2011年08月23日
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感想・『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 〜勝どき橋を封鎖せよ!〜』【ネタバレ注意】

Written By: トーノZERO連絡先

「8月は見た映画が少ない」

「映画はもういいの?」

「そういうわけでもないのだが。ともかく、こち亀かトランスフォーマーぐらいは見ておきたいと思ったのだ」

「なぜこち亀を選んだ。なぜアニメのタイトルがもう出てこない?」

「こち亀を選んだのはただの時間の都合。公開から時間が経ったので、どちらもあまり上映回数が多くなく、時間的な自由が利かないのだ。アニメが候補にないには、既にアニメとしてポケモンの映画を1本見たからだな」

「それでこち亀を見てきたの?」

「強引に時間を作って見てきたが、30分朝寝坊して焦った。結果として間に合ったからいいけど」

感想 §

「それでどんな内容だった?」

「新聞で見た評価はかなり低かったが、実際に見た感想はけっこう良かったぞ」

「それはどういう意味?」

「驚きがあって、噛みしめるものがある。映画としてはそれでいい」

「こち亀としては?」

「うん。問題はそこだ。こち亀というのは基本的に1話完結であって、話の単位が短い。しかもあり得ない設定が続々と出てくる」

「映画に馴染まないってことだね」

「そうだ。基本的に原作のストーリーは映画に馴染まない」

「じゃあ、ストーリーの骨格は原作と違う別物ってこと?」

「そうだ」

「では、原作と違う何が入っているんだい?」

「寅さんだ」

「えっ?」

「マドンナが登場し、主人公といいムードになるが、マドンナの本命があとから出てきて主人公は失恋して終わるのだ。寅さん黄金パターンだ」

「ええっ?」

「まあ、パトレイバー2パターンと言ってもいいけどな。ともかく、惚れてるのに他人の恋を後押ししてしまうのだ」

「難儀な話だな」

「でも、ある意味でそれが王道パターンなのだ」

「でもいいのか? こち亀で寅さんをやって」

「いいのだ。なぜなら、こち亀が葛飾区なら、寅さんも葛飾柴又だからだ」

「ええっ?」

「昔、秋本治が新書で出した本で、秋本治と山田洋次監督が対談して意気投合しているし」

「そうか。どちらも日本を代表する長期シリーズだね」

「だから、寅さんパターンに落とし込んでこち亀は上手く機能するわけだ」

「そんなに?」

「だからこち亀で言うテキ屋の娘パターンに落とし込めば上手く機能しちゃうんだよ。久々にあった小学生時代のマドンナには既に旦那がいるわけだ」

勝どき橋を封鎖しない §

「それで、作品の内容はどうなんだい?」

「こち亀には実は2パターンあって、設定が発散する話と渋い話だ」

「それで?」

「今回は基本的に渋い話だ」

「どういう意味?」

「最大の凄いメカが、中川の持ち出すヘリだったりするスケール感から分かるだろう。だから、特殊刑事課も出てこないし、変な発明家キャラも出てこない。日暮も出てこない」

「つまり、スケールがしょぼいわけだね?」

「そうじゃない。等身大から見れば、ヘリは凄いんだよ。かちどき橋はでかいんだよ。そして、最後に犯人が待っているのは屋形船だ。あれも、宴会ができるかなり大きな船なんだよ。人のサイズに比べればね」

「見てきたように言うね」

「見てきたんだよ。屋形船の大群が神田川の下流の浅草橋のあたりに係留されているぞ」

「えっ?」

「だから、凄く雄大なスケール感があるんだ。あの場所に実際にヘリを飛ばすと思えば、それはスケール感が凄いんだよ」

「実際に見たから言えることだね」

「かちどき橋だって実際に歩いて渡ったことがあるしね。かちどき橋の資料館も行ったことがある」

「それで、かちどき橋を封鎖するんだね?」

「いや、しない。封鎖したいができなかったという話になる」

「えっ?」

「結局、両さんはかちどき橋から中川にヘリに拾われてそのまま河口の方向に飛ぶ」

「かちどき橋ほとんど関係ないやん」

「ところが、関係ないと思うと最後に開くんだ。こち亀には現代にかちどき橋が開く話はなかったと思う。開きたいという活動をしているという話があっただけだと思う。よく覚えていないがな。でも、映画では実際に開いたんだ」

