2011年01月25日
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たまに、愚痴ってみよう

Written By: 川俣 晶連絡先

「テストの時間待ちで、暇じゃないけど暇になったので、たまには愚痴ってみよう」

「なんだい?」

「おいらは、昔、マイクロソフトの日本法人でWindowsの日本語化をやっていた」

「うん」

「だから、けっこうWindowsには貢献している。日本語まわりの仕様の明確など、現在でも間接的に使われているものもある」

「たとえば?」

「EUDCという用語とかね。それ以前にUDCという言葉があったが、メーカー独自文字とエンドユーザーが自分で外字エディタで作る文字が混乱していたので、後者に限った用語として作ったんだよ。Eを付けて」

「なるほど」

「さてここで問題だ」

「なに?」

「昨今のネットのマニアの間では、まるで天気の挨拶でもするようにマイクロソフトの悪口を言う」

「うん。まあそうだよな」

「その悪口は会社のみならず製品にも行くが、その際、マイクロソフトの製品だから悪くて当たり前だという論調になる」

「まあ確かに、そいう言い方をする人もけっこういるね」

「そこまで行くとさ。おいらがマイクロソフト時代に関与した製品まで範疇に入っちゃうわけだよ。直接関わった製品に限ってもね」

「ああ、そうだね」

「ってことは、そういう挨拶は『おまえ、ダメな製品を作った当事者の一人だろ。この無能野郎』と言われているのに等しいのだよ」

「ええっ?」

「でもさ。実際にこの悪いというのはほとんど都市伝説も同然で、根拠が驚くほど希薄なんだ」

「じゃあ、単なる個人攻撃の悪口じゃん」

「そうそう。本当に根拠のある問題なら、まあ納得しないこともないが、根拠が無いのではこちらも不快になるだけだ」

「そうか。ネットには君を個人攻撃する敵がいっぱいというわけだね?」

「と思うだろう? でも違うんだ」

「ええっ? どういうこと?」

「おそらく、そういうことを言う人間のほとんどは、それが相手を怒らせる個人攻撃であると気付いていない。ただ、みんなもそう言っているから、当たり障りのない会話として言っているだけなんだ」

「ひでえな」

「愚痴の1つもこぼしたい理由が分かるだろう?」

「そうか。明らかな敵なら逆襲すればいいだけだものね」

「でもここまでは話の半分だ」

「まだあるの?」

「本当に困ることは、そんなことではない」

「というと?」

「そういう覚悟の無い罵詈雑言は、こっちが聞き流せば済むことだ」

「じゃあ、聞き流せないこともあるわけ?」

「そうだ。ある」

「よほど腹に据えかねる罵詈雑言?」

「いやいや。こっちが聞くだけならいくらでも我慢はできる。理論上はね」

「じゃあ何?」

「うん。では説明しよう」

「頼むよ」

「まず、相手から何が素晴らしいアイデアを語られたとしよう」

「うん。君は聞き手というわけだね」

「そうだ。それを聞いた後で世間話になる」

「よくあることだね」

「そこで、おいらが『うん十年前にあったXXって製品とアイデアは同じですよね。XXは失敗したけど』と何気なく言う」

「そういうことを言うと相手が怒るってこと?」

「そうじゃない。XXというのは当時としては非常に有名で、当時パソコンに関わった人なら知っていて当然としよう。だから、こちらとしては相手も当然XXを知っていると思う。知った上でこういうアイデアを出す以上、XXとは違うのだよ、という論拠を持っているはずだと思う。いくらなんでも、それ無しに同じアイデアは語らないと思う。というか、それを語らせるサービスで話題をふっているわけだ」

「じゃあ、XXとは違うのだよ、という説明に不満があるわけ?」

「そうじゃない。説明があれば良かったのだがね」

「えっ?」

「この世間話が相手にクリティカルヒットして、相手が黙り込んでしまうんだよ」

「だって、有名な話が前提なんでしょ?」

「結局、昔のことは何も知らず、昔の失敗を反省することもなく、よくあるアイデアを蒸し返してるだけだった、ということなんだ」

「で、どうなるの?」

「おいらは相手からいたく嫌われ、仕事ももらえない。話を聞きに行った分だけくたびれ損だ」

「でも、レアケースだろ?」

「とんでもない。そんな案件ばっかしだよ」

「まさか」

「だからさ。世間話はしないと付き合いが悪いと思われて嫌われるかも知れないから付き合わざるを得ないけど、そこでできるだけ当たり障りのない話題を選ぼうとしても、しばしばそれが相手に対するクリティカルヒットになってしまうんだ。これは予測ができない。何しろ、そうならないように、話題を選んだはずなんだからね」

「そりゃ、確かに愚痴りたくもなるわな」

「サービスしてるつもりなんだぜ、これでも。一応お客様は神様だもんな」

「何もしなければ言われっぱなし。サービスしたら相手に致命傷って、君の未来はどっちにあるんだ?」

「さあな。それはおいらが知りたいぐらいだ」

すれちがい宇宙 §

「よーし、他人より良いC#のソースを書けるように精進するぞ。さてちょっと自信も付いたので、仕事を探すぞ」

「丁度いい、ちょっと来て」

「はいはい。御用でしょうか」

「Pythonで書ける?」

「C#でより良く書けるように精進した意味がまるでねえ! ってかVisual C# MVP捕まえて頼む仕事じゃねえ!」

「わははは」

「意外とこういうパターンもあるよ」

「急に今はC#のプロだと言っても昔のイメージで見ている人も多いのじゃないの?」

「馬鹿を言うな。もう10年ぐらいC#のプロだぞ。書いたソースコードはほぼ全てC#だというのに、なんで他の言語をやると思われなきゃいかんの?」

「さあ。それより前のイメージ?」

「そもそも10年以上前になるとC#そのものが無いからな。10年でもキャアリアが足りないとなると、そもそもC#のプロは成立しないことになるぜ」

「あ、そうだ。C#の前身はDelphiでその前はTurbo Pascalだそうじゃないか。君、Turbo Pascal 3.0使ってたんだろ?」

「そこまで行くとあまりに古すぎて今時の関係者は誰も知らないよ」

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