「ネタバレ注意で行くぞ」
「うん」
「時間は無いが強引に時間を作って見てきた」
「公開初日の第1回目の上映に行くとは力が入ってるね」
「公開初日という意識は無い。TOHOシネマズで1日は映画が1000円だから。それに、昼間の京王線の運転具合にも興味があった」
「夢も希望も根性も無い理由だね」
歴史は修正された §
「それで感想は?」
「凄く面白かったぞ」
「もっと具体的に頼む」
「歴史は修正された。以上だ」
「歴史修正ものだってことだね」
「それもそうだが、真意は違う」
「えっ?」
「仮面ライダーは子供の頃、あまり面白くなかった」
「どうして?」
「一生懸命計画を立てて地道に遂行するショッカーに対して、殴る蹴るの粗暴は振る舞いで地道な計画を潰すライダーは面白くなかった」
「なんてガキだ」
「だが、今回のライダー映画はショッカーが勝っている未来が描かれる。苦労は報われている」
「そうか。そこが納得のいくところなんだね」
「勝利を得たショッカーの統治がまずくて反逆されるところまでは知ったことではない」
「そこでライダーの逆襲があってもいいのね」
「理由はもう1つある」
少年ライダー隊 §
「もう1つ?」
「もう1つの理由は、少年ライダー隊がまともに活躍していることだ」
「昔も出てきたじゃん」
「自転車に乗った子供が出てくるだけで、本当の危機にはあまり直面しないのだ。でも、この映画は少年ライダー隊が本当の危機に直面するのだ。しかも、制服を地下に埋めて堪え忍ぶという、とても渋くていい展開まである」
「そうか」
「ショッカーの勝利と、少年ライダー隊の活躍。これで決まりだね」
「これがそうなのか」
「これが見たかったライダーだ」
ストーリー的には §
「オーズの世界に存在するセルメダルを、電王の世界のデンライナーが過去に運んでしまい、そこで初代ショッカーが力を得てしまうのは面白い設定だ」
「新しい設定を作らなくても、既存の設定を複合するだけでお話しができあがるわけだね」
おおテディ §
「ライダーのトリロジーでいちばん良かったテディが準主役だったのは良かったな」
「電王って野上幸太郎?」
「そうだ、と言いたいがクライマックスで電王になるのはモモタロスだったりするからややこしいぞ」
奇怪だ §
「入り口でライダーのカードをもらったらキカイダーの絵も入っていて奇怪だった」
「そうか」
「でも、映画を見て納得した。キカイダー、01、イナズマン、ズバットが出てくる」
「えっ? キバットじゃなくて?」
「気張って行くぜ、じゃなくてズバット解決」
「ひぇ~」
カメバズーカ §
「怪人や幹部はもう憶えてないからわからんぞ。単にどっかで見た記憶がある程度だ」
「そうか」
「でも、デンライナーを砲撃したのはカメバズーカだよね。背中にバズーカ背負ったカメだから」
「そこは判るんだ」
「カメバズーカの砲撃で炎上するデンライナー。燃えるねえ」
「デンライナーも燃えてるよ」
ライダーマン §
「主役ライダーと脇役ライダーははっきりと扱いが別れていた。主役ライダーは全員短いながらもアクションシーンがあるが、脇役ライダーは揃って助けに来るだけ」
「そうか」
「だから、バースの見せ場はほとんど無い」
「うん」
「そこで重要なポイント」
「何?」
「ライダーマンは本来V3に登場する脇役ライダーだったはず」
「うん。改造人間じゃない出来損ないライダー扱いだね」
「でも、この映画では主役ライダー扱いだった!」
「えっ?」
「もちろん、おいらはライダーマン好きだからOKさ」
顔が見えない §
「ほとんどのライダーは素顔が見えない」
「まあしょうがないよ。俳優も年を取ってるわけだし」
「そういう意味で、立花藤兵衛まで出てきそうな勢いのある映画であったがやはり素顔の人物は無理かな」
「出てこなかったんだ」
「さすがに難しいだろう。本当は1971年世界にライダー隊のリーダーとして出てきてオーズの相談役になったりすると良かったのだけどね」
ダブルキック §
「1号2号のダブルキックで決めて欲しいと思った。せっかく1号2号が揃ってるんだからさ」
「そうだね」
「でも、最初は2体の怪人を相手に2人は同時にライダーキックを放ってちょっとがっかり。でも最後はきっちりダブルキックで決めてくれてすっきり」
「そうか」
「と思ったら巨大な敵が出現」
「どこの戦隊ですか」
「そこで、全ライダーの同時キックで倒すのかと思ったらそうじゃなかった」
「全ライダーの同時キックって、もうどっかの映画にあったよね」
「そうだ。ネタかかぶるからやらなかったんだろう」
「じゃあ、どうやって倒したの?」
「全ライダーがサイクロン以下のバイクに乗って突っ込んで倒す」
「バイクに乗ってこそ、真の『ライダー』ってことだね」
ライダーは実在するのか §
「この映画でいちばん良いのは、実はラストシーンだな」
「なぜ?」
「あれだけいたライダーがオーズと電王関係者以外誰も残っていない」
「ディケイドもそうだよね」
「ディケイドのときは、みんな自分の世界に帰ったのだ」
「それとは違うの?」
「ライダー達はヒーローを望む民衆が生み出した幻影のような解釈なのだ」
「それって意味があるの?」
「ある。なぜなら、ライダー世界では死んだはずのライダーが何回も出てくるし、別の世界のライダーが同じ世界で活躍することも多いが、それに筋が通る答えを与えるにはそれしかないからだ」
「ええっ?」
「だから、この映画では民衆の連呼の中で歴代ライダーが全員順番に出てくるが、この連呼が重要なポイントだ」
1号2号 §
「1号2号も、本当ならV3の初期のエピソードで、核爆弾を内蔵した怪人と一緒に吹っ飛んでいるはずなのだ」
「V3世代の言い分だね」
主題歌 §
「エンディングに流れた初代ライダーの主題歌。このアレンジが強烈で良かった。メロディは同じなのにリズムが別物」
「そんなに?」
「たぶん、原曲を知ってる世代には歌えない。原曲に引かれすぎて」
モモタロスとアンク §
「余談だけど、モモタロスとアンクがけっこういいコンビなのが面白かったな」
「そんなに?」
「モモタロスまで腕だけになったりしてな」
「ははは」
余談・どん底の子供 §
「子供をどん底に突き落とす描写があるのがいい」
「そうかい?」
「もしかしたら、シャンゼリオンの東京都知事のエピソード以来かも知れない」
「あのときは、子供が都知事を殺したんだよね」
「権力を握った悪役が、ヒーローでは無く小さな子供達に殺されてしまったのだ」
「今回の映画も?」
「結局、どん底を知った子供が諦めない心でショッカーの科学者になり、1号2号の洗脳を解いてくれたのが勝因だ。オーズと電王だけなら負けていた」
「それは素敵だね」
「結局、大衆と諦めない心がいちばん強いという映画なのだろう」
もう1つ余談 §
「だから歴史は修正されたということだ。特撮はあるべき場所に回帰した」
「お帰りなさい! って感じなのだね」
「そうだ。ただ単に良い作品ができただけではない。過去に遡って印象が書き換えられた」