「SPACE BATTLESHIP ヤマトFAQ・見ようかと思っている君へのアドバイス【第2.1版】といのを昔書いたわけだ」
「うん」
「実はこれはトラップだったのだ」
「え? 情報が欲しい人への親切な情報提供ではなかったの?」
「そうではないのだ」
「どうして?」
「親切に情報を提供すると見ないで見た気になる人もいるからだ」
「それはダメな態度だね」
「そうだ。他人がどう言おうと、中身がどうかは自分で見ないと分からない。それが感性で受け止める娯楽である映画の本質だ」
一般人のあなたのためのFAQ §
「一般人のあなたのためのFAQというパートは割と誠実に書いてあるので解説は必要無いだろう」
「ってか、そもそも情報をろくに提供してないよ。ほとんど見てくださいだけ」
「そうさ」
「それでいいの?」
「うん。だから、これって『見ないで知ったかぶりするな』という意図を表現しているだけだから」
「それも十分にトラップだよ」
「そうか。すまん」
昔のヤマトファンのためのFAQ §
「昔のヤマトファンのためのFAQというパートはけっこう落とし穴を掘ってあるぞ」
「どうして?」
「正しい内容を書きながら、できるだけ間違った印象を与えるように書いてあるからだ」
「なんだそれは。ずいぶん不誠実だぞ」
「そうじゃない」
「えっ?」
「映画館で驚きがなかったら、料金がもったいないじゃないか。だから観客は驚く必要がある。しかし、情報を得ずには映画を見に行けない人もいる。そういう人には間違った印象を与えて行く気にさせるしかない」
「なるほど」
- Q:女性増えたの? A:乗組員の半分ぐらいは女性かも
- Q:第1シリーズでヤマトに乗っていないが、今回の映画で乗っているキャラは誰? A:斎藤、空間騎兵隊、みーくん (オリジナルキャラは除く)
「このあたりは、無駄な抵抗感を持たないための情報の先出しだ」
「斎藤が乗ってるなんておかしいと騒がれても迷惑ってことだね」
- Q:真田さんは「こんなこともあろうかと」じゃないとヤダ A:帰りにパンフを買って帰ってください。
「その台詞は忘れられたわけではありませんよ、という些細な指摘だ」
「こんなの真田さんじゃない、と騒がれても迷惑ってことだね」
- Q:藪は出ますか? A:出ます
- Q:太田は出ますか? A:出ます
「この2項目は?」
「出るけど名前もほとんど呼ばれなくて、こいつがそうだと良く分からない。良く分からないけど、ちゃんと出てるよってこと」
- Q:南部はメガネかけてます? A:メガネをかけてます
「突っ込みメガネ君は健在ですよって言ってるわけだ。分かったかね新八君」
「誰だよその突っ込みメガネ君って。南部は突っ込んでないでしょ。波動砲の砲口に突っ込まれている側でしょ」
「南部の話と合わせて、要するにアイテムでのキャラ付けはオリジナルに忠実と印象づけているだけ」
「わははは」
「佐渡先生は女であるという話は伏せて、アイテムだけで似ていると安心させる効果も狙っている」
「これも一種のトラップだね」
- Q:沖田艦長は「馬鹿め」と言いますか? A:YES
「これはトラップだ」
「えっ?」
「馬鹿めと言うと聞くと、おそらく予備知識のない人ならあそこで言うと思うが、あそこでは言わない。別の場所で別の相手に言うのだ」
「つまり、情報を仕入れることで、かえってミスリードさせるトラップなんだね」
- Q:電影クロスゲージの明度は20ですか? A:20です
- Q:島は操縦を古代に渡しますか? A:YES
- Q:第3艦橋は破壊されますか? A:YES
- Q:地球は何もかもみな懐かしいですか? A:YES
「これらは、上の沖田の話をカモフラージュするためにあるわけだ。これらは確かにその通りなので、沖田の話も同じと思わせられるが、そこがトラップだ」
- Q:スターシャは死亡ですか? 生存ですか? A:ストーリーに触れるので説明しません
- Q:古代守は死亡ですか? 生存ですか? A:ストーリーに触れるので説明しません
「これもトラップだ。この映画は、原作のスターシャ死亡シナリオか生存シナリオかを説明しているように見えて、実はどちらでもない事実をかえって隠蔽してしまう。しかし、説明しませんという対処は、隠蔽の事実を隠蔽してしまうのだ」
「ひでえ」
