「映画の宣伝のために作られたスペシャルと思われる。正月なので再放送したようだ。なので録画してみた」
「怪物くんだね。映画は見たんだよね」
「ああ」
「じゃあ、映画を既に見ていれば、どうでもいい宣伝番組?」
「と思うだろ? そうじゃない。全く独立したいい話しなのだ。ドラマとしての見応えがあって、つい見入ってしまったよ」
「そんなに?」
「怪物くんは、基本的に怪物の話だ。しかも、このスペシャルは仮想空間でちらりと人間が出てくる以外、ほとんど人間が出ない。まさに怪物だけで話が進行する」
「そうか」
「それにも関わらず、とても人間くさい、腐れ縁の話になっているのがポイント高いな」
「怪物の話なのに人間くさいのか」
「見ているのは人間だから、やはり人間くさい話がいいよ。その方が感情移入できる」
「なるほど」
「特にいいのが怪子ちゃんだね。とても可愛い」
「かなり凶悪じゃいか」
「そこも含めて可愛い」
「わははは」
「でも、本当にお供の3人が人間くさくていいね。欠点が多く、弱い存在ではあるが、思い悩むところが感情移入できる」
「成功しかしないヒーローなんて、薄っぺらくて面白くも何ともないわけだね」
「そうだ。逆に、怪物くん本人は他人の言ったいいことを受け売りするのだが、自分なりに分かった上で語るからそこに言葉の重みが出てくる」
「それが人間くさいわけだね」
「そうだ。単に反復するだけなら機械でもできる」
結局 §
「結局さ。怪物くんのテレビシリーズも見なかったのが悔やまれるな」
「今なら人気漫画アニメのVFX実写リメイクも当たり前なのにね」
「妖怪人間ベムや、らんま1/2の実写リメイクの原点的な位置にある。しかし、そういう話を度外視しても、面白そうじゃないか」
「みんな、登場人物が不完全で人間くさくていいわけだね」