「Windows PhoneにはIsolatedStorageSettingsというクラスがある」
「分離されたストレージだね」
「そうだ。そして、key/valueストアだ」
「key/valueストアって、今流行のクラウドのストレージだろ? 凄く発想が新しいじゃん」
「そう思うだろ?」
「えっ? 違うの?」
「きっと若い人は誰も知らないが、昔のWindowsには今と違う部分がいろいろあった。その1つはINIファイルという奴なんだ」
「ああ、テキストファイルに設定を記録するやつね」
「結局さ、任意のキーと値を記録できるって、あれの再来なんだよ」
「でもさ。INIファイルにはセクションがあったじゃない。それで分類できたじゃん」
「じゃあ、ほとんどの人が知らない偉い昔に戻ろう」
「どれぐらい?」
「Windows 2.x時代」
「ひぇ~」
「その時代。INIファイルはwin.iniの1つしかなかった。セクション分けというのは、実はほとんどの場合アプリの分類用であった」
「あれ。アプリごとに分割されたストレージなら、アプリを分けるセクションは要らないじゃん」
「だからさ。あの頃のINIファイルに実は感触が似ているんだ」
「ひぇ~」
「時代は一回りして、Windows黎明期に戻ったのかも知れないぞ」
「まさか」
「ちなみに、Windows 1.x時代のUIはタイリングウィンドウ。WP7のメトロもタイルUI」
「何だよそれは。どこまで時代が戻ってるんだよ」
「戻ってないよ。進んでいるんだよ。それがなぜか昔に似ているだけ。といっても、その時代をちゃんと知ってる人はほとんど皆無」
「どうして、そんなに少ないの?」
「Windowsは売れないソフトの代名詞だったからだ」
「ぎゃふん」
「悪の帝国マイクロソフトが客を騙してWindowsを強引に売り込んだ、なんてことはまるでないぞ。それが事実なら当時を知ってる人はもっとはるかに多いはずだ」
「まさに風評被害ってことだね」