「映画GANTZのエンディングはAvalonのエンディングに似ている」
「どちらも川井憲次だからだろ?」
「そうじゃない。川井憲次だから似ているという話では無い。似てない映画も多い」
「どういう意味だい?」
「実は映画を見た翌日になってやっと気付いた」
「どういうこと?」
「映画GANTZはGANTZの映画化であるが、実はAvalonが隠しテーマとしてある」
「ええっ?」
「従って、このエンディング曲がAvalonに似ているのは間違いでも作曲家に引き出しが少ないからでも無い。これは、ヒントとして提供された意図的な曲なのだ」
「馬鹿げたアイデアだ」
「おいらも最初そう思った。思いつきがあまりにも突飛すぎる」
「違うとでも言うのかい?」
「落ち着いて考えると類似点が多すぎる」
- AvalonとGANTZ、タイトルがアルファベット表記1単語である
- 地下鉄が印象的に使われる
- 身体が徐々に出てくる表現が使われる (具体的な表現は違う)
- 重要なキャラへのトラウマを、そのキャラの死で乗り越える
- 点数が問題にされる
- 一種の仮想空間のゲームである
- 最後に像が動く (GANTZの場合仏像、Avalonの場合天使)
- 部屋にいたはずの他者(犬/女)が消えている
- 死が取り返せる世界観である
- 主人公が個人戦闘型である
- 久しぶりの再会を行う
- 指定されたターゲットを狩る
- 最後の大物が巨大な金属の塊である
- 行動を起こさせる禿げた男 (ハイプリースとガンツ)
「うーむ」
「話はまだ終わらない」
「まだあるのかい?」
「佐藤監督は以前からの川井ファンという言葉を見て確信したよ。GANTZの佐藤信介監督はかなり多くの川井憲次音楽作品を知っているが、おそらく主要な実写映画は目を通している。その中には明らかにAvalonが含まれる」
「アニメまで見ているかは分からないが、実写映画の監督である以上、同業者の映画ぐらいは見ているはずだという推定なんだね」
「そうだ。だから、押井守監督作品であるAvalonも、川井憲次音楽という切り口から知っているはずだという根拠の無い確信がある」
「でも、なんでこうなる?」
「現実そっくりの仮想空間ゲーム映画であるという切り口からの着想が似ているということだろう」
感想 §
「自分でも愕然としたことに、映画GANTZは自分に取って非常に面白い映画であった」
「自分で驚いてるのか」
「そうさ」
「予想外だったわけだね」
「その通り。アニメのGANTZは見たことがあるが、別にここまで好みというわけではなかった」
「もはや質問する意味が無いのかもしれないが、あえて聞くぞ」
「うん」
「原作のGANTZと佐藤信介監督のどっちに興味が沸いた?」
「後者だ。いずれ機会があれば『修羅雪姫』も見てみたいね」
オマケ §
「もう1つだけ質問しよう。なぜGANTZに他の映画が見えると思ったんだい?」
「SPACE BATTLESHIP ヤマトがそうだったからだ。追求するとヤマト以外の別のものが見えた。ヤマトもあるが重層的だったんだ」
「この件を追求したいと思った理由はそれだけ?」
「いや、実は川井憲次のリズムが凄くおいらごのみだと気付いたのだ。このGANTZを見てね。それは川井憲次ファンの監督だから引き出せた川井憲次の魅力だってことだろう」
「なかなか業が深いね」
「更に言えば、GANTZを見た帰り道、キャッ党忍伝てやんでえの川井憲次音楽を改めて聴くとこれも凄いことが分かった」
「どう凄いの?」
「単音ないし極めて少ない音数の音楽が含まれるが、リズム的に飽きさせない豊かさを持っていて、だから自分は音楽プレイヤーに入れっぱなしで消さないのかと納得した」
「そうか」
「川井憲次音楽のCDは割といっぱい持っているのだが、その魅力を今になって教えられるとは見事なり佐藤信介監督」