンドラーの銀河辺境シリーズ(リムワールド、グライムズシリーズ)という元ネタが一応はある」
「それで?」
「SF映画が好きならある程度SF小説への目配りがあり、実はこのネタが分かっちゃう可能性もあったのだよ」
「なんと」
「しかも同世代という条件を付け加えると銀河辺境シリーズを知ってる可能性は跳ね上がる」
「世代も関係するのか」
「ネタはもっと考えて選ばないと意外な可能性を孕んでしまうってことだね」