「軽くアイデアを語る」
「なんだい?」
「むかし、セキュリティ猿という用語を考えていた」
「意味は?」
「安全にしろ、安全にしろ、とキーキーわめき立てる猿さ」
「それはどうしてダメの?」
「安全と機能はトレードオフの関係にある。安全を叫びすぎると、ユーザーから機能性を奪うことになり、ユーザーが怒る。なぜこの程度のことができないんだってね」
「わははは」
「でも、セキュリティ猿は責任を持って、怒ったユーザーに対してそれは安全のために必要なことだと説明しない。関係ないはずのメーカーのサポートが必死に謝る」
「確かにあまりいい話ではないね」
「それが行き着く先は、悲観的セキュリティモデルだ。それについてはもう語ったからもう繰り返さない」
「そうか」
「しかし、ここで1つの問題に気づいた。悲観的セキュリティモデルを採用したシステムと、採用していないシステムでは、後者の方が機能が豊富で優れているように見えてしまうのだ」
「でも、安全性と機能はトレードオフなんだろ? 安全に留意したら機能が落ちて当たり前なんだろ?」
「そうだ」
「じゃあ、悲観的セキュリティモデルを採用しなかったシステムは、いくら機能が豊富でもセキュリティ猿に叩かれちゃうじゃん」
「そうだ。実際に叩かれているよ。セキュリティがザルだからな」
「なんかオチが分かったぞ」
「つまり、悲観的セキュリティモデルを採用しなかったシステムは、セキュリティ猿とは似て非なるセキュリティザルってことなんだ」
「ぎゃふん」