「まさか、あれはもう開かないだろ?」

「誰がどうやって開いたのかという詳細は一切描かれていない。ある意味でファンタジー的な映像だ。しかし、それで良かったと思う」

「どうして?」

「詳細を描くとどうやっても嘘になるからさ」

「それでいいの?」

「ある意味で夢の映像だからいいのだ。多くの人が夢見て実現していない映像がVFXで現実化したのだ。それでいいじゃないか」

その他のこち亀的の感想 §

「大原部長の怒りっぷりがやはり良かったね」

「そうか」

「麗子はスカートが短いし」

「そこかい」

「中川は手足が長すぎていい男過ぎ」

「そこは弱点?」

「こち亀的にはその方がいいだろう。それでこそ、がに股の両さんが引き立つというものだ」

「両さんの引き立て役としての美男って……」

映画としての感想 §

「じゃあ、こち亀はさておき、映画としてはどうなんだい?」

「かちどき橋の制御機器の映像から始まって、最後にそれが使われるところが描かれる。構成としてはいいじゃないか」

「それだけ?」

「あとさ。真犯人が凄く意外で、冒頭から出ていたのも良かったよ」

「そんなに?」

「それからさ。真犯人が滑りまくってグダグダになったいい人なんだよ。真犯人すら救う両さんのスーパーマン的な側面がいいじゃないか」

「わははは」

「それからさ。全ての元凶になった奴が最後に出てきて謝るんだよ。そこもいいね」

「それも重要か」

「彼がその場で素直にごめんなさいと言っていれば、話はこじれなかったんだ」

葛飾的感想 §

「良く分からないけど、良く出てきた水路がある道は、あれかな。葛飾区郷土と天文の博物館の前の道なのかな」

「えっ?」

「かちどき橋周辺もそうだけどさ。葛飾方面もあの辺的な感じがよく出ていて良かったよ」

「ご当地映画だね」

「それも寅さんパターン」

「そうか」

「SLの代わりにヘリと屋形船が出てきたと思えば、やっぱり寅さん的なんだよな」

「こち亀である必要がないやん」

「半分はイエスであり、半分はノーだ」

「えっ?」

「日本に欠落した寅さん成分を補給するのがこちら亀であろうという意味ではイエスだが、やはり中川の財力をバックにした派手さはこち亀ならではだと思う。両さんのはちゃめちゃぶりもね」

実写こち亀総論 §

「おいらは、原作コミックを最近はずっと読んでいる」

「そうか」

「でも、アニメはあまり見てなかった」

「そうか」

「でも実写ドラマはテレビで見てた」

「えっ?」

「実写ドラマ版、けっこう好きだな。アニメより好きかも。香取慎吾の両さん、肯定するよ」

2011/08/24追記 §

「ちょっとやばいぜ」

「何が?」

「この映画、半端じゃないご当地映画だ」

「どういうこと?」

「以下はサルマル氏から教えて頂いた亀有の鉄塔。映画中盤で背景に映っているのと同タイプのスマートな柱だ」

「場所は?」

「亀有駅の近くだ」

「それだけ?」

「いやいや。実は作中に出てきた四つ木公園は実在した。検索すると分かるが葛飾警察署のすぐ近くだ」

「えっ?」

「となると、映画の中に出てくる水が流れる公園は曳舟親水公園でほぼ確定だろう」

「それが重要?」

「うちからは遠くてめったに行かないが、お花茶屋駅から、葛飾区郷土と天文の博物館までは歩いたことがあるんだぜ」

「えっ?」

「かなり狭い範囲で足跡が辿れそうな映画だ」

「それは重要なことかい?」

「そうだ。重要だ。なぜなら、テレビは簡単に嘘をつくが、特定の狭い地域にこだわって撮影すると容易に現場を見ることができる。現場を見れば映像はリアルになる。ブラタモリなんかと同じだね」

「そうか」

「ちなみに、検索すると本当に四つ木公園でロケしていたようだな」

「本当なのか」

「まあ、葛飾、亀有、かちどき橋とリアルな地名を並べた以上、ある意味で宿命だけどな」

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