2011年03月20日
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感想・映画「塔の上のラプンツェル」

Written By: トーノZERO連絡先

「ネタバレ注意なのである。最後に結末まで含めた感想を述べているのである」

前置き §

「困っている人がまだまだいるのに映画見てきたのか」

「うん。その点はいろいろ考えた」

「どう考えたんだい?」

「府中の劇場もずっと営業を停止していて心配だからね。震災後には1回も見ていないから1回ぐらいは見に行っておきたいと思ったのだ」

「じゃあ、映画を見るというよりも、映画館を見に行ったのかい?」

「そうだ。そもそも、電車もダイヤも乱れていて、時間ぴったりに行ける保証も無い。そもそも忙しくて時間も無いしね。見ないという選択肢も十分にある状況だ。しかも、割引にならない日曜日だ」

「それで?」

「だから、料金はポイントを消費するとして、見る映画も決めないで行くことにした。9:30からドラえもん、ワンピースだが、遅れても10:00からラプンツェルなので、どの時間に到着してもタイミングの良い映画を見ればいいと思った。場合によってはこの3本ですらなくてもいいと思った」

「それで?」

「ぐだぐだして時間を取られて、9:30には間に合わないと思ったが、電車がタイミング良く来てしかも接続も良くて、9:30の上映に間に合ってしまった。ラッキー、と思ったら衝撃の大行列。蛇行しながら並んでいるのは当然として、ソファのある休憩スペースまで続いていたよ」

「ええっ?」

「しかも、並んでいると、あれよあれよと伸びて劇場の外まで出てしまった」

「そうか。映画館がずっと休みだったから、みんな溜まってたんだね」

「しかも、今日明日だけ営業してまたお休みが続く」

「ひぇ~」

「ドラえもんが見たかった子供連れとかかなりピンチだったろうな」

「時間もそうだけど、並ぶのも子供には厳しいよ」

「というわけで、時間だけなら9:30に間に合ったが行列長かったので、10:00の「塔の上のラプンツェル」を見てきた。3D日本語吹き替え版だ」

「そうか」

「予告無しで上映していたから本当にハラハラしたぎりぎりのタイミングだったけどね」

「そうか。普通は上映時間に少し遅れても間に合うけど、予告が無いから間に合わないってことだね」

豆腐小僧 §

「ちなみに、並んでいて驚いたのは豆腐小僧のポスターがあったこと。あれが映画になるんだ」

「豆腐小僧?」

「京極夏彦の豆腐小僧は極めて重要な作品だ」

「どう重要なの?」

「この場の本題では無いし、既に語っているのでパス」

感想・A面 §

「それで? 面白かったの?」

「うん。面白かったぞ。以上感想終わり」

「もうちょっと詳しく頼むよ」

「水の表現が凄い。踊りも見事だ。特に街中で急に踊り出してまわりを巻き込んでみんなで踊ってしまうところは屈指の名シーンだろう」

感想・B面 §

「なんでB面があるの?」

「レコード世代だからさ」

「意味不明だ」

「この映画、グリム童話に見せかけて実はストーリーの骨格はカリ城なんだ。うかつにも気付くのが遅れた」

「は?」

「最初に気付いたのは馬だ。馬がまるで銭形」

「へ?」

「強力な追跡者であり、最初は敵なのだけど、最終的に味方になってくれる」

「そうか、パターンが銭形みたいなんだね」

「パターンだけじゃ無い。そもそも、そう思ったのは味方になる前だ。顔も銭形にどことなく似ている」

「そうか」

「そう思って見ると実は類似点が多い」

  • 主役が軽薄な泥棒(男)。しかも手先が器用で、いつの間にか相手の品物を奪っていたりする
  • お城
  • 塔の上の囚われの姫君
  • 天井の天体絵
  • 銭形のような馬
  • 悪党が味方になる
  • 地下の秘密の通路
  • 空中水道
  • 水が飛び出して大洪水
  • 衛士隊
  • 空中に無数の浮遊物 (浮かぶ火の筒と降下するパラシュート)
  • 夢が戻ってきた

「そうか」

「ただし、姫君の性格がまったくお姫様らしくない。人間らしく生き生きしている」

「そこはクラリスっぽく無いんだね」

「でも、今の宮崎駿がカリ城を作っても、やはりクラリスっぽくないヒロインになると思う」

「じゃあ、この映画は正しいのかい?」

「おそらくな。間違った方向には向いていないだろう」

感想・G面'75 §

「おいおい。なんだよこのG面ってのは」

「B面の先だ。もっとぶっちゃけた感想を書くぞ」

「なんだよそれは」

「この映画、形式上は王様とお后さまと王女様が再会する話なのである」

「違うの?」

「違わない。王女様がお城に戻って王様とお后さまつまり父母に再会し、最後はめでたしめでたしで終わる」

「じゃあどういうこと?」

「この話で意味のある登場人物は、父母、ヒロイン、魔女、泥棒、悪党集団……これだけだ。街の人は出てくるだけで、大きな役割を担わない」

「どういうことなんだい?」

「だからさ。このストーリーは王様とお后さまが王女を魔女に奪われた話ではあるのだけど、実は王族であるとか、領土があって領民がいるというのは、物語の形式を整えるための便宜上の表現でしか無く、物語の本質はひたすら誘拐された子供というモチーフに回帰するだけだ」

「そうか」

「であるから、領民はまるで国王と王妃のように悲しんだり喜んだりするが、これは実際には娘を誘拐された父母の心理表現の一種であり、実際に描かれた通りのものではない、ということだ」

「おい。それってまさか」

「王族の話はもう力を持っておらず、王族の話に託して何を語るかの問題になったと言える」

感想・Z面 §

「実は二人は永遠に幸せに暮らしましたとさ、という結末だけは気にくわない」

「そんな安易な結末じゃね」

「結局、不倫じゃなかったフリンが生き返るのが安易すぎるのだ」

「むぅ」

「でも、最後に悪党がピアノ弾いてるところは良かった」

「そうか夢がかなったんだね」

「でもそこから逆算するとフリンは生き返る必要がある。フリンが死んでいたら脳天気にピアノなんて弾いてられない」

「確かに」

「だからフリンは生き返る必要があったのだ」

まとめ §

「やっぱり馬だな」

「馬か」

「馬が表情豊かでラブリーでいいぞ。一人で歩いて行くしな」

「あと魔法の髪をバサッと切るところも良かったぞ」

「思い切りがいいね」

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