2010年12月07日
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SPACE BATTLESHIP ヤマトは成功か失敗か? 暫定的に評価を付けておこう

Written By: トーノZERO連絡先

「このタイミングでこれは行っておく価値があるだろう」

「何をするの?」

「SPACE BATTLESHIP ヤマトの総合評価だ。まだ完全に事態は終わっていないから暫定評価に過ぎないがな」

「そうか」

「ただし、自分の評価は1行で済む。理由説明も1行で済む」

「じゃあ、もっと長く続くのはなぜ?」

「実は評価が割れる理由にまで踏み込むからだ」

自己評価 §

「じゃあ、まずは君の評価を1行で頼むよ」

「二重丸。Good!」

「理由も1行で説明してくれよ」

「おいらは、どんな戦闘よりも通信を行うエピソードがイチオシだが、それを飛ばさなかったから。アニメ劇場版は飛ばしたが、SPACE BATTLESHIP ヤマトは飛ばさなかったから」

「つまり、アニメ劇場版よりも評価が高いってことだね?」

「そうだ。はるかに評価は高い。本来、ヤマトの見所はどこかといえば、凄いメカの数々でも派手な戦闘でもない。宇宙機雷を手でどかし、攻めてくる気がないドメルを相手に航路を稼ぐバラン星前の状況だ。ビーメラ星とか宇宙要塞とか。北上夜曲とか。しかし、尺の関係から全てを入れることは到底出来ない。その程度の割り切りはある。ならば、何を入れたらいいのか。おいらの答えは通信を行うエピソードだ」

「そうか」

「逆に言えば、七色星団などカットしても良かったと思っている。ドラマ的にはそれほど大したものではない。結局、受動的に戦って真田がドリルミサイル逆転してくれただけで、古代が何か特別なことをしたわけじゃない」

「必死に走ったのは古代じゃなくて艦艇部の乗組員だものね」

もう一歩進めよう §

「話をもう一歩進めよう」

「うん」

「では、この評価は誰もが納得して受け入れられる評価だろうか?」

「君にとっては納得いく評価なのだろう。でも、宇宙空間で飛び交うミサイルとビームこそヤマトと思っていたら、まるで違う評価が出そうだね」

「そうだ。だから、ここで評価が割れていくのは必然だ。というか、最初から割れている。今になって割れたわけではない。昔から割れているんだ」

「既に劇場版第1作の評価で割れているということだね」

「だから、何を今更、という感じは強くあるぞ」

なぜ木村拓哉は木村拓哉だったという感想が多いのか §

「この話はそのまま、SPACE BATTLESHIP ヤマトに関して『なぜ木村拓哉は木村拓哉だった』という感想が多いのか、という理由にも行き着く」

「どういうこと?」

「これは作品における古代の位置づけの解釈に依存するんだよ」

「え?」

「その前にさ。まず確認すべきことだけど、実写映画でアニメそっくりというのはまず無理。希に特殊メイクでそれっぽくすることはあるけどさ」

「うん。明日のジョーのおっさんとか、アイパッチ付けてそっくりだけどね」

「それは例外的なんだ。そういう意味で、SPACE BATTLESHIP ヤマトの登場人物も似ているかと言えば似ていない配役も多い。女になった例も多いし、島もアニメではかなりクールな2枚目なんだが、SPACE BATTLESHIP ヤマトでは人なつっこい良いパパの感じになっている」

「そうだね」

「でもさ。それはこの際どうでもいいんだよ」

「どうして?」

「大の大人が目の色を変えて真剣にヤマトを演じている迫力こそが重要だからだ」

「斎藤はガミラスに取り付かれて本当に目の色が変わってるけどね」

「そして、配役は似ているか否かではなく、ドラマ中で示すべき価値を演技を通して示せたかで決まる」

「そうか。そっくりさんコンテストじゃなくて、なりきりコンテストだね」

「そうだ。似ている奴が勝つのではない。なりきった奴が勝つのだ」

「それで木村拓哉がどうしたの?」

「だからさ。ここで木村拓哉が担った立場というのは、古代に似ている男ではなく、古代になりきれる男なんだ」

「なるほど」

「だけどさ。ここで1つの問題がある」

「えっ? これで話が終わりじゃないの?」

「終わらないのだ」

「古代をどういう人物と見るかの解釈も実は割れているんだ」

「ええっ?」

「おおざっぱに言うと、おおむね、2つに分けられるのだろう。たぶん」

  • 戦闘班のリーダー。先頭に立って戦う戦士。ヒーロー
  • 芯は強いけど、とんだ甘ちゃん。理想主義者。女性的で煮え切らないダメな奴。(でもそこが可愛い)。

「そうか」

「木村拓哉は後者の解釈で古代を演じた。むしろ、そういう古代を演じる力で木村拓哉というキャスティングは成立している」

「でも、前者の解釈だとミスキャストだよね」

「うん。だからさ。後者の解釈だと木村拓哉と古代進は極めて近いのだよ」

「木村拓哉自身が古代進だと言ってもいいぐらいだね」

「そこから逆算すると、古代進の解釈が前者の人がSPACE BATTLESHIP ヤマトを見ると何が見えるだろう」

「ああ、そうか。木村拓哉はぜんぜん古代を演じてないと見えるんだ」

「それだけじゃないぞ」

「やっと分かったぞ。SPACE BATTLESHIP ヤマトの古代はほとんど木村拓哉そのものだから、古代を演じているのに木村拓哉そのものに見えるんだ」

「うん」

「だから、木村拓哉は木村拓哉だったという感想が多いのか」

「そうだ。だからさ。そこで一見問われているのは古代を演じなかった木村拓哉の糾弾に見えるが、実際はそうじゃない。そういう感想を言った者の古代の解釈とはいったい何かが問われる、ということだ」