「しかし、古代守は死亡だ。これは確かに文章から受ける印象通りで、それもスターシャの項目をかえって隠蔽する機能を持つ」
- Q:デスラーは『ヤマトの諸君』ですか? A:YES
- Q:デスラーは肌色ですか? 青色ですか? A:青色です
「これもトラップだ。肌色か青色かを問うているように見えるので、素直に青い肌の男が出てくると読める。あのデスラーが『ヤマトの諸君』と言ってくれるように読める。でも、まるで別物がまるで別種の青い身体で『ヤマトの諸君』という事実は印象から遠ざけられてしまう」
「そうか。あのデスラーはまるで別物だものね」
- Q:デスラーは伊武雅刀じゃなきゃヤダ A:ぐだぐだ文句を言わず見てください
- Q:雪は服が脱げないとヤダ A:ぐだぐだ文句を言わず見てください
- Q:アナライザーがロボットじゃなくて古代が持ってる端末なんてヤダ A:ぐだぐだ文句を言わず見てください
「これもトラップだ。ぐだぐだ文句を言わず見てください、というのは素直に読むと『我が儘を言わないでニンジンも食べなさい』と言っているように読める。でも、本当は『今夜のおかずはハンバーグよ』なのだ。つまり、君の期待は叶えられると知っているが、あえて叶えられる事実は伝えないということだ」
「脱げないと思っていてもクライマックスで服が脱げる森雪とか。端末だと思ったら自律モードでロボになるアナライザーとかだね」
- Q:昔のヤマトとストーリーは同じですか? A:石津嵐版まで同じと言えるのならおおむね同じです
「これも別種のトラップだ。ここでは『同じ』を強調しているが実際は同じでは無い。『石津嵐版まで同じと言えるのなら』という前置きは同じではないことを示すが、言葉の上では『同じ』という印象を与えるように書かれている」
- Q:まさか古代と雪だけ地球に生還なんて話? A:NO (詳細はネタバレになるので説明なし)
「これもトラップだ。石津嵐版を知っていれば、ヤマトは還らないで古代と雪だけ地球に生還すると知っている。そうではないと言うことで、まるでヤマトや古代が生還するかのような印象を与えている。しかし、嘘は言ってない」
- Q:宣伝の沖田艦長が軽すぎます A:同じ沖田艦長ではありません。ベテラン俳優山崎努のいい演技です。最後はやはり泣けます
「これも一種のトラップだな」
「えっ? 誠実じゃないの?」
「ベテラン俳優のいい演技だから泣けるという風に読めるが、実際は『嘘』という重苦しい要素が加わってもっと重厚感が出る。しかし、『嘘』は事前に教えるわけにはいかない。映画を見る上でのサプライズだからだ」
「そうか『同じ沖田艦長ではありません』というのは、別人が演技しているからと読めるが実はシナリオ上の位置づけまで違う事実を隠蔽しているわけだね」
- Q:見た方がいいの? 悪いの? A:自分で決めてください
「これも一種のトラップだな」
「これも?」
「この文章はキムタクだからダメに決まってる、的な発想をする馬鹿どもを一発殴るために存在する」
「えっ?」
「だからさ。キムタクだからダメっていう発想方法は、自分で決めてないんだよ。自分で見て自分で決めてないんだよ」
「わははは」
「だからね。他人の解釈をオウム返しにネットで呟くだけなら、そんな奴らは要りません。100%無駄です」
「つまり、自分で決めろというのは、100%相手を尊重するように見えて、実際はある種の人たちに尊重する価値は無いよ、と宣告してるわけだね」
- Q:もうちょっとアドバイスしてよ A:ヤマトを見に行くつもりだとヤマトではないものを見せられます。ヤマトとは違うものを見に行くという決意を持って見に行くと、ヤマトに案内されるようになっています
「このフレーズの意図は既に説明したかもしれない」
「そうかもしれないね」
「もっとも、この文章を読んで『ちゃんと決意を持ったのにヤマトじゃなかった』と思った人もいるだろう」
「それはなぜ?」
「趣旨を分かった上で見たときの印象はまた変わってしまうからだ」
「観察対象は観察者の影響を受けるってことだね」
全般的な感想 §
「まあそういうわけで、どきっトラップだらけのFAQ大会であったわけだ」
「悪意がみえみえだね」
「善意と言ってくれ」
「どう違うんだよ」
「違わないと思う。結局、地球に手をさしのべるスターシャの善意と、デスラーに反発するスターシャの悪意は表裏一体かも知れないしね」