「らんま1/2は特に好きというわけでもない」
「どうして?」
「うる星やつらや、めぞん一刻に比べてインパクトが無かったからかもしれない」
「犬夜叉は?」
「それほど見てない。というかアニメを少し見たことがある程度で原作コミックにまで手が伸びてない」
「らんま1/2は?」
「原作も読んだ。アニメも見た」
「しかし、食い足りないのか」
「そうだ」
「理由は?」
「主に2つある」
- 男と女をテーマにしているにも関わらず生臭さがほとんど無い
- 乱暴者だったはずのあかねがおしとやかになったり、東風先生の出番がいつの間にか無くなったり、ストーリー展開に無理が多い
「そうか」
「特に致命的なのが、あかねに魅力が足りないという点だ。うっちゃんや、シャンプーの方がどう見ても魅力がある。そっちに行かない乱馬にはどうも感情移入できない」
今回のドラマはどうか §
「それで今日のドラマは?」
「なんだけっこう面白いじゃないか、と思って見終わって気づいた。それほど大きな不満が無い」
「は?」
「らんま1/2では、うっちゃん派なのだ。あと白鳥あずさが好き。ところが、2人とも出て来ない。それにも関わらず、大きな不満が無い」
「どうしてなんだい?」
- 生身の俳優が演じるとそれだけで生臭い。それどころか、なびきが水商売で意図的に大人っぽい生臭さが出ている
- ヒロインがあかねしかおらず、最後まで武闘派で戦う女で一貫している。十二分にあかねは強く、魅力もある。東風先生もうやむやにならないでクライマックスで見せ場がある
「じゃあ、君の不満はおおむね解消されていた訳か」
「まあな」
なぜ従来のらんまは…… §
「なぜ従来のらんまはイマイチだったのだろう?」
「女が想像した男という生き物は薄っぺらで奥行きが無かったからだろう。そこから逸脱することが許されなかった」
「許されなかった?」
「まあ世の中にはいろいろあるってことさ」
「分からないけどまあいいや」
「しかし、実写になると本物の俳優が演技する以上、記号では無く本物の男がそこに出現してしまう。その瞬間に、コミックでもアニメでも渡れなかった橋を渡ってしまうわけだ」
「なるほど。そこはもう、『実写』とした瞬間にどのような原作者の意向とも関係なく生臭さが入ってしまうわけだね」
「おそらくな」
「それだけ?」
「いいや。熱心なファンにしかできない熱意で、筋が通らない部分を全て叩き直して2時間に要約した。だから、Pちゃんが出なくても、ムースが出なくても、これはらんま1/2だと思える作品に仕上がった」
オマケ §
「好きじゃ無いって割に詳しすぎるよ」
「詳しくは無いって。DoCoとかも分からないし。ところで、らんま的歌劇団に入らないあるか?」
「怪しい」
「お客さん、怪しくない。怪しくないって」
「正直に吐け!」
「持ってるよ、DoCoファーストのCD。確かセカンドも買った気がする」
オマケ2女 §
「1つだけ補足する価値があるとすれば」
「なんだい?」
「天道3姉妹ではなびき派だったけど、原作ではあまり出番が無かった」
「金にがめついのに?」
「そうだよ。声優は上手すぎる高山みなみだっ。でもあまり有効に活用されたとは言いがたい」
「それで?」
「今回のドラマは、なびきの出番が多かったので、けっこう良かったぞ」
「学生じゃなくて水商売じゃん」
「金のためなら何でも売るなびきらしい設定変更だ。むしろ、『なびきを分かっている』という感想が残った」
「ぎゃふん」
オマケ §
「TBSは、SPACE BATTLESHIP ヤマトから南極大陸への流れで船のVFXを軸に据えているように思える」
「らんま関係ねえ」
「そうじゃない。じゃあ、日テレは何を軸にした?」
「何?」
「怪物くん、妖怪人間ベム、らんま1/2という作品の羅列から見えてくるのは人間の身体の変容だ」
「手が伸びたり、妖怪になったり、パンダになったりすることだね」
「そうだ」
「それに意味があるの?」
「それぞれの局が得意分野を持ち、切磋琢磨して競い合うのはいいことだ」
「その結果、ヤマトとハイジと猿の軍団が同じ時間に放送されるような事態になったらどうするの?」
「それは……困るな」