「なるほど。糾弾が反射されて戻るわけだね」

「なんと素敵な反射衛星」

オマケ §

「だからさ。古代を情けない甘ちゃんと解釈していると、木村拓哉の演技はいいぞ。兄さんを見殺しにしたと沖田艦長に食ってかかるのはいいが、即座に森雪にその場にいなかったくせにと逆に糾弾されてしまう。立場があっさり逆転だ。しかもすぐ連行されちゃう。なんて甘い男だ」

「ヤマトに乗っても、すぐ営巣行きだね」

「そこで、営巣まで来てくれるのも徳川と佐渡だけ」

「古代の甘さを分かってくれるのは、ある程度の年輪を重ねた人たちばかりってことだね」

「そうだ。チーム古代なんて、かっこつけて再会を喜んでいても誰も来ないしな」

「そもそも復隊してヤマトに志願するなんていうのも、かなり甘いぞ」

「そうだね。でもその甘さが古代だ」

さらばオマケ・夢のシーンたち §

「余談を書くぞ」

「うん」

「SPACE BATTLESHIP ヤマトでいちばん見事な夢のシーンってなんだか分かるか?」

「誰にとっての?」

「もちろん、おいらの」

「そうか。うーん、なんだろう。通信がイチオシといっても、アニメでもあったし、実際に通信してる描写はずっと短いしな」

「斎藤の通信だよ」

「ええっ!?」

「通信エピソードは本来TV第1シリーズの話であり、斎藤はさらば/2でヤマト初乗艦しているから、常識的にあり得ないシーンなんだ」

「そうか。通信エピソードがあっても、斎藤が家族と喋ってるシーンなんてどう転んでもあるわけ無いのか」

「そうだ。でも、イスカンダルへの旅に斎藤が乗り込んだSPACE BATTLESHIP ヤマトならあり得る」

「まさに、夢想でしか想定できなかった、ありえない夢のシーンだね」

「あえて誰にも理解されない勝手な思い入れとして推薦する。このシーンがいちばん燃える」

オマケ2 §

「というわけで、この話を進めていくと斎藤の通信で話題になるお守りが、実は斎藤のあとのシーンで利いて来る伏線になっている」

「なるほど」

「慌てず急いで正確にも、いきなり出るのではなく、先に伏線として出てから最後に出てくる」

「そうだね」

「波動砲の発射口が塞がれるのも、実はラストへの伏線だ」

「たしかに」

「デスラーの登場も唐突ではない。艦内に来るのは2回目だからだ」

「それで?」

「多くの台詞や展開が、唐突に出てくるのではなくきちんと伏線を張った上で出てくるようにシナリオが書かれている。これは、劇場版アニメのヤマトのシナリオって映画としてはダメじゃんと言って、もっとパワフルに書き直したことを意味するのだと思う」

「でも、そこは評価が分かれそうだね」

「そんなのヤマトじゃないと怒るか、それともパワフルなシナリオをもらってヤマトも幸せ者だと思うかだね」

「どうしてそうなったと思う?」

「TVの再編集版だから許される部分と、ゼロから映画を撮る場合に許されるラインが違うからだろう」

「君はどうなんだい?」

「そんなのヤマトじゃないというのは、石津嵐版で既に乗り越えた壁だ。今更、そんな感想は持たないよ。論外に古すぎるセンスだ」

「石津嵐版ってそんなに違うの?」

「島がサイボーグになるんだ。島・ムラジョーと名を変える。必殺技は加速装置。何百光年もひとっ飛びさ」

「変な名前だね」

「エジプト風だ。で、古代エジプトで大暴れ。今風にカードバトルで戦うんだ」

「カードバトル?」

「しかも、部下のかっこいい魔法使いまでカードにされて、名前を奪われ、墓守の一族に守られていくんだ」

「それ、石津版じゃなくてイシズ版」

「そりゃ獏良君もびっくり」

「ヤマト劇場第1作害悪説」によれば §

「まだ書いてないネタがあるのだが、『ヤマト劇場第1作害悪説』というのがある」

「それがどうしたの?」

「実は古代のキャラの混乱も、そこに求められる」

「ええっ?」

「実はヤマト劇場第1作は古代らしい性格が描写された部分がことごとくカットされている」

「というと?」

「古代は、バラン星で太陽が人工だと気付いて勝利に貢献した。しかしバラン星は丸ごとカットされた。古代が敵兵士の自殺を止めるところもカットされた。誰とも通信しないで時間をつぶしているシーンもカット。沖田と酒を飲んで、さようなら~というシーンもカット。回想シーンで昆虫の標本を見ているシーンもカット。カットカットカットカットカットカット。波動砲もワープも七色星団もいいから、ここカットしたら古代が分からなくなるだろう、と言うぐらいカットの嵐。古代はもう人間じゃなくて戦う記号になるぐらいカット」

「なるほど」

「実はヤマト世界の混乱はここから始まったと言って良いのかもしれない」

「2がさらばとパラレルになった時じゃない、ってことだね」

「うん。でも、意外とこの問題を真面目に論じているケースを見ていない」

「スターシャ死亡シナリオに注目が行っている感じもあるね」

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