「すげえぞ。なんとあの有楽町のTOHOシネマズ日劇で映画がタダ。トヨタ店さん太っ腹」
「それは凄いな」
「まあ、1日1回夜だけなんだけどな」
「それでもタダは凄いぞ」
「しかもネットでリザーブはできないが、座席指定あり。通常と同じようにチケットが出る」
「ほぉ」
「会員カード渡したら見た映画に記録も入る。もっともポイントとマイルは付かないみたいだがな」
「それでも本物の映画扱いじゃないか。凄いな」
「というわけで、初日は入れなかったら困るので、2日目の今夜に行ってきたよ」
感想 §
「中身はどうだった?」
「面白かったよ」
「宣伝臭さはあった?」
「本題ではない場所であからさまな宣伝はいくらでもあったけど、そこは代金と思って見るべきところだろう」
「タダだしな」
「もうちょっと具体的にはどうなんだ?」
「ハイブリッド刑事が面白い。でも、かっこいいわけではなく実際は負け組集団なんだ。そのリーダーになってしまうのが小泉鈍一郎というわけだ」
「それで?」
「しかも、政治家と取引してみんなから信用を失ってしまうのだ」
「悪い奴じゃないか」
「でも、それは心の弱さであって悪ではない。だから一致協力して犯人を追い詰められるのだ」
「それで?」
「でも捕まえないところが泣かせる」
構造改革の意味 §
「さすがFROGMAN。構造改革の意味が良く分かっている」
「どういうこと?」
「効率重視で無駄を切るのは愚策だってことだ」
「効率は高い方がいいんじゃない?」
「いいかい。ちょっと違うが、景気対策で効率を高める分野に投資しちゃいかん、という話がある」
「なぜ?」
「効率が上がると失業者が増えて景気が悪くなるからだよ」
「ははは、そうか」
「だから、穴を掘って埋めるだけというような無駄な仕事をやった方が良いというわけさ。そんな話もある」
「へぇ」
「だから、無駄だから経費を節減するために切るなんてことをしていると失業者を量産するだけだし、しかも短期的に利益を生むものしか残らない」
「長期的にコツコツやるものが残らないってことだね」
「特に、それ単体では利益を出さない基礎研究なんて、真っ先に予算を切られるね」
「それで、それがどう関係するの?」
「まあそういう映画だってことだ」
ヒロインの問題 §
「ぶっとばしてえ」
「えっ?」
「いや、もとい。ヒロインがとんでもないやつだけど、最後にストーリー的に重要な役目を果たすのだ」
「そうなの?」
「この意外さが映画だね」
「そうか。だいぶ良かったみたいだね」
雰囲気の問題 §
「劇場の雰囲気がいつもと違った」
「どんな感じ?」
「みんな、リラックスして素直に笑えた感じだ」
「なぜリラックスできたんだろう」
「夜という時間帯、タダという料金という問題もあるのだが、やはり連帯する共犯意識が漠然と見ているみんなにあったんだと思う。俺たちはとんでもないものをわざわざ見に来ているんだってね」
「そうか」
「こんな気分は、それこそ昔見た『ゴーショーグン』とか、池袋の小劇場で細々と上映していた『シティーハンター 愛と宿命のマグナム』以来かもしれない」
「以前も鷹の爪映画は見に行ったことがあるんだろう?」
「舞台挨拶があるときは、どこか客も身構えていたのかもしれない。FROGMAN総統が出てきて、『イ゛ーッ!!』じゃなかった『たーかーのーつーめー』をみんなでやるからね」
「舞台挨拶がないから逆にリラックスできるわけだね」
「そうだ、身構えないでいいわけだ」
子猫刑事の問題 §
「かわいい」
「それだけ?」
「しかも重要なところで活躍する」
「猫みたいな女の子」
「いや、ただの猫」
「……」